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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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17:悪事への加担

 修道院で暮らすリリィは、宝飾品を持っていないとリック様は嘆き、そしてこんなことを言い出したのだ。


『ただ、リリィ様が持たない物を、お姉様が持っていること。

 それは何だか許せない。

 お姉様が婚約者からもらったゴールドの指輪。

 デザインとサイズを詳しく教えろ』


 これを読んだ瞬間。


 何だか悪いことが起こりそうな予感がした。

 でも歯向かえば、脅されることは分かっている。

 要求に従い、ゴールドの指輪のサイズを確認し、絵を描いた。

 女学校時代、美術の成績は最高評価をもらっていた。

 我ながら上手く描けたと思う。

 すぐにそのスケッチを返信の手紙と共に、リック様に送ることになった。


 するとリック様は満足したようだ。

 それ以上、ゴールドの指輪について聞くことはない。

 変な予感がしていたが、杞憂に過ぎない。

 そう思っていたら……。


 一週間後に届いた手紙に、何か同封されている。


 封筒から取り出すと、それはナタリー様のゴールドの指輪!?


 まさか、そんなわけがない。

 手紙を読み、理解する。

 それは……私のスケッチを元にリック様が用意した、レプリカだ。

 金メッキでできた、まがい物。


 添えられた手紙には、こう書かれている。


『お姉様には、同封した金メッキの指輪がお似合いだと思う。

 本物の指輪は、僕が預かることにしたよ。

 いつかリリィ様が修道院を出た時にあげるか……それでは芸がないね。

 豪華な宝石をつけた指輪にリメイクして贈るのがいいかな。

 ともかく何をすればいいかは分かるよね?

 すり替えるんだよ、偽物と本物の指輪を』


 悪いことが起こるという予感は、どうも当たってしまうようだ。

 こんな偽物と本物をすり替えるなんて!


 何よりもそんなこと、私にできるはずがない。

 ナタリー様の専属メイドではないのだし、それに婚約指輪や宝石のついていないシンプルな指輪は、ずっとつけ続けていることが多い。指輪をはずすのは……入浴ぐらいだ。でも私はナタリー様の入浴を手伝ったことなど一度もない。


 どうすればいいのか……。


 ナタリー様の入浴を手伝うメイドに、すり替えを頼むなんて……できない。

 彼女についているメイドはみんな、彼女の優しさや気遣いに喜んでいる。

 そんなすり替えなんて、絶対に応じないだろうし、下手をすればメイド長に告げ口されてしまう。


 その間にもリック様からは『いつ決行するんだ?』『成果の報告を待っている』と催促が来る。


 ナタリー様が入浴中に部屋へ近づくチャンスはあるのだろうか?


 まさに悩んでいると……。


 それは昼食の給仕も終わり、多くのメイドが使用人専用食堂で、遅いランチを食べている時のことだ。


「弟が落馬したの。お見舞いに行きたいけど、昨日が休みだったでしょう。次の休みは五日後。でもみんな忙しいから交代は……できないわよね……」


 そう嘆いているのは、ナタリー様の専属メイドの一人、ペギーだ。

 彼女は確か、ナタリー様の入浴の手伝いもしている!


 これはチャンス到来だと思った。


「あの、私、交代しましょうか? 勿論、メイド長に調整していただかないとですが。でも私は専属メイドではないので、融通が効くと思います」


 ペギーとの接点は、これまでなかった。

 顔を合わせれば、挨拶をする程度の関係だ。

 だが私の申し出に、彼女はとても喜んでくれる。


 その後はメイド長の所へ、ペギーと一緒に相談しに行き、その結果……。


「ソーニャ、ありがとう! 私、王都民だけど、御礼のお土産は用意するから!」


「そんな。王都に住んでいるのだから、お土産なんていいわよ。それよりも弟さんによろしくね」


 無事、一日だけナタリー様の専属メイドとして動けることになった。

 さらに入浴の手伝いもできる……!


 リック様には、『ようやくすり替えをできるタイミングに恵まれました』と手紙を送った。


 当日を迎えると、入浴の時間は今か、今かと待つことになる。


「ナタリー様のお食事が、もうすぐで終わるから、入浴の準備を。お湯を沸かすところから始めて」


 そう声がかかった時は、胸が躍ってしまう。

 これからすることは悪事なのに。

 喜ぶ自分は……ダメな人間だと思う。

 ただこの時は、ようやくリック様の要求に応えることで、催促から解放される……そのことしか頭になかった。


「入浴の準備、整いました!」


 元気よく報告すると、他のメイド達は驚き「素晴らしい働きっぷり!」「仕事が早い」と褒めてくれる。私は「ありがとうございます」と笑っているが、頭は別のことでいっぱいだ。つまり、上手く指輪のすり替えをしないといけない、ということ。


「みんなありがとう」


 ナタリー様の声が聞こえ、心臓がドキリと反応する。

 彼女は入浴時、体を洗ったり、髪を洗うのに、メイドの手伝いを受けない。

 よってバスローブ姿のナタリー様がバスルームに来ると、メイド達は次々と退出する。

 私も一旦はけるふりをして、扉の前まで行き、そこで待機。

 チラリと振り返ると、彼女がバスローブを脱いだ。


「……!」


 鞭打ちをされた聞いたが、その背中に傷など一つもない。

 さすが王宮付き魔術師が婚約者なだけある。

 その傷は彼の手で、綺麗に癒されたのだろう。


 つい見入ってしまったが、バスローブを脱いだナタリー様は、バスタブの中に入ろうとしている。指輪は外していない。いや、待って。もしやバスルームではなく、部屋ではずしていた!?


 焦ったが、その手を見ると、婚約指輪は外されている。

 でもゴールドの指輪はまだ指につけていた。

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