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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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24:迂闊でした

「ナタリー、ナタリー、しっかりしろ」


爽やかな声、そして頬を包み込む手の感触に目を開けると。


清々しい顔立ちの青年が目に飛び込んでくる。髪の色はアイスブルー、瞳はラピスラズリ。鼻梁が通り、薄紅色の綺麗な形の口をしている。肌艶も良く、目覚めた瞬間に拝める顔としては最高のもの……アンディだ。


「……アンディ……、仮面アイマスクは?」


「!? そんなもの今はどうでもいい。それよりナタリー、どこか体に異変はないか? 大丈夫か?」


その言葉に自分の体の様子を確認する。

どこか痛むとかそんなことはない。

というか、私は……どうしたのかしら?

落ち着いて状況を観察すると。

ここは……馬車の中だ。

舞踏会に行くために乗ってきた馬車。

その座席に横になっている、私は。

アンディはそのそばで跪き、私の顔を覗き込んでいた。

というか手を握られている……。なぜ?

それも気になるけど、そもそもどうして馬車の座席に横になっているのかしら?


「スーザンという老婆とその仲間の男達は、全員警備の騎士が捕えたから。もう安心していい」


アンディの言葉で事態を思い出す。

そうだ、私は……スーザンという老婆から高待遇な仕事について話を聞こうとして、庭園へ向かった。ベンチに腰をおろし、名前や年齢を確認されていたんだ。


「どうやらスーザンは、街で娼館を営業しているらしい。一応貴族相手の高級な娼館らしいが、そこで働く娼婦たちは、どうやら訳ありの貴族の令嬢がほとんどなのだとか。没落したり、嫁の貰い手がつかず修道院送りになりそうで家出した令嬢を娼婦として雇っているらしい。住処と食事は与えるからと言葉巧みに近づき、薬で眠らせた状態で最初の客をとらせ、そのまま娼婦として働くように陥れる……。ナタリーはそのスーザンにさらわれるところだった」


「そ、そうなの……!」


それはあまりにも衝撃だった。だが言われてみれば。「住み込みで三食の食事もつくし、毎日入浴もできる。でも労働は数時間のみ」なんて仕事、そうあるわけがなかった。


騙されている。


冷静に考えれば分かることなのに。迂闊だった。


「スーザンという老婆は、ナタリーが仕事を探していると言うから、『斡旋しようとしただけ、善意だ』って言っていたけど……それは本当?」


「それは……そうね。でもまさかその仕事が、娼婦だとは思わなかったわ。どんな仕事なのか詳しい話を聞くため、庭園に行って、そこでベンチに腰かけて……。口を押さえられ、気を失ってしまったのだと思うわ」


「薬で眠らされたんだよ。俺はナタリーのそばを離れることになったから、万が一に備え、ナタリーに魔法をかけていた。一定の距離を離れると、その魔法は感知できなくなる。それでナタリーの身に何かあったのではと気づけた」


そうだったのね。アンディが魔法をかけてくれていなかったら、大変なことになっていただろう。


「アンディ、大変なところを助けてくれてありがとう。本当に……よかったわ」


心底感謝の気持ちでアンディを見る。しかしその顔は……暗い。私は無事だった。怪我もない。そこまで暗い顔にならなくても……。


「アンディ……?」


「ナタリー、仕事を必要としている理由は、お金が必要だから?」


「そうね」


「何か欲しい物があるの?」


「今すぐ欲しい物があるわけではないわ」


すると少し考え込んだ後、アンディは口を開いた。


「何か欲しい物ができた時、手元にお金がないと困るからということか。でもつい最近、金貨を手に入れただろう? あれでは足りないのか?」


「アンディ、そういう問題じゃないの。……というか、起き上がってもいいかしら?」


私の言葉にアンディは頷き、そこで握っていた手をようやくはなした。そうやって手を握り続けていたことからも、どれだけ私を心配していたのか。それが伝わってくる。


体を起こすのを手伝ってくれたアンディは、私が座った対面の席に腰を下ろした。


「アンディ。今はブレスレットのおかげで私、アンディの家に置いてもらえているでしょう。でもいつかはあの家を出なきゃいけないと分かっているから。だから仕事を探しているの。できれば住み込みで働ける仕事がないか。スーザンは私が公爵家のマダムと話しているのを盗み聞きして、私に声をかけたみたいだけど……。スーザンはもうどうでもいいわ。その公爵家のマダムは、私が元は貴族であると知ったら、『下働きでよければ、うちで雇いましょうか』と言ってくれたの。名前も住所も教えてくれたから、会いに行こうと思っているわ」


話を聞いている最中から、アンディの表情が増々悲壮になっていくように感じていたけど……。話し終えた今、その顔は……絶望的なものになっている。


これは……どういうことなのかしら?


アンディは絶望的な顔を隠すように、頭を抱え、俯いてしまった。


えーと、これは……。


困ってしまった。

そして考えることになる。

アンディのこの反応の意味を。


私は、元は貴族。それなのに下働きをするなんて……と驚いた? 驚く……驚いたとしても、こんな絶望的な顔にならないわよね。


そうなると……。

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