SS:モフモフ達とニューイヤーを
王都でニューイヤーを迎えたが、翌日の1月2日はザロックの森で留守番しているモフモフ達に会いに行くことにした。
ニューイヤーイブ、ニューイヤーズ・デイは、アンディと共に宮殿で開催された晩餐会、舞踏会など公的行事にしっかり参加することになった。前世で考えるなら、年末年始の特別出勤をしている状態。この世界でも、その分の手当てがついたり、代休をとれるが、アンディは後者を選択した。
つまり代休で1月2日と3日を休みにして、ザロックの森のモフモフ達に会いに行くことにしたのだ。
「ナタリー、用意はいいか?」
アンディがサラサラのアイスブルーの髪を揺らし、ラピスラズリのような瞳をこちらへ向けた。濃紺の細身のロングコートを着たアンディは、シュッとして、いつも以上に長身に見える。冬になってから、ロングローブを着ていることが多いアンディだったが、ウールのコートも大変似合う!
なんだか外国人モデルのようでかっこいいな~なんて思いながら「ええ、準備OKよ!」と答えると。
「ブラウン、ナタリーのロングケープ、首と袖口にファーをつけられるか? 風が隙間から入り込むと体が冷えるから」
「あら、そんなのPiece of cake(簡単)よ!」
ブラウンはそう言うと、私が着ている水色のドレスの目立たない場所に飾られていた白いリボンをシュルっとはずすと、モフモフのファーへと魔法で変えてしまう。
「さあ、ナタリー、あなたの大好きなモフモフよ~」
白のロングケープの首元と袖口にファーが飾られ、肌触りもよく温かい!
「ありがとう、ブラウン、アンディ」
「どういたしまして。パール、行くぞ」
「おうよ!」
アンディはトランクを手に、肩にパールを乗せる。私はブラウンを抱き上げ、そしてアンディと手をつなぐと……。
「ではザロックの森へ帰ろう!」
こうして次の瞬間には。
煙突からぷくぷくと煙が出ている、ザロックの森の家の前と戻っている。
「おい、みんな、パールさまのお帰りだぞ!」
すると扉が勢いよくあき、お留守番のモフモフ達が一斉にこちらへと駆けて来る。
「「「わーい! パールだ! ブラウンだ! アンディとナタリーもいる!」」」
大喜びのモフモフ達は、ビックリするほどのジャンプをして、私やアンディに抱きつく。
「熱烈歓迎、ありがとう。外は寒いから、家の中へ入れてくれ」
「アンディ、寒いの? 寒い時はね、森の中を走ると温かくなるんだよ~」
「そうだよ、アンディ! 温かくなりたいなら、森で遊ぼう!」
「森のお友達も沢山できたんだよ! みんなで追いかけっこするとポカポカになるんだ!」
これを聞いたアンディは「お前たち、冬は家の中から出るが嫌だって、いつも言っていたのに」とその整った顔をビックリさせている。
「それはね冒険をしたから!」
「そう! パールのためにスノーフラワーを探す冒険をしたんだ!」
「アンディ、冒険の話、聞きたい~?」
「ああ、聞かせてくれ。ゆっくり聞きたいから、お茶の準備を頼む」
「「「は~い!」」」
冬でも元気なモフモフ達と共に家の中へ入ると、暖炉のおかげで室内はとても暖かい。
「お湯を沸かすよ~」「ティーカップ出して~」
「その前にティーポット温めるの~」
モフモフ達がわいわいしている間に、お土産で用意したチョコレートやクッキーを並べた。アンディもトランクの中のものを出し、みんなで寛ぐための準備をしてくれる。
「よし。みんなありがとう。それでは冒険の話、聞かせてもらおうか」
こうしてモフモフ達の冒険の話を聞くことになった。
一通りの話を聞いた私は……ビックリしてしまう。
ザロックの森へ週末に戻った時。
アンディ二人でスケートに行ったことがあった。
まさかアンディと私がいない間に、そんな冒険をしていたなんて!
しかも後日、森の動物たちがモフモフ達のところを訪れ、大蛇を退治したことの御礼をしてくれるなんて!
「なるほど。よかったな。森の動物たちと仲良くなれたのか。それで外で遊ぶようになったんだな」
「そうなんだよ~」「怖い動物は冬眠しているから、冬の森は安全~」
「でも僕達もみんなで協力すれば、怖い動物もへっちゃらだよ~」
「お前たち、たくまくしなったな」
そこでアンディはパールの頭を撫でる。
「ありがとう、パール。さすが先輩だな」
「えへへへ」
どうやら急にお腹が痛くなったというパールは演技をしていたようだ。
まだ幼いモフモフ達が成長できるよう一肌脱いだことに、アンディは気付いていた。
そんな先輩パールとブラウン、モフモフ達の冒険談を聞いた後は……。
「ねえ、ナタリーは向こうが見える滝を知っている?」
「途中にクマの爪痕がついている木もあるんだよ~」
「アンディ、スノーフラワーは甘くて美味しいよ!」
どうやらモフモフ達は、自分達が冒険した場所を私とアンディに見せたいようだ。
「分かった、分かった。じゃあサンドイッチを持って、みんなが冒険した場所を見に行こう」
「「「わーい! 案内するよ~」」」
こうしてモフモフ達に連れられ、森の中の散歩が始まった。
最初は寒さを感じたが、次第にぽかぽかと温かくなる。
冬の森は清々しく、なんだか空気も澄んでいて、気持ちがいい。
モフモフ達が気に入ったのもよく分かった。
それに。
向こうが見える滝には初めて来た。
そこに咲いているスノーフラワーも初めてみる花だった。
星のような形の白い花は、モフモフ達の言う通り。
甘くて口の中で雪のように溶けていく。
ザロックの森は広く、私の知らないところがまだまだ沢山ありそうだった。
「では今日の散歩はおしまいだ。帰ったら、晩御飯の準備をするぞ」
「「「は~い」」」
モフモフ達が元気に駆け出す。
ニューイヤーを迎え、みんなますます元気だった。
「ナタリー、手、冷えないように」
アンディが私の手を優しく包み、自身のコートのポケットに入れてくれる。
アンディと私は、今年もますますラブラブになる予感がした。
お読みいただき、ありがとうございます~
本作でお久しぶりの読者様、今年もよろしくお願いいたします!
ということで。新春特別更新でした☆彡
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