5話 認識ー04
「……何を変な事を言ってるのかしら、そんな事ばっかり言ってるから、何もない所でいきなり倒れたりするのよ、そんな変な妄想癖は、なるべく早いうちに消し去った方がいいと私は思うわよ、というか貴方は―――」
フォリスは、僕の言っている事を、全面的に否定した。
…………やっぱり僕の気のせいなのだろうか?
それにしても彼女の口の悪さは、もう少し何とかならないものか。
別に僕に妄想癖なんて無いし、何も無い所で倒れたりしない。
…………………何も無い所?
「ちょっと真面目な質問なんだけどね、あの部屋に、【恐竜の骨】は有った?」
あの巨大な恐竜の骨を見て、「何も無い」というのは、やはり少しおかしい気がする。
「―――だから、つまり貴方は……………真面目な質問って何よ、という事は今まで私に対して喋ってた事は全部適当って事?酷いわ、酷いわ―――」
「違うよ、そういう事じゃない。フォリスだって本当は分かってるんだろ?僕は今本当に真面目に聞いてるんだ。」
「分かってるわよ、分かってるわよ、そんな怒ったような顔をしないで欲しいわ、ちょっとした冗談じゃない、そんなに言うなら私も真面目に答えてあげるわ、といっても私はいつも大抵真面目に話してるから、いつも通りってことになるわね、あの部屋には貴方が言うようなものは無かったわ、だいたい貴方真面目真面目言っても―――」
無かった?そんな筈はない。だってアレが原因で【図書館】は。
「ならフォリスは、なんであの部屋が壊れたと思う?もう一度真剣に、思い出してくれないか?」
「だいたい真面目って言うのは………なによ今度は真剣に?そんなの何回考えても一緒よ、それに私は常に真剣よ、分かったわ、分かったからそんな顔をしないで欲しいわ、というか貴方なんで今日はそんなに突っかかって来るのかしら、昨日頭でも打ったんじゃないの、壊れた理由なんてだから―――」
そこでふいに、フォリスは頭を押さえてうずくまった。
「大丈夫!?」
「だから、壊れたのは、アレ?でも、違うわ、壊れる理由は、だから、アレ?私?アレ?なんで?アレ?」
ぶつぶつと呟きながら、フォリスは頭を痛そうに押さえ続ける。
そういえば、僕もこういう事があった、確か○○と一緒に行った屋上での事だ。
真っ白な世界に困惑した僕は、何がなんだか分からなくなって。
ほどなくしてフォリスは、その場に崩れ落ちてしまった。
どうやら、気絶しているようだった。