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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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37:彼の決意

「収穫がゼロだったわけではない。犯人達の目的はなんとなく見えてきた」


 そう言うとアンディは私の頭を優しく撫でる。


「『Na2toxin』はシャンパンに含まれていた。しかも自死を遂げた使用人がサーブしていたものにだけ、含まれている。しかも彼らはやたらシャンパンを勧めようとしていた。そしてそのシャンパンを勧められ、受け取ることになった人物は……」


 国王陛下夫妻、王太子、宰相、騎士団大元帥、オルドリッチ辺境伯……国を支える重鎮ばかり。実は聖女も勧められていたが、アルコールは辞退し、私と同じザクロジュースをもらっていたのだ。


「国内だけではない。ウララ公国の大公やいくつかの国の王族も受け取っている。マルセル国と特に結びつきが強い友好国で、いざとなれば助けを差し伸べてくれるような国が狙われた」


「つまり……マルセル国とその友好国に対するテロなのね」


 アンディが頷いた。


 やたらとシャンパンを勧めることは確かに挙動不審につながる。しかもシャンパンを提供したくない相手には「シャンパンを……」と言われると「白ワインがおススメです」と言っていたというのだ。アンディはその言動の違和感に気付いたというが、あの場でそれに気が付けたのは……。アンディだけだ。その観察眼に多くの命が救われたことになる。


「未開封のシャンパンに『Na2toxin』は含まれていなかった。ゆえに事前にシャンパンを飲んだウララ公国の大公たちに被害は出ていないが……」


 そこでアンディはため息をつく。


「今、疑いの目はウララ公国の大公に向けられている」


「えっ!? でも大公自身もシャンパンを勧められ、受け取っているのですよね。……ウララ公国は特にマルセル国にとって友好国というわけではないけれど……」


「国王陛下は各国に密偵を放ち、この建国祭で招待している国々の状況を探っている。何か事件が起きた時、そう言った情報は参考になるから」


 その情報を踏まえ、いろいろなことが決められていた。

 例えば水面下で複雑な交渉をしている国同士のトップの席を離すとか、そういった配慮のためにも使われる。


「ウララ公国は航路の利権を巡り、海洋大国と言われるアクエリア海国と対立していた。そしてアクエリア海国は、マルセル国とは強い友好関係にあり、ビジネスパートナーとも言える。アクエリア海国は海洋貿易で栄えているものの、その領土は肥沃とは言い難い。穀物の多くは輸入に頼っており、その相手国の最大がマルセル国だ。マルセル国に打撃を与えれば、アクエリア海国の国力を弱めることにつながる」


「そうかもしれませんが、マルセル国の重鎮以外も狙われたのですよね!?」


「うん。自らの犯行とバレないよう、狙いはマルセル国だけではなく、複数の国と思わせた可能性もある。もしくはマルセル国が打撃を受けた時、支援する国を減らしたかったか。……大公は会談の時にも宝剣をつけると言い出したり、シャンパンを勝手に飲んだりと、問題行動を起こしている。それを一見、“うつけ者の大公の我がまま”で片づけようとしているが、実は計算ずくでの行動なのでは言われ始めている」


 なるほど。前世で言うならうつけ者のふりをして、周囲の目を欺いた織田信長みたいな感じかしら。


「ただ俺としては……そうではないと思えてしまう」


「え、どういうこと?」


「もし他国が主導するテロであれば、一連の騒動に、一切名が挙がっていない国こそが、真犯人に思える。それにマルセル国に打撃を与えるなら、国王陛下夫妻だけでも十分なはずだ。それがオルドリッチ辺境伯にまで手を出しているのは、やり過ぎだ。さらにスタートはレース事件、狙われたのはナタリーであり、俺なのではないかと思うと……。ウララ公国のテロではない気がするんだ」


 アンディは国家転覆をはかりつつも、そこには強い恨みを感じる。つまり怨恨こそが、犯人の真の目的に思えると言うのだ。


「つまりそれは……、犯人の真の目的はアンディを手に掛けることなの……? アンディの懸念について、陛下や宰相はなんて言っているの!?」


「国の転覆を狙う時、最初に魔術師が狙われるのは古来からの常套手段だと言われた。確かにそれは事実だ。歴史もそれを物語っている。大陸の戦乱時代では、兵と騎士による戦争が始まる前に、魔術師を巡る暗殺騒動が起きるから……。無論、魔術師本人を狙うこともあれば、その家族を狙うことも。だからテロの手始めに、俺が狙われたのではないかと言われた」


「ルビー様はアンディの未来を占った時、魔術師になればアンディは幸せになれると言っていたわ。まさかアンディが狙われるなんて」


「ナタリー、落ち着いて」とアンディは私を抱きしめる。


「人生は短いようで長い。聖女であろうとその人生の全てを語ったわけではないだろう。紆余曲折があった。ただ、トータルで見たら、『愛する女性とも結ばれ、幸せに生きることができるだろう』なのでは? それに未来というのは、刻一刻と変わるもの。聖女の見た未来が、絶対だとは俺は思えない」


「そんな……アンディが不幸になる可能性もあるなんて……」


「違うよ、ナタリー。俺は不幸になるつもりなんてない。それに未来を作るのは、自分自身だ。誰かの予言に従い、生きるわけではない。俺は自分の意志で魔術師になる道を選び、ナタリーと幸せになると決めたんだ。その決意が揺らぐことはない。自分の力で幸せな未来を作る」

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