表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

94/130

35:見通せない未来

「お二人はそれで大丈夫だと思うのです。……ただ、大声では言えません。ですがこの建国祭の最中に何かが起きそうな星の動きが見えるんです」


 聖女ルビーのこの言葉にドキッとしてしまった。

 隣に座るアンディを見ると、既にこの件では話を聞いていたのだろう。


 唇をきゅっと噛み締めている。


「聖女様の力を以てしても、見通せない未来もあるのですか?」


 私が尋ねると、聖女ルビーはコクリと頷く。


「見ようとするものに対し、見せまいとする力が働くと、千里眼の力で見通すことができないのです。つまり悪意の力が働くと、聖女と言えど、影響を受けてしまうのです」


「悪意の力……この建国祭で悪いことをしようとする人がいる、ということですか?」


 尋ねている間にも、自分でも「それはそうだろう」と思ってしまう。

 今、マルセル国には多くの国々からその国のトップや代表が集結している。悪人からしたら、これはたまらない事態だろう。悪事を働きたいと考えて当然。


 そこで気が付く。


 アンディがいつになくこの建国祭の警備に熱を注いでいた理由を。聖女が見通せなくても、何か起きる気配があるのだ。それを防ぎたいと、真面目なアンディなら考えて当然だった。


「ただ、この悪巧みに強い影響を与える光も感じているの。それが」「聖女様」


 聖女ルビーの言葉をアンディが遮った。

 驚いてアンディの顔を見ると、その表情は真剣そのもの。


「その件は話さないという約束のはずです」

「そ、そうよね。ごめんなさい、アンディ様」


 何だろう……?


 そう思ったところで、チリン、チリンとベルの音が聞こえる。

 国王陛下夫妻の入場を知らせる合図だ。


 そこからはもう、晩餐会モードにアンディもルビーも変わった。

 近くの席の人と社交を兼ねて話すことになる。

 だがその前に、まずは乾杯だ。


 一斉に大勢のバトラーがやって来て、乾杯のドリンクは何にするか尋ねる。


 アンディと私はジュースと分かっているので、ザクロジュースのお代わりがすぐに用意された。


 会場の様子をアンディはこの時じっと見ていたが、ハッとした様子になる。


「ナタリー、そのまま席にいて」と告げると、侍従長のところへと向かう。


 給仕するバトラーが沢山いるので、アンディが動いてもそこまで目立たない。それでも乾杯がこれからという場面で席を立つのは、異例だった。


「どうしたのかしら?」


 聖女ルビーが私を見るが、私も首を傾げるしかない。

 再度、アンディの方を見ると、侍従長との話を終えたようだ。

 侍従長は会場から慌ただしく出て行き、アンディはそのまま宰相マクラーレンのところへ向かう。


 黒のテールコート姿の宰相マクラーレンは、アンディから耳打ちされると、顔色が変わる。


 そのまま宰相マクラーレンは、国王陛下のところへ向かい――。


「皆さま、大変申し訳ない。こちらの手違いで、予定していた飲み物ではないものを準備してしまった。グラスには口をつけず、そのまま下げることとさせていただきたい。代わりに高糖度の葡萄で作った飲み物をお出しする。これは建国祭名物の飲み物であり、毎年舞踏会でお出ししているが、今日は特別に提供とさせていただく」


 これには喜びの声が上がる。

 名物のぶどうジュースは確かに人気だった。

 氷室でよく冷やされており、とにかく甘い。

 ただそれはすっきりとしており、しつこい甘さではないので、男性からも人気だった。


 普段、舞踏会で飲み物は口にしないという人達も、喜んで飲むがのこの名物ぶどうジュースなのだ。


 国王陛下の話に耳を傾けてしまったが……アンディは?


 気付くとアンディの姿が見えないと思ったが、そうではない。


 アンディは暖炉のそばにいて、どうやら魔法を使い……。


 暖炉の炎の勢いを抑えている……?


 確かに会場に着いた時から、温かい……暑いと思えるぐらいだった。だからこそ喉も乾き、ザクロジュースもごくごく飲んでしまったのだけど。そこでもう一か所の暖炉を見ると、そちらはバトラーがやはり同じように、火力調整をしていた。


「お待たせいたしました」の声が一斉に聞こえて来て、どうやらぶどうジュースの用意ができたようで、次々と運ばれてくる。


 アンディも席に戻って来て、気が付けば侍従長は宰相と話していた。


「アンディ、問題は解決した?」

「ああ、大丈夫。詳しくは後で話すよ」


 そう言ってアンディがウィンクしたところで国王陛下が再び声を上げる。


「それでは飲み物が行き渡ったようなので、改めて乾杯をさせていただく」


 その後は毎年お決まりの建国についての簡単な話があり、乾杯となる。


「それでは我がマルセル国のさらなる発展と友好国の皆さまとの絆が深まることを願い、乾杯!」


「「「「「乾杯」」」」」


 大勢の声で乾杯が唱和され、皆、ぶどうジュースを飲み干す。


 口々に「やはりこれはうまい」「建国祭の楽しみの一つがこのぶどうジュースだ」と喜びの声が聞こえる。


 この後の食事はスムーズに行われ、晩餐会は問題なく終了となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●断罪終了後シリーズ第二弾●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~
読者様の声に応え『完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~』続編公開&完結!

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ