2章 図書館という名の……… 1話 図書館の支配者ー01
「ここが、図書館だ。」
最初に図書館に案内するあたり、この子の性格が伺える。
「ちなみに、ここを支配しているのは千賀子さんだ。」
うーん。何だろう。今変な単語が聞こえた気がするが。
「じゃあ、次に行きましょう」
「いやいやいやいや、ちょっと待って。色々疑問点があるんだが。」
「………聞くわ。」
「…………………とりあえずね、【支配】とかいう単語が聞こえた気がするんだけど。」
「言ったわね。」
「…………………」
「…………………」
「ええ!!そこで会話終わるの!!」
「そうよ?」
ええ!?何かしらんが疲れてきた。
「えっとね、いくつか聞いてもいいかな。」
「構わないわよ。」
さっきから何か口調が変わった気がするんだが、それには触れてもいいものだろうか。何を聞こうか軽く逡巡していると、急に栞がもじもじし始めた。
「千鶴子!!そろそろ止めてくれないか!!」
「えー、いいじゃない。この子新入りでしょ。たまには楽しませてよ。」
栞が急に一人芸を始めた。どうしようコレ。
「それはまた今度にしてくれ。」
「今度今度って、あなたいつもそうやって逃げるじゃない。」
「そんな事はないさ。それよりそろそろ本当に止めてくれないか。ムズムズして変な感じなんだ。」
「え?どこが?」
「いいから!!」
「もう、分かったわ。じゃあまた今度ね。」
僕はしばらくの間あっけにとられていたが、
「嫌な所を見られてしまったね」
という栞の気まずそうな声で正気に戻った。
「ああ、君の意外な一面を見れてよかった………かな。」
「いや、違うんだ。だいたいまだ出会って一週間も経ってないのに、意外な一面も何もないだろう。」
「え、じゃあアレが素なの?」
「違うさ。嫌な風に勘違いするね、茉莉君。」
「ああじゃあアレだね。能力の【代償】に関係してるんだろ?」
「んん。あながち間違ってはいないんだが、君はきっと二つ大きな勘違いをしているよ。」
僕の体が急にくらりと傾いだ。ん?変だな。こんな所で眩暈か。
「一つはね、それは【代償】じゃなくて、【能力】の方だよ。」
「それはどう…………」
いう事だ、と続けようとしたが、口が上手く動かせない。というか、さっきから体が上手く動かせない。
「そしてもう一つはね、それは僕の能力じゃないって事だ。」