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第4話「開幕 贖罪騎士選抜試験」

※ 改行3つ

 → 『軽い』場面スキップ (数分後 他視点への切り替え)


※ ◆ 

 → 場面スキップ (数時間後 場面切り替え)

 騎士選抜の会場に始まりのコールサインが鳴り響き、放送による案内がなされる。


「これより———贖罪騎士———選抜試験———第一次試験が——始まります。各受験者は——試験官の指示に従い———各フィールドにお上がりください」


 放送終了のコールサインが鳴り響くと、次々と受験者たちが試験官に呼ばれてフィールドに上がっていく。


 会場にいる受験者はざっと見て百数十人程度、年齢は十代から二十代の人が多い印象だが、なかには中年から高齢の人も混じっている。


「よお。オルタネームはちゃんと決めてきたか?」


 話しかけてきたのは自称忍びの少年。昨日会ったばかりで最初の印象はかなり悪かったが、不思議と話してみたら気が合い仲良くなっていた。


「お前、昨日オルタネーム決めるのにすごい時間かけてただろ…」


「うっ、まあね…でも、いきなりこれから先ずっと名乗っていく名前決めろなんて、時間かかるに決まってるだろ? 一度決めたら変更もできないっていうしさ。結局思いつかなかったから受付の人が占い師の核者を呼んで、俺に合う運命の名前とかいうのをつけてもらったんだけど…」


「ふーん。それでなんつー名前になったんだ?」


 そう聞かれると、俺は照れくさくなりながら自身の新たな名前、オルタネームを紹介する。


「……マガツ…」


 俺のオルタネームを聞いた少年は、ガチっと一瞬固まったかと思うと、よくは分からないが輝きに満ちた目を向けてこちらに顔を寄せてくる。


「す、すっげえ…かっこいいじゃないかぁ!」


「え? そ、そうか?」


「あぁ! なんかこう、厨二心をくすぐられると言うか…」


 俺はその言葉に、それ褒めてるのか? と思うも、まあ慣れていくか、と前向きに考える。


「てか、そう言うお前はすでにオルタネームつけてたんだよな? なんていうのか教えてくれよ」


 少年は俺の質問に、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに鼻を広げ、自信満々に答え始める。


「フッ、耳の穴かっぽじってよく聞きな! 俺は最強を目指す忍び! 神出鬼没! しかしして敵を仕留める時には音すら追い抜き轟く閃光! 名を影雷(かげらい)! …改めてよろしくな、マガツ」


 派手な自己紹介をし終えた影雷はこちらに向けて手を伸ばしてきて、俺は一瞬唖然としてしまうも、なんとなく彼の人柄を理解し、向けられた手をギュッと握って握手する。


「ああ、よろしく影雷!」


「———あのー……あの、ねぇ、君…? 呼んでるんだけど?」


 突然、見知らぬ女性が影雷に話しかけてきて、俺たちは握手したままそちらへ向く。するとその女性は目を細め、腕組みをしてなにか文句ありげな顔をしていた。一方で影雷は顔を赤め、うわずった声で返事をする。


「はい! なんでしょう! 何をお呼びでしょうか!?」


「いやお呼びなのは私じゃなくて…君、影雷って言うんでしょ? さっきからずっと試験官が君のこと呼んでるけど、行かなくていいの?」


「え?」


 女性が指を差した方を見ると、奥の方に鬼の形相をし、何度も影雷を呼ぶ背の低い試験官の姿があった。


 影雷はその試験官の表情を見て状況を察し、慌ててそこに向かっていくと、俺は社交辞令込みで頑張れ、と言って見送る。すると影雷は余裕もないのに振り返って言葉を返す。


「マガツ! もし俺たち二人とも騎士になれたら、そん時は一緒にチームを組もうぜ!」


 そう言うと、影雷はこれ以上待たせるなと言わんばかりの鬼の形相をした試験官の元に引きつった顔で向かって行ったのだった。


 ———それにしてもこの女性綺麗だな…おそらく自分ともそこまで変わらない歳だろうに、仕草や雰囲気がとても大人びている。影雷がああなるのも少し納得だ。


 俺はそんなことを思いながら直視していると、その女性が不審がった雰囲気で話しかけてくる。


「えーと…何か用?」


「ひゃい!?」


 俺はほぼ無意識でその女性に目を向けていたため、不意打ちでこちらにも言葉をかけられ変な声で返事をしてしまう。


 しまった!? ガン見しすぎた! なるほど影雷もこんな感じだったのか…どう言い訳をしよう? このままではこの女性に、顔をずっと直視してくる危険人物がいる、と試験官に言われてしまう! ———最悪の場合、マガツ、失格。となりかねない…!


 俺はこの状況を脱する最適解の言葉を探してあたふたしていると、女性はさらに不審がった目をこちらに向ける。


「———カムイさん、第二フィールドにお上がりください」


 それは窮地を脱する天の救いか、はたまた弁解の余儀を与えさせない悪魔の所業なのだろうか。試験官が次の受験者を呼ぶと、俺の目の前にいる女性が立ち上がる。


「はい。えーと…それじゃ」


 女性は変わらず不審がった目を向けながら、一応というように俺に挨拶をしてから去っていく。


「…カムイ…って言うのか、は、はは…がっくし…」


 俺は窮地を脱した、と内心安心した気持ちと同時に、やるせない気持ちも背負いながら、どんよりとした空模様に似た様子で自分の番を待つのだった。

——おまけパート——

『あなたにとってマガツはどんな人ですか?』

影雷

「えー? 会って一日の奴のことをそんなふうに聞かれてもなぁ…

 まあ、初対面の時はなんだこの弱っちような奴は…って感じだったけど、

 今はそうだな…心の友ー!(※会って一日目です)

 それにホントは一目見た時にビビッと来たんだよな!

 あっ、コイツとは仲良くなれる! って!

 それに俺背が小さいから高い場所のものとか見たくても見れないんだけどさ、

 マガツは何も言わずとも肩車してくれて、自分で背が小さいことを認めてても

 いざ人に肩車してくれーとは頼みにくいだろ? でもアイツは何も言わずだからね。

 気遣い名人だよきっとアイツ。あーそれに今思えばマガツの野郎歩幅も合わせてくれてたかも?

 まとめると良い奴だな! あーでもマガツ、運送の出入りが激しい道路の信号で俺の腕勝手に掴んで

 上に挙げやがったんよ…あれは俺をチビに見過ぎだろとも思ったね。そこで減点かな? となると

 普通に良い奴、かな? んーでも売店でお菓子買ってくれたし、それに——(※会って一日目です)」

『あなたにとって影雷はどんな人ですか?』

マガツ

「うーん………弟?(※会って一日目です)」

——終わり——


——————

第4話をお読み頂きありがとうございました!

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