表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/130

21:二人の邪魔はできない

こうして少し早いが、ディーンの屋敷に到着した。他の招待客よりうんと早く到着した私達のことを、ディーンは喜んで迎えてくれる。


ちなみにディーンは、王道の黒のテールコート姿だ。王道な正装スタイルなのだけど。ディーンはハンサムだから、それだけで十分、素敵に見えている。今日の舞踏会に来た令嬢は、さぞかし胸をときめかすだろう。


「アンディ。すまないが父上が、君に頼みたいことがあるらしい。まずは父上と会ってもらえるか? その間、ナタリー嬢は、私が屋敷の中を案内しよう」


「分かったよ、ディーン。じゃあ、ナタリー後でまた」


ディーンの父親・オルドリッチ辺境伯から頼まれごとをされるのは、よくあることのようだ。アンディはいつものことかという顔で、そして慣れた足取りで、オルドリッチ辺境伯がいる執務室へと向かって歩いて行く。その様子からも、オルドリッチ辺境伯の屋敷には、アンディが何度も足を運んでいることが分かった。


「ではナタリー嬢。我が家の所蔵している美術品をお見せしましょうか」


「!!」


「オルドリッチ辺境伯家は、北方の要であり、隣国とも接していますから、交易でいろいろなものが入ってきます。その中でも美術品というのは、唯一無二のもの。代々の辺境伯が集めたコレクションがあるのですよ」


それはなんだか見応えがありそうだ。

実は私は。

前世では美術部だった。


友人に誘われ軽い気持ちで選んだ部活だったが、思いの外ハマっていた。というのも。美術というと絵を描いているイメージが強いが、顧問の先生は自由人。ゆえに陶芸、七宝焼き、版画、彫刻と、何をしても許してくれた。かくいう私は、陶芸で茶碗やら花瓶やら皿を作っていたのだ。それもあり、美術品を見るのが大好きだった。


「ここだよ」


ディーンに言われ、案内された部屋は……広い! しかもきちんとガラスに収納され、展示されており、カーテンを閉じ、日光を排除。さらにケースの中には、グラスに入った水がおかれていたりで、もうちゃんとした美術館みたいだ。


ただ、展示されているものは、私の想像とはちょっと違っていた。飾られているのは、甲冑、宝剣、宝石など、戦利品より。でも絵画も並んでいる。


「この辺りの絵画は、ノースコートの自然を描いたもので、これは過去の戦乱の様子を描いたもの。描いた画家の名は……」


この世界でかなり名の知れた画家が手掛けたものと分かる。


すごいわ。


ディーンの説明を聞きながら、絵画を見て行ったのだが。


これは……。


美しい少女の油絵だった。

肩までの波打つようなブロンド。ビスクドールのようなミルク色の肌。頬と唇は薔薇色で、瞳はルビーみたいだ。フリルのついたチェリーピンクの愛らしいドレスを着ている。


「ナタリー、これ、誰が描いたか分かりますか?」

「えっ……」


これまで沢山の有名な画家の名前が登場した。

しかしこの絵は、その画家たちの描く特徴とは違っている。

違っているが、とても美しい。

誰だろう……。


「とても写実的で、それでいて柔らかい表現で、有名な画家の作品だとは思うのですが……分からないです」


私の答えを聞くと、ディーンは楽しそうにクスクス笑う。

もしや超有名な画家の作品なのかしら……?

知らないとかなり恥ずかしい……とか?

思わず背中を汗が伝ったが。


「これはね、アンディが描いたものです」

「えっ!」


もう驚くしかない。

こんな絵心があるなんて!


「この少女が、アンディの運命の女性なんですよ。生き別れることになったものの、いつか彼女を迎えに行くつもりだと、アンディは私と出会った頃から言っていました。どんな女性か気になり、画材をプレゼントして描くように頼んだら……。これを描いたのは、アンディが12歳の時。それまでも描いていましたが、子供のらくがきみたいでした。でも絵画について学び、それから描いたら……すごいですよね。私も絵を習っていましたが、ここまでのもの、描くことはできなかったです」


「この少女が……アンディの……」


「年齢は聞いていません。ただ、自身と近い年齢だと言っていたので、今頃は素敵な令嬢に成長しているでしょうね」


そうなのね。

生き別れになってしまったの。

どんな事情があったのかしら……。


「……アンディはいつ、この女性を迎えに行くのでしょうか?」


「そうですね……。ただ、アンディは私なんかより、強い魔法を使えます。だから彼女のことも、きっとずっと見守っていたのだと思います。ここぞというタイミングで、彼女に会いに行くと決めていたと思いますよ」


「なるほど……」


美しく成長した運命の女性を迎えに行く――。

それがいつなのか、ディーンでも分からないのね。

もし、明日や明後日だったら……。

私は……すぐにでもあの家を出て行かないといけない。

二人の邪魔をするわけには、いかないのだから。


そうなるとやはり。

今日の舞踏会で。

住み込みの仕事を見つけないといけない!


決意を新たにしたところで、アンディが戻って来た。

ディーンと私のところへやってきたアンディは、自分の描いた絵の前に、私達がいると気づいたようだ。


あっという間に顔が赤くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●断罪終了後シリーズ第二弾●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~
読者様の声に応え『完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~』続編公開&完結!

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
[気になる点] 魔法より雰囲気が出るから馬車で移動したはずでは??
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ