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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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48:三つの未来

皆の注目を一身に集めた国王陛下が、静かに話し出す。


「既に知っての通り、ここにいるアンディは間違いなく、私の息子だ。スチュとは双子。そして5歳のあの日まで、アンディが王太子だった。だが……。あの頃、王宮の実権は王宮付きの魔術師ファーガソンと神官長のカルロに握られていた」


国王陛下の目が、あの日を思い出すように、細められた。


「先代の王は落馬で急逝し、私は25歳で即位することになった。ひと通りの王太子教育を終えていたが、まだまだ若造。腹黒狐と腹黒たぬきと渡り合うなど、当時の私では無理だった……」


今でこそ貫禄満点の国王陛下であるが、当時はまだ若かったということね。


「アンディはとても強い魔力を持ち、将来、優秀な魔法を使える魔術師に育つだろうことは、私も我が妃メアリも分かっていた。だが、魔術師ファーガソンと神官長のカルロは、それをよく思っていなかった。強い魔術師でもある国王の誕生など、望んでいなかったということだ」


この発言で国王陛下が、魔術師ファーガソンと神官長のカルロを盲目的に信じていたわけではないことがよく分かった。それでも彼らの言うことに従い、アンディを森に捨て、スチュを王太子にしたのはなぜ……?


「聖女ルビー・アルティエリ。彼女は当時7歳だったが、その聖なる力で多くの奇跡を起こしていた。私は自分の近衛騎士を動かし、彼女を王宮に招き、秘かにアンディの未来を見てもらった。聖女の持つ千里眼という未来を見通す力を使って。するとこんな予言がなされた」


国王陛下は再び紅茶を飲み、話を再開させる。


「アンディの未来は三つの可能性があると、聖女ルビーは語った。まず一つ目。それは若くして亡くなる未来だ。アンディが王太子としてこのまま王宮に残れば、彼の強い魔力をよしと思わない者達により、必ず命が狙われる。そして幼い彼はまだ魔法の扱いになれておらず、暗殺者の手で命を落とす――というものだった」


アンディが幼い頃に暗殺される未来が予言されていた!? これには驚き、そして心臓が嫌な鼓動を立ててしまう。アンディはちゃんと成長し、生きている。だからこの未来は回避されたと思うが、ドキドキは止まらない。


「二つ目の未来。それはアンディが国一つを簡単に滅ぼすことも再興させることもできる魔術師に育ち、国王に就任した未来だ。これは奇跡的に幼少時に暗殺を回避できた場合の未来」


なるほど。暗殺が失敗する可能性もゼロではないということだったのね。それを知ることができ、胸のドキドキがようやく落ち着いてくれた。


「国王になったアンディは、国に繁栄をもたらすことは間違いないと、聖女ルビーは断言した。その一方で、その類まれな魔力を持つ故に、国王となれば、常に暗殺者に命を狙われるとも指摘した。それは彼自身だけではなく、その妃もターゲットになると。アンディの暗殺は難しくても、妃の命なら取りやすい」


な、それは……!

卑劣な方法ではあるが、もしそんなことをされたらアンディは……。


「もし妃が暗殺されれば、アンディはこの大陸の覇者となるが、それは怒りのままに暗殺者を送り込んだ国を滅ぼし、新たな暗殺者を送り込ませないため、その他の国も亡ぼすというとんでもない動機により成し遂げられるということだった」


これには皆、驚き、アンディ自身も困った顔をしている。


「三つ目は王宮付きの魔術師になった未来。アンディは国王を支え、国に繁栄をもたらす。表に立つのは国王であるため、暗殺の危機は、アンディ自身が国王になった時に比べ、うんと少ない。それに国王の重責からは距離をおけることで、心にもゆとりができる。愛する女性とも結ばれ、幸せに生きることができるだろうと予言してくれた」


それはつまり……今だ……!

そして国王陛下が王太子として新たに指名した第二王子のノーランは、ミルキーブロンドに碧い瞳で、見た目の雰囲気は妃殿下に似ている。性格は穏やかで、読書好きで博学なところはアンディに似ていた。


「聖女ルビーからこの予言を聞いた私は、アンディが王太子のままでいると、かなりの確率で暗殺されてしまうと悟った。何せ王宮には魔術師ファーガソンと神官長のカルロがいて、二人はアンディを排除したがっている。もしこのままアンディを王太子にしていたら……。暗殺されると思えた。奇跡などという不確実性に頼るわけにはいかなかった」


確かに奇跡を信じ、それは起きず、アンディが……。いや、そんな未来はなかった。それについて考えるのは止めよう。そう私が思う一方で、国王陛下は話を続けている。


「仮に王太子のうちに暗殺されなくても、国王になったところでアンディはとても幸せに生きることができない。だから私はアンディを森へ捨てることにした。魔術師ファーガソンと神官長のカルロに、私がアンディを国王にするつもりはないと示すためにも、彼らの前で、冷徹な国王を演じる必要があった」


国王陛下は「生きたいなら、絶対に王都へ近づくな」とアンディに言っている。これは「王都に来たら、殺すぞ」という意味ではなかった。「王都に来れば、魔術師ファーガソンと神官長のカルロの手で殺される。だから王都へは絶対に近づくな」という意味だったのだ……!


さらに家臣に「王都から遥か北のザロックの森に捨ててこい」と国王陛下は命じた。でもそれは魔術師ファーガソンと神官長のカルロに、アンディを国王にするつもりはないと示す必要があったからだった……!

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