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鮫島さんは否定形で全肯定。  作者: 河津田 眞紀@第一回Nola原作大賞早期受賞×2作
第四章 二番目の呪い

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思いがけない告白



 未空と、見送りに来た女将に礼を述べ、海斗たち三人は『つるや旅館』を後にした。


 そして長い坂を降りたところで、三人も解散する。


「そんじゃまた明後日、学校でね」

「うん、ばいばい」

「二人とも気をつけてな」


 雷華と翠を見送り、海斗は自宅を目指し歩き出す。



 祖父母に縁のある旅館を、この目で見ることができた。

 発表のための取材も無事に完了した。

 何より、未空の本音を引き出し、思い込みを解くことができた。


 嬉しそうな雷華たちの笑顔を思い出し、海斗は充足感に包まれる。


「残すは……鮫島の呪いだけだな」


 そう。

 残る問題は、雷華の『否定の呪い』だけだった。


 イエスマンだった自分。

 絵の上手さにしか己の存在価値を見出せずにいた翠。

 二番目でいることに囚われていた未空。


 これらは全て、行き過ぎた『思い込み』が原因だった。


 しかし、雷華は違う。

 彼女を縛っているのは、本物の『呪い』だ。

 対話や本人の意思だけではどうにもならない。超常的な現象故、超常的な方法で対処しなければならないはずだ。


(しかし、例の神社の『呪い』に関する情報は相変わらず見つからないし……どうしたものか)


 歩きながら、海斗が考えを巡らせていると……

 ズボンのポケットで、スマホが振動した。


 取り出し確認すると、画面にはメッセージ受信の通知。

 送り主は、未空だった。


『ごめん。雷華と別れたら、もう一度うちに来てもらえるかな? 話したいことがある』


 海斗は、足を止める。

 未空の悩みは解決したかのように見えたが、まだ何か問題があったのだろうか。

 しかも、雷華がいる場では言えない内容ということか?


 海斗は『今から向かう』とすぐに返信をし、来た道を戻り始めた。





『つるや旅館』へ続く坂道を上ると、旅館の敷地に入る手前に、未空が立っていた。


「ごめんね。わざわざ戻って来てもらって」


 申し訳なさそうに謝る未空。

 その表情は、少し強張っているように見えた。


「大丈夫だ。それで、話っていうのは?」

「翠ちゃんも呼んでいるから、揃ってから話すね。今、頑張って上って来てくれているから」


 そう言われ、海斗が坂を見下ろすと……一歩ずつ、懸命に坂を上ってくる翠の姿が見えた。


「ぜぇ……お、お待たせ」


 やっとの思いで坂を上り切る翠。

 未空は、ますます申し訳なさそうに表情を曇らせる。


「本当にごめん……商店街だと雷華や風子さんに見つかる可能性があるから、来てもらうしかなかったんだ」

「どうやら、鮫島には聞かれたくない話のようだな」

「そう……今から話すのは、雷華に纏わること。雷華の……呪いについての話だよ」

「まさか、呪いを解く方法が見つかったのか?」

「ううん。呪いの解き方はわからない。けど……雷華がどうして呪いにかかったのか、その真実を、二人に話そうと思って。これからは、本当のことを話すって決めたから」

「真実って……鮫島は神社にある石像を壊して、縁結びの神さまを怒らせたから呪いにかかったんだよな?」


 海斗が聞き返すが、未空は首を横に振る。

 そして、



「違うの。本当は、あの子に『異性を否定する呪い』をかけたのは………………私なの」



 そう……思いもよらぬ言葉を、口にした。

 

 

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