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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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70/130

11:二者択一

 営業を終え、寛いだ様子のアマナは、マーランにも気さくに話しかけた。

 マーランよりも年上。

 アマナからするとマーランは、弟のように思えた。

 ゆえに気を許してくれたのだが――。

 マーランはそんなアマナに恋をして、半年の片想いを経て、遂に気持ちを打ち明ける。


 最初は相手にされない。


「私は年上だし、居酒屋の店主の娘。でもマーランは魔法を使える。いつか王都からお呼びがかかるかもしれないわよ。そうなったら王都で暮らすエリートになれる。女性なんて選びたい放題よ」


 だがマーランは諦めず、アマナに想いを伝え続けた。


 その間、アマナの予想通りで、マーランが魔法を使えることが伝わり、王家から呼び出しがかかった。まさに先代王宮付き魔術師が、老衰でこの世を去ったばかり。マーランは魔法の腕を確認され、すぐ様王宮付き魔術師に大抜擢される。


 それでも。


 マーランの気持ちは変わらず、立派に正装したその姿でアマナに会いに行き、自分の気持ちを伝えた。


「三年。何事も三年がいい区切りよ。王宮付き魔術師はとても重要な役目。立派に三年勤め上げ、それでも私への気持ちが変わらなかったら、もう一度、迎えに来て。その時は喜んであなたについて行くわ」


 アマナと交わした約束を胸に、マーランは王宮付き魔術師として、懸命に職務を全うする。


 折しも隣国との戦争が勃発し、緊張感が漂う時代でもあった。


 双方の国の魔術師は、戦の勝利に大きく関わることになる。


 そこでマーランはいくつも奇策を打ち出し、母国を勝利へ導く。

 だがそれが不幸の始まりだった。


 この戦争での勝利で、王宮付き魔術師マーランの名は、大陸中で知られるようになる。


 大陸で唯一無二の天才魔術師。


 この呼び名を聞き、マーランを手に入れたいと考える権力者。

 この呼び名を知り、マーランに嫉妬心を抱く者。

 この呼び名を耳にして、マーランに愛されたいと願う者。


 もうそれは様々だ。


 だが分かることは一つ。

 マーランを狙う者が、一気に増えたということだ。


 とはいえマーランは天才魔術師。

 とても太刀打ちできない。


 手詰まりを感じた悪人どもは、どうしたのか。


 徹底的にマーランについて調べた。

 そして彼が愛する一人の女性に辿り着く。


 アマナ・ランズベリー、その人に。


「アマナと、当時まだ子供だった王太子が、敵により捕らわれた。そしてそれぞれ別の場所に連れて行かれたんだ。僕は選択を迫られる。同日同時刻に、処刑を実行すると連絡が来たからだ。二人の居場所は分かっても、辿り着けるのは僕しかいない。なぜならそこは、魔法を使わないと、容易に移動できる場所ではなかったからだ。つまり助けられる命は一つのみ」


 アマナと王太子。

 救える命は一つだけ。

 王宮付き魔術師マーランが下した決断、それは――。


「国の未来を失うわけにはいかないと、王太子を救い、僕は……最愛を失うことになった」


 マーランに最愛の女性がいることは、おおやけにはなっていなかった。

 そもそも王宮付き魔術師という立場は、王族に並ぶ程の地位であり、その彼が平民の女性を愛しているなど一大スキャンダルになる。ゆえにごちゃごちゃ言われる前に、婚姻関係を結んでから公にするつもりでいたのだ。


 よってマーランが苦渋の決断をしたことを知るのは、当時の国王陛下のみだった。


 だが表向き、マーランは王太子を救出したことで、さらに名声が高まる。そして誘拐犯とその黒幕は、無残な死を遂げている。裁判にかけられることなく、実行犯と黒幕が死亡したが、それは王太子救出の上で、やむを得ないことと、国王陛下も容認。事件はひと段落したと思えたが……。


 マーランは激しい後悔をすることになる。


「自分の選択が正しいものだったのか。毎晩眠る前に考えることになった。そして後になってから気づいた」


 アンディは背後に重苦しい空気を感じる。


「メビウス・リング。あれを手に入れた後、僕は実験的に、様々な魔法を指輪にかけていた。一体どれだけ多くの魔法を重ね掛けできるか、試すかのように。つまり自分の手元に置いていた」


 どれだけ魔法を重ねられるのか。試したい――これは魔術師らしい興味だった。

 メビウス・リングをマーランが持ち続けても、誰も責めることはできないだろう。


 だがマーラン自身が、己を責めることになる。


「よくよく考えれば、アマナに贈っておけばよかったんだ。魔法を使えないアマナを守る最強のアイテム、それこそがメビウス・リングだったのに」


 遅いとは思った。

 だが、死してなお、アマナをネタに揺さぶりをかけてくる者もいた。

 『遺体を冒涜されたくなかったら、我が国に来い』なんてことを言い出す輩もいたのだ。


 ゆえにアマナの石棺は、森の奥にひっそり存在する修道院の礼拝堂に、安置されることになった。


 さらにその遺体が穢されることがないように、マーランは彼女の横臥おうが彫像に、メビウス・リングをはめたのだ。


「誰かにこのメビウス・リングを譲るつもりはなかった。だがアマナの体はとうに朽ち、その魂は天に召されている。それにあんな場所に、アマナの石棺があることを知る者もいない。さらに僕も死後百年経ったと言われ、過去の魔術師だ。全て終わったと感じた。そんな折、僕は気づいてしまった」

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