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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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30:一瞬の出来事

「反転魔法 破壊 <爆風烈破ばくふうれっぱ>」


それは一瞬の出来事。

アンディの背後で剣を振り下ろそうとしたスチュ王太子の体は、はるか後方へ吹き飛んだ。


ここは橋の上ではなく、橋のはるか手前の牧草地に左右を囲まれた街道。

豊かに茂った牧草の中へ、スチュ王太子の体が何度も回転しながら転がった。


「い、今のは……」


「スチュは多分、反転魔法が込められたアミュレット(御守)を持っていたのだろう。俺はここに到着した瞬間、眠りの魔法を行使した。でもスチュにだけ、効いていなかった。つまりは魔法をかけられると、それを反転させ無効にするという、反転魔法が込められたアミュレットをスチュは持っていると判断できた」


そこでチラッとアンディの瞳は、牧草地へと向けられる。


「ナタリーが叫んだ瞬間、魔法が効いていない人間がいるとすぐに分かった。それがスチュであるとまでは分からなかったけど、魔法が効かない=アミュレットがあるということは分かった。だからアミュレット(御守)を破壊する魔法を行使した。風を……空気を爆発させる魔法だ」


すごい。私の一言で瞬時にその判断ができたことに、驚いてしまう。


「俺はアミュレットに向け、魔法を使った。だから魔法は通った。もしスチュに向けて魔法を使っていたら、それは無効化された……どうかな。俺の魔力だったら……でも、ここでいきなりスチュの息の根を止めるわけにはいかないから。アミュレットが破壊され、魔法の余波でスチュの体は吹き飛んだが、怪我はかすり傷程度だろう。でもアミュレット(御守)は確実に破壊してある」


そこでアンディは再び牧草の中で体を起こそうとしているスチュ王太子に向け、魔法を詠唱した。


「睡眠魔法 発動 <永劫睡眠>」


するとその瞬間、スチュ王太子の動きが止まると同時に牧草の中に沈んだ。


「俺が魔法を解除するまで寝ているから、もう大丈夫」


そこで再びアンディと向き合ったが。

思い出す。今、下着姿であることを。


「ア、アンディ! 聞いて頂戴。ドレスは私が脱いだの。河に飛び込むために。馬車は全力疾走で走っていたわ。でも馬が全力で走れる距離には限度がある。だから馬車の速度が落ち、止まることがあれば、馬車から逃げ出そうと思っていたの。それでなんというか、今、冷静に考えると、必ずしも橋の上で失速して馬車が止まるわけではないのに。その、さっきはそこで止まるに違いないと思ってしまったの。だから河に飛び込む準備のために、ドレスを脱いだだけなの」


この私の説明にアンディは驚き、言葉が出ない。

その気持ちは……よく分かる。だって、本当に。河に飛び込める状況になるなんて分からないのに。なぜ脱いでしまったのかしら。


そう思いつつも、もう一つ。

大変な誤解を解くことを試みる。


「……だから、スチュ王太子さまとは何もないわ。一切。さらわれた宿で裸にされたけど、それは同行していた侍医が、私の体を確認しただけよ。背中の傷や……王太子の婚約者に復帰できるか、つまりは乙女であるかの確認……」


これは私も思い出すとなんとも言えない気持ちになるが、それはアンディも同じようだ。侍医なら医師なのだから仕方ないという思いと、でも私に何事もなく安堵する気持ちが、表情に現れていた。


「それで私……ドレスを着ようと思うわ」

「!!」


するとアンディは魔法を唱え、馬車の中に転がっていたドレスを私に着せてくれた。しかもドレスを着終えると、それはさっきとは全然違う。美しいラピスラズリ色の生地に、白い大きな薔薇がプリントされている。


「ブラウンみたいにセンスが良くないけど、これで我慢して、ナタリー」


「アンディ、素敵よ。ドレスの色も。この薔薇も。ありがとう」


ドレスを着た私が馬車から降りるのを、アンディは手伝ってくれる。外に出て、ようやく自由になれたと確信できた。同時に、気持ちに余裕ができ、アンディに対して気を使えるようになった。


「ねえ、私はもう大丈夫だけど、アンディ、火傷……していない?」


「ああ、少しね。さすがに森が燃えていると気づいた時は、動転したから」


そう答えながらアンディは、魔法で自身の服を修復し、火傷を治癒していく。


すごいな。魔法を使えるって。


私はしみじみその様子を眺めてしまう。


「アンディ、使い魔達は大丈夫だった?」


するとアンディの瞳に怒りの色が浮かぶ。

その強い感情を目の当たりにし、とてつもなく不安になる。


「スチュは……家の中に使い魔達が倒れ、気絶しているのを知っていて、家に火を放ったんだ……」


「え!」


私が青ざめると、アンディは「大丈夫、みんな生きている」と言い、さらに説明する。


「一度、家に雷が落ちたことがあって。それでボヤ騒ぎになったことがあった。だから家には魔法をかけていた。落雷や今回みたいな時に、燃えないで済むように。だから火は放たれていたけど、家は燃えずに済んだ。……あとは森。すぐに湖の水を使い、森の燃えているエリアの消化に当たったけど、あまりにも範囲が広くて。時間がかかってしまった。それでもなんとか消し止めることができて、よかったよ」


そう言ったアンディが見た方角には、ザロックの森が見えていた。でもあの旅籠の二階で見たように、煙が見えることはない。


旅籠のことを思い出し、ディーンのことも思い出していた。


「アンディ、私は森からノースコートの街にさらわれて、そこで旅籠に一度連れて行かれたの。そこで侍医の検査があって、その後、馬車に無理矢理乗せられることになったわ。それをディーンが助けてくれようとしたの。ディーンは森に火を放ったのはスチュ王太子さまなのではと詰め寄って、すると王太子さまは激高して……。剣を抜いて、ディーンのことを切りつけたの」


「な……! すぐにディーンのところへ行こう」

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