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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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7:彼の本心は?

「王太子の新しい婚約者。彼女に金を渡され、嘘の噂を流したと、男爵令嬢が認めたそうですよ。なんでも元婚約者が鞭打ちされながら街中を歩く姿を見て、その男爵令嬢は、ショックで失神してしまったそうです。さらに河に落とされ、元婚約者の消息が不明と知ると……。毎晩、男爵令嬢の枕元に、元婚約者の令嬢が現れるのだとか。血まみれの背中を見せ『痛い、痛い』と言っていると。もう罪悪感に耐え兼ねたのでしょうね。その男爵令嬢はその告白をした後、修道院に自らの意志で入ったそうです」


そんな事態になっていたとは……。


私は生きているし、その噂を流した男爵令嬢が誰なのか……正直分からない。だから生霊になり会いに行くなんてことも無理。ただ、その男爵令嬢は、根っからの悪人ではなかった。だから良心の呵責に耐えられなくなったのかな。


私は生きていると教えてあげたいが、国外追放された身。会いに行くのは無理で、手紙は検閲される。知らせるのは難しい。そうなると……。修道院で心が安らかになることを願うしかない。


「ディーン、もう王太子とその婚約騒動の件はいいよ。それより、自分はどうなんだよ。未来の辺境伯は23歳にもなって、いまだ婚約者がいない……。大問題だよな?」


アンディに問われると、ディーンはお手上げだというように両手を挙げる。


「それは……でも仕方ない。アンディと違い、僕は運命と思える女性がいないのだから」


ディーンに指摘されたアンディは顔を赤くし「俺のことはいいよ」と否定し、「運命とか言っていられる年齢でもないだろう」とツッコミをいれる。


「まあ、そうだよな。父上からもせっつかれて、来週、オルドリッチ家主催で大規模な舞踏会を開くことになった。街中の女性を招待する。平民も含めて。父上はそこからとにかく相手を見つけろと言っている」


そこでディーンはニッコリ笑顔で私を見る。


「ナタリー嬢も顔を出しませんか? 勿論、君を指名することはないですから。そこは安心してください。それに舞踏会に君を知る人なんて出席しません。何より、君はこんなにも美しい。森の中で、薪割と狩りの罠を仕掛けているだけでは、もったいない」


これは……思いがけない提案だった。


確かに王都から遥か遠いこの地に知り合いなんているわけがない。逆にこの舞踏会で、人脈を作ることができれば……。例えばいずれかの貴族の屋敷で働き手を募集していれば、住み込みで雇ってもらえるかもしれない。幸いなことに前世で一人暮らしをしていたから、家事はできる。


「勿論、君を指名することはない」となぜか断言された時には「なぜ……」とも思ってしまったけれど。ディーンは私が誰だか分かっていると思う。王太子の元婚約者。不敬罪に問われ、国外追放された元伯爵令嬢。それを未来の辺境伯が、自身の婚約者にしたとスチュ王太子が知ったら……。間違いなく機嫌が悪くなるだろう。


いくら辺境伯であっても。王家との関係は悪くしたくないはずだ。悪くなっても構わないぐらい私を愛してしまった――とかであれば話は別だろうが、それはないだろう。


というか、その件はいい。私はもう別に結婚なんて望まない。前世でも恋愛には疎いままで死んでいる。この世界においても例えまた喪女であったとしても。とりあえず穏やかな死を迎えたい。鞭打ちの上、河に突き落とされ苦しみながら死ぬ――そんな悲惨な末路は勘弁してほしい。


だから……。


「舞踏会……そうですね。森での暮らしは勿論楽しいのですが。たまには綺麗なドレスも着てみたいですし」


「じゃあ決まりですね。アンディ、当然、ナタリー嬢をエスコートするだろう?」


ディーンにふられたアンディを見ると、その表情は硬い。

……もしかして、私をエスコートするのが嫌なのだろうか?

いや、対価が必要、とか……?


「大丈夫だよ、アンディ。大勢が出席する。君が目立つことはない。それに不安なら、いつも街へ来る時と同様、少し変装すればいいじゃないか。魔法で。ナタリー嬢はまだ若いんだ。こんな森に閉じ込めては可哀そうすぎる。別に街で暮らそうと言っているわけではない。たった数時間。舞踏会にちょっと顔を出し、楽しくダンスしてまた森に戻る。それぐらいの息抜き、いいじゃないか」


なるほど。そうか。アンディは自身のことを「咎人扱い」と言っていた。たまに街へ向かう時も変装をしているし、大勢の前に出るわけではないのだろう。自分が何者であるかバレたくないと思っている。


そうであるならば。

無理して連れ出すのは申し訳ないな。


「ディーン様。あの、もし差支えなければ、その舞踏会には私一人で参加します。アンディにはアンディの思うところがあると思うのです。私のエスコートのために、無理に参加させるのは……」


「……いや、大丈夫だよ、ナタリー。俺がエスコートする」


「じゃあ決まりだ。街のみんなを招待するような大規模な舞踏会だから。招待状を入口でチェックとか、名前を呼びあげるとかはないから。気軽に参加してくれ。時間は……」


ディーンが舞踏会の詳細について教えてくれている。アンディは見る限り普段と変わらぬ様子で話を聞いているように見えるが……。


本心では。やはり行きたくないのでは? そんなことを思っているうちに、ディーンとの昼食会は終わった。

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