25:夢みたい……
「「「「ご馳走様でした~」」」」
お留守番もふもふ達が、可愛く声を揃える。
その様子は元気に挨拶する幼稚園児みたいだ。
「美味しかったわ~!」
「この後、デザートもあるぞ!」
今回はブラウンが王都にお留守番で、マシュマロとパールが同行している。
ブラウンは何かあった時の連絡係を兼ねての留守番だ。
子猫姿のマシュマロは、夕ご飯に満足のようで、長い尻尾をふりふりしている。
パールはデザートが楽しみで、ピョンピョン飛び回っている。
ザロックの森に到着すると、早速晩御飯になった。
本日の晩御飯は……庭でバーベキュー!
留守番をしているもふもふ達が、野菜を用意してくれていたので、私は屋敷からウィンナーやベーコン、チーズ、食後のお楽しみのマシュマロやリンゴを持ってきていた。
みんなでワイワイ言いながら焚火を起こし、そこに鉄板を設置して、いろいろ焼いて食べたのですが!
とても楽しかった!
フクロウの声が「ほーほー」と聞こえる中、パチパチと燃える焚火。
そこでジュージューと音を立てて焼けるウィンナーやベーコン。
野菜も焦げないように注意しながら焼いて。
チーズはベーコンに包んで焼くと絶品!
「マシュマロは焼けたら順番に渡すから、火傷しないように食べるんだぞ」
アンディに言われたらもふもふ達は「「「「はーい」」」」と返事をして、焼き立てのマシュマロをお皿に乗せてもらい、「はふ、はふ、甘い!」と大喜び。みんな姿は動物だけど、使い魔だから甘い物も大好き。
一方の私はフライパンで焼きリンゴを作っている。
バターの香りが漂い、マシュマロを食べながらも「「「「早く焼きリンゴも食べたいです~」」」」ともふもふ達が甘えるのだ! これはもう可愛くて、可愛くて、私はメロメロになりながら「もうすぐできるからね~」と笑顔になる。
「ナタリー」
アンディの声に顔をそちらへ向けると、焼きマシュマロを食べさせてくれる。
「ありがとう、アンディ! うん、いい焼き加減!」
楽しい夕食の時間を過ごすことができた。
◇
夕食後は、後片付けをしたり、入浴の準備をしたりで大忙し。
もふもふ達は全員集合すると、二手に分かれ、ベッドへGO!だ。
アンディと私の寝室、それぞれの枕元で丸くなって休む。
ということでもふもふの使い魔達は、パールとマシュマロも含め、既に熟睡中。
ここからは、アンディと私の寛ぎタイムだ。
アンディが浴室へ向かい、ミルク色の寝間着の私はソファに腰を下ろす。
ローテーブルにはアンディが入れてくれた蜂蜜ジンジャーティーが用意されている。
「かいがいしいな~」と思いわず独り言が出てしまう。
私が入浴している間に、お風呂上りの飲み物を用意してくれていた。
しかも熱々ではなく、私が飲む頃には丁度良い温度になっている。
全部アンディは考えた上で、淹れてくれていると思うのだ。
その細やかな気配りは、旅館の女将並みに思える。
改めて思う。
初対面のアンディは、鬼畜イケメンだったのに。
その実態は、驚くほど優しく、一途。でも少し不器用?
それでいて星空遊泳といい、ロマンチックなところもあり、いざという時はビシッと決めてくれる。
例えばそれは、婚約指輪。
自分で稼いだお金で買うと決め、そのために王宮付き魔術師として、懸命に働いた。そしてサプライズで婚約指輪を贈ってくれたのだ!
さらには私の身の安全のために、尊敬するマーランのメビウス・リングまで、プレゼントしてくれた。
本当に。
アンディと婚約しているなんて。結婚できるなんて。
「夢みたい……」
「何が夢みたいなんだ?」
ふわりと後ろから抱きしめられ、石鹸のいい香りがする。
「アンディ……! 今ね、アンディと婚約していること、結婚することが夢みたいだと思っていたの」
「!? なんで今更? ……俺の愛情表現が足りていない!? あ、そうか。そうだよな。今週は忙しくて、せっかく差し入れをもらったのに、会うこともできなくて……」
「もう、アンディ! そうじゃないの。初対面のアンディの印象は最悪だったでしょう。でも今はその真逆。最高なんだもの」
するとアンディは私に絡めていた腕をほどき、頭を抱える。
「第一印象の上書き作戦で、アーリー・モーニングティーを淹れるようにしたけど……。足りないよな、それだけじゃ」
「足りているから、大丈夫よ。ほら、蜂蜜ジンジャーティー、アンディの分を注いでおいたの。ちょうど飲みやすい温度だと思うから」
「おっ、ありがとう」
アンディが隣に座り、蜂蜜ジンジャーティーを口に運ぶ。
視線を落とし、ティーカップを持ったその横顔は……。
絵になるなぁ。
眼福!
じっと見ていると気付いたアンディが、私を見た。
甘々なラピスラズリのような瞳に、胸がキュンキュンしている。
だがしかし!
正面から見つめ合うと、その顔面偏差値の高さに恥ずかしくなり、私から視線を逸らしてしまう。
「照れるナタリーも可愛い」
そう言うとアンディが私の手を取り、甲へキスをする……と思ったら、そこで固まっている。
「……どうしたの、アンディ?」
「ナタリー……今週、何があった!?」
数秒前までの甘々から一転、アンディの表情は真剣そのものに変わっていた。














