表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/130

13:上書きしたい

何かとても幸せな夢を見ていたが。

すうっと自然に目覚めた。

そして目覚めた私の瞳に飛び込んできたのは……。


清々しい顔立ちの青年。髪の色はアイスブルー、瞳はラピスラズリ。鼻梁が通り、薄紅色の綺麗な形の口をしている。肌艶も良く、目覚めた瞬間に拝める顔としては最高のもの……って、これ、アンディに初めて会った時と同じシチュエーション!


え、なんで!?

時が巻き戻った!?

まさか――「とりあえず、背中の傷の治癒。あとは寝間着。それと3日間の看病。その代金として、お嬢ちゃんがつけていたネックレス、これは俺がいただくから」とこの後、言われたりする?


そう思い、アンディを見ると。


「おはよう、ナタリー! アーリー・モーニングティーを入れたから!」


爽やかな声でミルクティーを渡された。


「お、おはよう……。そしてありがとう……」


とりあえず上半身を起こし、受け取ったミルクティーを飲み、何が起きているのかと考える。お姫様気分は終わったはず。アンディの服装もいつもの白シャツに黒のズボンとブーツなのだから。


「アンディ、ミルクティー、美味しいわ。……でも突然どうしたのかしら?」


「……上書きしたくてさ」


「え?」


アンディは最悪な第一印象を変えたいと思っていた。つまり、私と初めて会った時。目を開けた私はアンディを見た。その私に対し、アンディは対価の要求をしている。それを……忘れて欲しいらしい。


「多分一度では無理だと思うんだ。だからこれから毎日。目覚めた瞬間の俺の笑顔を見てもらって。それでアーリー・モーニングティーをナタリーは飲む。そうすれば最悪な第一印象も……きっと上書きされ、いつか忘れると思う!」


そんな……あんな衝撃的な目覚め、忘れられるはずがないと思う。でもアンディはきっと上書きできると信じているようで、名案を実行中とばかりにニコニコしている。


どうして、そんなくだらないことにこだわるのかしら……? もはや笑い話で気にしなければいいのに。初対面の印象は、「イケメンだけど鬼畜」だったが、今は鬼畜とは思っていないのだから。


ただ、毎朝アンディのこの顔を見られるのは……無論悪くない。朝からいい目覚めになるだろう。


「さあ~、朝食だー!」


テンション高めのアンディは、私が飲み終わったミルクティーの入っていたカップを手に、部屋から出て行く。その後ろ姿を見送り、いつも通り、ワンピースに着替える。飾りはないシンプルなワンピース。明るめのフランボワーズ色で気に入っていた。


「アプリコットジャムがあるから、パンケーキを焼いている。ナタリーはサラダとスープを用意してもらってもいいか?」


「了解」


朝からパンケーキなんて初めてだった。というかこの家でパンケーキなんて初。

なんだろう。

イケメンとパンケーキ。

って。

デートみたい。


「ナタリー、蜂蜜もバターもあるから」

「あ、はい。ありがとうございます」


不思議。なんかこんなドキドキする朝食、初めてかもしれない。

モフモフの使い魔達も嬉しそうにパンケーキを食べている。


朝食の後の掃除や洗濯は。

いつも通りだった。いつも通りなのに。

ただ、そばでアンディが箒で床をはいている。

シーツをピンとのばして干している。

それを見ているだけで、なんだか嬉しくなってしまう。

昼食も。午後の食材調達も。

普段通りだったのに。

楽しい……。

これまでスルーしていたアンディの笑顔が眩しく感じてしまう。


この日の夜。


ベッドに潜り込んだ私は。

なんとなく気づいてしまう。

もしかしたら。

もしかすると。

私は……アンディのことが好きになっているのではないかと。


でも、アンディには運命の女性がいる。

その女性が今どこにいて、何をしているのか。

それは知らない。

ただ、ディーンも知る女性なのだ。

きっと古く長い知り合いなのだろう。

つまりアンディとその女性は絆が深い。今、一緒にいなくても。二人の想いは一つなのだと思う。それを邪魔するなんてこと、私はしたくない。


だから。


気付いてしまった気持ちは封印することにした。

もう別に恋愛はできなくていい。

平和に生きていければいいからと。


恋愛感情。

いや、恋愛感情とまでいっていなかったと思う。

淡い恋心。素敵な男子に対する憧れ。

それぐらいのまだ浅い気持ちだったから。

アンディは対価を払った私を家に置いてくれている大家さんみたいなもの。そう捉えることで、翌日以降はいつも通りに戻れた。


いつも通り――つまり日常。


この森の中の一軒家での日常。

アンディとモフモフの使い魔達と、心安らぐ自給自足の日常に戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●断罪終了後シリーズ第二弾●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~
読者様の声に応え『完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~』続編公開&完結!

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ