はじめの語り
スタート。
目の前には巨大な門。荘厳な空気を醸しだし、装飾も派手ではないが豪華な感じがする。
その門が近付いてくる。いや『俺』が近付いているのか。
逃げようとしても体は動かない。というか、意志に反して門へと真っ直ぐ歩いていく。
門が開き始め、眩い光が差し込む。もうどうにでもなれと投げやりな気持ちで、目を細めながら門を抜けて。
開いた目の前には、今や『地球』では見ることの出来ない広大な自然が存在していた。
こうして、俺はこのクソッタレな世界に迷い込んだんだ。
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この世界にくる前は、何の取り柄もないただの一般人だった。
世界中の人が格闘技を練習する中、特にどの格闘技も会得出来なかったありふれた人間の1人だった。
でも、そんな奴は世の中の7割ぐらいいたし、そもそも格闘技をちゃんと身につけられる奴なんて限られた人間だけだったんだ。
昔に世界中で流行った病気に対抗するための身体作りが目的だったから、現在の世界では「とりあえず格闘技やってるけど、まぁそこまでガチでやる必要はないよね」みたいな風潮だ。俺が落ちこぼれなわけじゃあない。普通がそうなんだ。
けど今になって考えたら、なにかしら身につけておくべきだったと後悔してるよ。
まさか魔物なんてのが跳梁跋扈するファンタジーな世界に来るなんて思わなかったからな。