表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/130

44:男同士の絆

ついに王都へ戻って来た。


早朝に王都入りをしたから、街の人の姿はほとんど見えない。それでもこんな時間に王旗と辺境伯旗を持つ騎士が先頭を進み、騎乗した騎士達とオルドリッチ辺境伯が馬を進めているのだ。うっかりこの場に居合わせた街の人は、何事という顔をしている。


王都に到着後、宮殿に用意された客間に滞在することを、国王陛下はオルドリッチ辺境伯に打診していた。だが、彼はそれをキッパリ断っている。王都には彼の親戚にあたる貴族が何人もいた。そして今回、彼と彼の騎士、そしてアンディと私は、オルドリッチ辺境伯のいとこにあたるマクラーレン公爵の屋敷で、お世話になることになった。


マクラーレン公爵は、宰相を務めており、国政を推進する立場。一見すると国王の腹心に思える。だがオルドリッチ辺境伯とは長い付き合いであり、いとこという枠を超えた絆があるそうだ。だからこそ今回、王都に滞在するオルドリッチ辺境伯を受け入れた。


ということで早朝にも関わらず、ビシッとスーツで決めたマクラーレン公爵に挨拶することになった。


「初めまして、アンディ殿。君のことはリッチーから聞いたよ。まさか王太子に双子の兄がいたとは。私が宰相に就任したのは3年前。君のことは知らなかった。だがここまで立派によく成長したね。僕は君の味方だ。安心して、滞在してくれ」


栗色の髪に少し白髪は交じるが、マクラーレン公爵はエネルギッシュで若々しく感じる。アンディと握手を終えたその彼が、濃褐色の瞳を私に向けた。


「ナタリー嬢……。よくぞご無事でお戻りになりました。あなたに起きたことは……本当に。王都では暫くの間、あなたの話で持ち切りでした。多くの者があなたに同情していましたよ。いくらなんでもやり過ぎであると」


そこでマクラーレン公爵は、しみじみとため息を漏らす。


「ただ……驚いたのはあなたの兄弟が、そうされても仕方ないと言っていたことです。ミラー伯爵家の長男、次男、共に優秀という噂でしたが、その評価は今となっては地に落ちています。ご両親は床に伏せ、散々らしいですよ。……男爵令嬢が、ナタリー嬢、あなたの無実を証言したことは、じわじわとこの王都に広まっています。何より既にリリィ様は、修道院へ送られましたからね。何が起きているのかと、今はそちらが話題になっていますが……」


さらに大きくため息をつくと、マクラーレン公爵は再び口を開く。


「しかし、今回のスチュ王太子の行動は、常軌を逸している。これを国王陛下が庇うようであれば……この国は衰退するとしか思えないな」


国王陛下は今、何を思っているのかしら?


マクラーレン公爵の屋敷は宮殿に近いが、それでもある程度の距離はある。スチュ王太子を乗せた馬車と彼の騎士は、私達より先に宮殿に入り、国王陛下と話を既に始めているはずだった。


「それで王宮の動きはどうなんだ? 魔術師と神官長は? アンディが今回、国王陛下と謁見することも知っているのだろう?」


オルドリッチ辺境伯が尋ねると、マクラーレン公爵は「そう急ぐな。まずは座ってくれ」とソファを勧めてくれた。私達は三人掛けのソファに座り、マクラーレン公爵は対面に一人、腰をおろした。


「今回、アンディが王都に戻ると知った魔術師は、病欠をとった。持病の腰痛が再発し、身動きがとれないと。……まあ、これは仮病だろう。アンディの魔力が分かっている魔術師は、彼を恐れた。直接顔を合わすつもりはないのだろう」


そこでメイドが紅茶をのせたトレンチを手に部屋へ入ってきた。彼女が全員分の紅茶を出し終えると、マクラーレン公爵は話を再開させた。


「神官長は日和見主義だからな。アンディが優勢となれば、いつでもすり寄れるよう、王宮で待機している。口八丁手八丁で、アンディを廃太子にし、スチュを王太子に据えると支持したことなど、なかったものにするつもりだろう」


「どちらもズル賢い狐と腹黒たぬきだ。なぜ国政の場から排除しない?」


オルドリッチ辺境伯に尋ねられ、マクラーレン公爵は両手を挙げる。


「無茶を言うな。お前は外野から言いたい放題だ」

「本当のことを言ったまでだが」


二人の歯に衣着せぬやりとりからも、どれだけお互いを信頼しあっているかが伝わってくる。


「魔術師の後任となる、強い魔法の使い手がなかなか現れないんだよ。神官長はあの腹黒さだ。可能な限り、今の地位にしがみつくだろうが……。だがな、あの神官長も寄る年波には逆らえない。最近どうも、ボケてきたらしいからな。そうなると失言や暴言、失策も増える。ここ数年で自滅するさ」


つまり、強い魔法の使い手がいれば、魔術師は交代となる。神官長については何をするまでもない。近いうちに自滅すると。


「なるほど。それで今日の謁見にナタリー嬢を同席させる件だが、許可は出たのか?」


「ああ。あっさり許されたよ。こちらが拍子抜けするぐらい」


これにはオルドリッチ辺境伯、アンディ、そして私が驚くことになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●断罪終了後シリーズ第二弾●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~
読者様の声に応え『完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~』続編公開&完結!

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ