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前提片
神暦・天武13年――
日ノ本に於いて天皇とは絶対なる神であり、そして畏怖すべき対象であった。
その名は暦の名前にして日本における最高神――『天武尊』
彼が定め、そして選んだ八人の現人神『八色の姓』によって日本は八つの地域、八つの支配を受けることとなった。
一つに曰く、真人。
二つに曰く、朝臣。
三つに曰く、宿禰。
四つに曰く、忌寸。
五つに曰く、道師。
六つに曰く、臣。
七つに曰く、連。
八つに曰く、稲置。
彼らは人の身でありながら神威を振るう常世の荒神魂。
絶対的なるその力に、瞬く間に日本は最高神を頂点においた階級社会となったのだ。
『神隷』――
それが大和の民の新たな名であり、神の所有物となったことの証明だった。