19:抱きついてしまった。
ミルクティーを飲んだ後は。
気分も切り替わりインディゴブルーのワンピースに着替え、すぐにトウモロコシ畑へと向かった。そこでトウモロコシの収穫をした。まだ早朝という時間で、太陽も顔をのぞかせたばかり。アンディに収穫方法を習い、手でもぎ取って行く。コツを掴むとぐっと掴み、倒してねじる、という感じでうまいこと収穫ができた。
「ナタリーはこのまま家へ戻って、使い魔達と一緒にトウモロコシを湯がいてもらっていいか?」
「ええ、勿論」
「俺は街の知り合いのお店に卸してくるよ。ここで収穫するトウモロコシは、甘くて美味しいって、実は人気なんだ」
そうなのね。
でも見るからに実がぎっしりとして、綺麗な黄色の粒が美味しそうに思える。
それを背負った籠にいれ、家と向かう。
一緒に歩いていたアンディは、家が見えてきた辺りで魔法を使い、街へと向かった。
私が家に着くと、モフモフの使い魔達が大喜びで出迎えてくれる。みんな、トウモロコシが大好物だった。率先して、トウモロコシを湯がく手伝いをしてくれる。みんな子猫に子ウサギと、子供の動物の姿なのに。器用にトウモロコシの皮をむいていく。竈に火を入れ、大きな鍋にお湯を沸かし……。
あっという間に湯がく準備が整う。
その後は次々に湯がき、この後、アンディが戻ったら食べるもの、乾燥させて保管するもの、昼食の料理でつかうものと用意を進めた。
「みんな、帰ったよ!」
街から戻ったアンディとモフモフの使い魔達と、出来立てのトウモロコシを堪能した。庭の丸太で作ったテーブルで、もうムシャムシャ、トウモロコシを楽しんだ。
トウモロコシを食べた後は、少しだけ昼寝タイム。
今朝は早朝から動いたから。
パールとマシュマロに添い寝され、軽く微睡む。
起きると部屋の掃除をして、昼食の用意をした。コーンを使った沢山の料理を用意することになった。コーンポタージュ、ホウレンソウとコーンのバター炒め。たっぷりコーン入りのクリームコロッケ。トウモロコシとジャガイモのグラタン。
アンディと私と、モフモフの使い魔で、今日収穫したトウモロコシを完食していた。
「収穫したトウモロコシはすぐに食べるのが一番。夕食に回すと味が落ちるから。完食できて正解だ」
アンディの言葉にモフモフの使い魔達も同意を示している。
そうなのね。
トウモロコシって、収穫してすぐ食べるのがベストだったんだ。
知らなかったな。
そんな風に感動していると。
「満腹になったし、散歩がてら夕ご飯の食材の調達に行こう、ナタリー」
アンディに言われ、昼食の洗い物を手早く済ませた。その間、使い魔達とアンディは、洗濯物を取り込み、畳んでいる。初夏の今の季節、洗濯物が乾くのが早くてとても助かると、アンディが言っているのが聞こえた。
準備が整い、食材をいれるための籠を背負い、家を出る。
「ブルーベリーがあったらオイラのためによろしくー!」
「私はナツグミが食べたいわぁ!」
「あたしはチェリーをお願い!」
モフモフの使い魔達は、見送りしながらリクエストをして、アンディと私は森を進みながら、ブルーベリー、ナツグミ、チェリーを採取する。川沿いの小屋で、乾燥させ干物にした魚や干し肉を晩御飯分、籠につめ、狩りの罠をしかけ、家に戻ろうとなったのだが。
もうすぐ家というところで雨が降ってきた。
「夕立だな。そこに洞窟があるから、休憩を兼ねて、雨宿りをしよう」
アンディに言われ、洞窟へ向かう。
洞窟に着いた瞬間。
ぼたぼたと大粒だった雨が、一気にドシャーと降ってきた。
それどころか。
雷も響き、雹まで降ってきた。
これには驚いてしまい、ひと際大きな雷が鳴った瞬間。
ドン____ガラガラ_カッ
「きゃあっ」
雷の音にあわせ、アンディに抱きついてしまった。
勿論、アンディは驚いたと思うのだが、そのまま背中に手を回し、「大丈夫だよ、ナタリー」と落ち着かせてくれる。すぐに離れようと思ったのだが、立て続けに激しい落雷の音が聞こえ、アンディから離れることができない。
そして、知ることになる。
こうやって誰かの胸の中に包まれていると、なんだか守られているような気持ちになる。おかげで雷の恐怖もかなり和らぐ。その一方で、このアンディの胸の中で守られるのは……彼の運命の女性であることも理解している。彼女が不在であるのをいいことに、こうやってアンディの胸を頼ってしまうのは……。
離れないといけないと思っている。
しかし……。
ゴロゴロ__ドン__カッ__バチバチバチッ
「!」
もう、ビビりまくりでアンディから完全に離れられないまま、時間が過ぎた。
「ようやく、止んだようだ。……夕立のわりには激しかったな」
「そ、そうね。……その、ごめんなさい。なんだかずっと……」
恥ずかしくて言葉が続けられない。
「ナタリーは雷が苦手なんだな。まあ、得意なやつもいないと思うけど。可愛かったよ」
アンディはどうってことないという顔で笑い、私の頭をくしゅっと撫でる。そんな風にされるとホント、胸がキュンキュンしてしまう。
いかん、いかん。
籠を背負い、立ち上がると。
「そうだ。これだけ降ったなら……」
アンディが私の手を掴んだ。
【一番星キラリの常連読者様へ】
『断罪終了後に悪役令嬢だったと気付きました!
既に詰んだ後ですが、これ以上どうしろと……!?』
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大変お待たせいたしました!
続編更新、ゆるく再開しています。
今朝、1話公開しましたので、お時間ありましたらご覧くださいませ☆
























































