ハトのコックさん むらにかえる
ニワトリのまちで ハトのコックさんがはたらいていました。
さいしょは りょうりをまなぶためにまちにきていましたが
いまではりっぱになって だれもがみとめるいちにんまえのコックさんです。
おみせのみんなも ハトさんにたよりきりです。
そんなあるひ コックバトさんのところに
でんしょバトさんがてがみをとどけにきました。
てがみには ハトのむらのレストランがつぶれそうなので
たすけてほしい とかいてありました。
コックバトさんは むらにかえることにしました。
いっしょにはたらいていたニワトリさんたちは
さいしょは とてもはんたいしました。
なんでもできるコックバトさんがいなくなると
おみせがこまってしまいます。
ですが むらのハトたちをおもうコックバトさんのきもちにおされて
こころよくおくりだすことにきめました。
コックバトさんが ハトのむらにもどってきました。
てがみにかいてあったちずのばしょには
『ハトむら しょくどう』とかんばんをかかげた
ふるいレストランがありました。
なかをのぞいてみると おひるごはんのじかんだというのに
おみせはガラガラでした。
これはいけない とコックバトさんはあせりました。
ちゅうぼうにいれてもらい さっそくほうちょうをもちました。
ですが きるかかりのハトさんにとめられてしまいました。
このハトさんは きることしかできないハトだったのです!
「やめてください! わたしのしごとがなくなってしまいます!
なんでもできるのなら ほかのことをおねがいします」
しかたがないので コックバトさんはコンロのまえにたちました。
ですが こんどはコンロがかりのハトさんにとめられてしまいました。
このハトさんは ひをあつかうことしかできないハトだったのです!
「やめてください! わたしのしごとがなくなってしまいます!
なんでもできるのなら ほかのことをおねがいします」
しかたがないので できあがったりょうりをおさらにもりつけることにしました。
コックバトさんのもりつけは ニワトリのまちでもだいにんきでした。
ですが こんどはレストランのりょうりちょうにとめられてしまいました。
りょうりちょうバトは もりつけしかできないハトだったのです!
「やめてください! わたしのしごとがなくなってしまいます!
なんでもできるのなら ほかのことをおねがいします」
コックバトさんはこまってしまいました。
このレストランをたすけてあげたいのですが
なにもさせてもらえないのですから!
けっきょく コックバトさんは
やってきたおきゃくさんにさいしょにだす
おちゃをいれるかかりになりました。
おきゃくさんによろこんでもらおうと
いっしょうけんめい おいしいおちゃをいれました。
コックバトさんがニワトリさんのまちをでてから いっかげつがたちました。
コックバトさんがいなくなったニワトリのレストランでは
ニワトリのみんなでがんばって おみせをささえていました。
ですが
「ハトさん かえってきてくれないかなぁ」
ニワトリさんたちは みんなハトさんにかえってきてほしいとおもっていました。
ですから コックバトさんが ハトのむらのレストランで
おちゃくみをしているといううわさをきいて ニワトリさんたちはおこりました!
あんなすばらしいコックバトさんにおちゃくみなんて
なんともったいないことでしょう!
ニワトリさんたちは コックバトさんをつれもどすため
ハトのむらにむかいました!
ニワトリさんたちは コックバトさんがはたらくおみせにつきました。
ふるくてちいさなおみせではありましたが
おみせのそとまでぎょうれつができていました!
そしておみせには『ハトむら ちゃや』とかいてありました。
ニワトリさんたちは、てっきりレストランだとおもいこんでいたことを
はずかしくおもいました。
おちゃやさんなら おちゃをいれるのが いちばんたいせつなやくめです。
ニワトリさんたちは コックバトさんをつれもどすのはあきらめて
コックバトさんのいれてくれた おいしいおちゃをのんで かえりました。