※23話 定期報告ー01
妙なタイミングで、前文を入れてしまい、申し訳ありません。
私は、この物語はあくまでも茉莉のみの視点で行こうと思っていたのですが、
それでは最終的に、「作者だけが意味が分かっている」という、
本末転倒な事になりそうな気がしたので、
泣く泣く、それを止める事にしました。
というよりは、単純に作者の腕不足です。すみません。
それで、これから、【茉莉が知りえる筈がない場面】については、タイトルの先頭部分に【※】をつける事にします。
と言っても、あまり多用するつもりはありませんので。あしからず。
そんな人がいるのか分かりませんが、
あくまでも茉莉のみの視点で読みたいという人がいましたら、【※】マークの所は飛ばして読んで下さい。
出来る限り飛ばして読んでも分かるように努力します。
最後に、ここまで読んでくれてどうもありがとうございます。
よろしければ、この後もお付き合い頂ければ幸いです。
その人物は、音も無く部屋へと入った。
その部屋は、一見何もない部屋だ。
全体的に薄汚れて、悪い見方をすれば、廃墟のように見えなくもない。
その人物は、部屋の机の上に置いてある電話へと手を伸ばした。
数回の呼び出し音の後、電話が繋る。
『…………今日はちょっと遅くない?…………まぁそれはいいや。で、首尾はどうかな?』
電話の向こうから、少し甲高い男の声が響く。
それに対して、その人物は、事務的に応答する。
「上々です。全員の確認が取れた訳ではありませんが、しっかりと、被験者【頴娃】に関する記憶も、消えているようです。」
『ふぅん。それで?』
「はい、混乱を避ける為にも、しばらく現状を維持すべきかと。」
『面白くない。』
「は?」
『それは面白くないなぁ。そんな無難な作戦は、とてもじゃないけど面白くない。………………………そうだ、あの本有ったよね、ほら、何とかっていう、凄い【能力】の。』
「【アル・アジフ】ですか?」
『そう、それ。それを使おう。ちゃんと回収してるよね?』
「はい。回収はしていますが………しかし。それは危険すぎるかと。」
『………いつから君は、僕に命令できるようになったのかな?』
「……いえ、そういう訳では。申し訳ありません。」
『………うん、分かればいいんだよ、分かれば。それじゃ、そういう事だから。よろしく。』
「…………………。」
溜め息とともに電話を切った所で、その人物は、部屋の中に自分以外の人物の気配を感じた。
その人物が振り向くと、人影がサッ、と部屋から出て行くのが見えた。
その人物は、溜め息を一つ吐いた後、急いで、その人影を追いかけた。




