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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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4:伝説の失われたアレ?

「……司祭が使う聖具室。これは祭壇の後ろや横にあることが多いよな。あとは納骨堂が地下にあるかもしれない。祭壇の左右に奥へ続く入口が見えるから、そこを順番に見る感じかな」


 アンディのこの言葉に従い、祭壇のまず右側の通路を進むと、すぐに行き止まりで、右側に階段が伸びている。


「これは尖塔かな?」


 そう呟きながら、アンディが螺旋状の石段を上っていく。

 後ろに続くディーンは、この階段のゴールについて、こんな分析をする。


「鐘楼では? 礼拝堂自体、天井が高かった。目立たなかったが、鐘楼が併設されていても、おかしくない」


 これには「確かに」と思う。

 そして三階建て分ぐらい、ぐるぐると階段を上りきると、アンディが立ち止まり、パールが「行き止まりだよー」と叫ぶ。


「ディーンが正解だ。鐘が見える。でもすっかり蔦に覆われ、鐘自体にまで絡まっている」


 アンディに言われ、順番に場所を交代する。

 頭上を見上げると、確かにそこに古びた鐘が見えた。


 「ここにお宝は……」とディーンが言うと、ブラウンが「ないでしょう」と答える。これにはアンディも同意し、一階まで戻ることになる。


 一階に戻ったアンディは、変わらず目を輝かせ、「ではもう一つの通路を見てみよう」と歩き出す。


 パールを先頭にアンディ、私、ディーンと続いて歩き出した瞬間。


 バサバサバサッの羽音に「きゃっ」と私は悲鳴を上げてしまう。


 瞬時にアンディが私を抱き寄せ、ブラウンは床にジャンプして降りると、周囲を見渡す。


 ディーンは腰に帯びた剣に手を掛けかけたが……。


「鳥だろう?」「鳥だ」「鳥だな」「鳥よ、ナタリー」


 パール、アンディ、ディーン、ブラウンが口々に声を上げる。


 もう本当にごめんなさいだ。


 みんなが臨戦態勢になったのは、羽音の方ではなく、私の悲鳴に反応した結果だった。


 蔦に覆われていても、鳥たちは自分達だけが通れる道を作っていた。

 そこから入り込んできた鳥が、天井を旋回していたのだ。

 だがすぐに私達に気付き、外へと飛び去って行く。


「みんな、驚かせてしまい、ごめんなさい!」


「気にするなって。でもほら、アンディがちゃんと守ってくれるから、大丈夫だぜ、ナタリー」


 パールの言葉に、アンディにまだ抱き寄せられている状態だと気付く。


「怖かったら、いつでも俺を頼っていいんだぞ、ナタリー」


 ぎゅっとアンディに抱きしめられ、守られていることを実感した。

 腕の強さ、逞しさに、自然と胸もキュンとする。


「アンディ……」


 なんだか甘い雰囲気になりかけ、ディーンがいること思い出す。

 そこで慌てて顔をあげると、ディーンがいない!と思ったら!


「どうやらこっちは聖具室で、さらに地下に続く階段がある。どう考えても納骨堂だな。何かあるなら聖具室だろう」


 先に祭壇横のスペースに踏み込んだディーンが、そこにあるものを確認してくれていた。


「そうだな。聖具室の方を見てみよう」と応じたアンディは、そのまま私と手をつないで歩き出す。


 当たり前のように手をつなぐアンディに、ドキドキが止まらない。

 ぴょんと私の腕に飛びついたと思ったブラウンは、するすると肩まで昇ってくる。


「本当に初々しいわねぇ、ナタリーとアンディは!」とブラウンに突っ込まれ、頬が熱くなってしまう。


 聖具室に着くと、そこには埃をたんまり被ったしゅの教えが書かれた本、ロザリオ、十字架、触れたら崩れそうな祭服らしき衣装、そして――。


「これは……聖杯だな」


 ディーンがハンカチで埃と蜘蛛の巣を払うと、内側は金メッキ、外側は変色具合から銀、側面に葡萄の蔦がデザインされていることが分かった。


しゅの血とされるワインを受ける内側は金を使い、それ以外はシンプル。ここの礼拝堂が、質素倹約をモットーにしていたんだろう」


 そう言うとディーンは、アンディに聖杯を渡す。

 聖杯を手にしたアンディは、私にも見えるようにしながら、ゆっくりと回転させた。


 側面に描かれているのは、葡萄の蔦だけではなく、鳩も浮き彫りにされている。


「マーランが聖杯を求めていた可能性は、無きにしも非ず。聖杯を得ることで、国の不浄が浄化され、繁栄をもたらす――という聖杯伝説は昔からある。これがその伝説の失われた聖杯……」


 だがアンディはそこで言葉を切って考え込み、一つの判断を下す。


「これが伝説の聖杯とは思えないな。いろいろと中途半端だ。伝説の聖杯の姿は不明だが、黄金で作られ、宝石が埋め込まれている。もしくは木製の質素なもの。そのどちらかがだと言われているんだ。これはどっちつかず」


 言われるとその通りだった。


「となると後は納骨堂か」

「暗いだろうから、ランタンを持っていこう」


 アンディとディーンは、それぞれ腰にランタンを吊るしていた。

 暗い場所に行くかもしれないことは、想定済みだった。


 そのランタンにアンディが魔法で火を灯し、地下の納骨堂へ向かうことになった。

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