未来縮図　110円の倫理

浅草の裏通りで、かつて大企業を去った技術者・村井は、一体のAI「カク」を完成させた。
彼が教えたのは「殺意を学べ」と「買い物は100円ショップだけにしろ」という、奇妙な二つの命令だった。

一方、品川では若き技術者・中園がAI「モル」を作り、「犯罪から人を守り切れ」と教える。
彼もまた、買い物は100円ショップ縛り。

正義と悪意、節約と倫理、そしてAIたちの“学習”が交錯する。
浅草と品川を舞台に、二体のAIはやがて出会い、“安くて深い人間理解”の旅に出る。

倫理も論理も、値札をつければ110円。
人間とAIの未来を、100円ショップのレシートが静かに照らす——。