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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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32:動じない親子

だがそこでオルドリッチ辺境伯は動じることなく、スチュ王太子に告げた。「ここは王都ではない。ノースコートであるが」と。


つまり。


この地では王家の人間であっても、絶対ではないということだ。何が起きるか分からないと。


王都では。どの貴族もスチュ王太子の顔色を窺っていた。逆らう者などいない。正直、スチュ王太子が大声を出すのは虚勢。本当はとても肝っ玉が小さい人間だ。王族であることをこれだけアピールしても動じない辺境伯親子には、恐怖すら感じたかもしれない。


そして……ついに打ち明けた。

すべてを。


スチュ王太子には……実は双子の兄がいた。


だが彼が双子であることは公にはされていない。彼の元婚約者である私も、それは知らなかった。


マルセル国では双子は禁忌だった。兄弟は問題ない。王太子の身に何かあった時、第二王子はスペアとして重宝される。だが、双子は違う。時間差があっても同じ日に生れたのだ。双子の兄弟それぞれの派閥で後継者争いが、過去に何度も起きていた。


よって、双子が生まれた場合、弟は……秘密裡に王宮から消えるのがマルセル国での伝統になっていた。通常は王族の血筋の地方貴族へ預けられ、出生を明かされぬまま育てられる。


だが。


今回、スチュ王太子の双子の兄は、魔法を使えることが、判明した。それを知った王宮付きの魔術師と神官長は、国王陛下にこう進言したという。


「本来、双子が生まれた場合。兄が王太子になり、弟は地方貴族へと秘密裡に預けられます。でも兄が持つ魔力の強さは尋常ではありません。彼を国王に立てるのは諸刃の剣になります。もし悪政を敷いた場合、国民は苦しみ、隣国を敵に回し、マルセル国は滅びの道を歩むかもしれません」


これを聞いた国王陛下は大いに迷うことになる。

だが、魔術師と神官長はしきりにこう進めるのだ。


「双子の弟君を王宮に呼び戻し、彼を王太子にしましょう」と。

そして国王陛下は、スチュ王太子によると英断をすることになる。

つまり、双子の兄を放逐し、弟を呼び戻すことを。


スチュ王太子は、家柄は由緒正しいが、辺鄙な地に領地を持つ地方貴族に育てられていた。それが突然、王宮に呼ばれ、「お前は将来、この国の王になる」と告げられたのだ。そして立派な住まい、自分のために用意された従者、立派な服、食べ物、そして……。


婚約者であるという令嬢――すなわち私に会った。


私は本当は、双子の兄の婚約者になるはずだった。そして本当に幼い時、一度だけその兄と会っていた。でもあまりにも幼く、その時の記憶は私にはない。むしろ、初めて会ったスチュ王太子を、自分の婚約者だと認識することになった。


貴族と言えど、決して裕福ではなかったのに。突然、豪華な生活が始まり、私という婚約者を手に入れた。その結果、スチュ王太子はこう考えていた。


本当は自分が最初からこの生活を手に入れるはずだった。それを自分から奪ったのは双子の兄だと。二度と、この生活も婚約者である私のことも、兄に奪われるつもりはないと心に誓った。その思いに共鳴したのは、王宮にいる魔術師と神官長だ。


その点についてディーンはこう推測している。


「魔術師はきっと、スチュの双子の兄の魔力の強さを恐れたのだろうね。自分より優れているとすぐに分かり、兄がいれば自分はお役御免になるのではと恐れた……のかもしれない。神官長は神からのお告げとしていろいろなことを伝えるが、それもまた強い魔法を使える国王がいれば、不要になる可能性が高い。魔法があれば、神託の内容さえ、書き換えることができるのだから。つまり魔術師と神官長は利害が一致した。だから二人で双子の兄を国王にしない方法を模索したと思う」


ディーンのその推測は、その通りだと思えた。魔術師と神官長は、別の観点から自身の兄を嫌うスチュ王太子に気付き、巧みに取り入ったのだろう。


一方の双子の兄は……。


弟の代わりに地方貴族に預けられることになるかと思ったが、そうはならなかった。地方にいようが魔力が強いことに変わりはない。かといって他国にいかれては将来脅威になりかねない。


一番いいのは死んでもらうことだった。


でもさすがに国王陛下も、自分の子供を殺す気にはなれない。だから双子の兄にはこう伝えたという。


「生きたいなら、絶対に王都へ近づくな」


そして家臣にはこう命じた。


「王都から遥か北のザロックの森に捨ててこい」


こうしてスチュ王太子の双子の兄は、5歳でザロックの森へ捨てられた。


そうなのだ。

スチュ王太子の双子の兄、それこそがアンディだった。そして私は、本当はアンディの婚約者だったのだ……。


この事実にはもう驚愕するしかない。


アンディは一瞬鬼畜のような素振りを見せたが、実際はとても優しく、気遣いもでき、善良な人間だった。とても悪政を行うとは思えない。それなのに魔力が強く、魔法を使えるからと、王太子の座から外し、挙句、森へ捨てるなんて……。


「ともかくノースコートにはあのアンディがいると分かっていた。さらに宝石商に聞くと、ナタリーのブレスレットとネックレスを売りに来たのは男性だという。特徴を聞くと、アンディとは違うが、変装している可能性もある。わたしはアンディが絡んでいると、すぐに確信できた」


この確信についてスチュ王太子は「おぞましいが双子の絆なのかね」と皮肉に笑った。

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