SS:二人で休暇を(2)
朝食の後、アンディはみんなに「キノコ狩りに行こう」と提案した。
もふもふ達はみんな「「「「わ~い」」」」と喜んでいる。
古参のパール、ブラウン、マシュマロも、それぞれ尻尾をふりふりして嬉しそうだ。
私は……キノコ狩りなんて人生初。
かつアンディやみんなと一緒なら……なんだって楽しみだ!
ということで家を出ようとすると。
「ナタリー、外はもう冷えるから」
そう言ったアンディは、魔法で用意してくれたフード付きローブを羽織らせてくれる。
赤ずきんならぬ、ピンクずきんのローブは、とっても可愛い&暖かい!
しかも渡された籠を持つと、本当に赤ずきん気分だ。
一方のアンディも、明るいグレーのローブを羽織ると、みんなに声をかける。
「出発するぞ」
「「「「は~い!」」」」
アンディは私より大きめの籠を持っており、そこにはランチで食べるパン、ハム、チーズ、果物が入っている。
キノコ狩りだが、なんだかピクニック気分だ。
「ナタリー」
家を出て戸締りをしたアンディに呼ばれ、振り返ると……。
エスコートではない。
ここは森の中だから。
アンディは私と手をつないで歩き出す。
手をつなぐ……それは手の平を合わせ、お互いの指を絡ませる恋人つなぎ!
それを当たり前のようにするアンディに、ドキドキが加速する。
「「「「わぁ~、キノコ、キノコ!」」」」
もふもふ達は早速キノコを見つけ、ぱくぱくと食べ始める。
コロンと丸くて白くて可愛い。
「アンディ、あのキノコ」
「ああ、あれは毒キノコ」
「え、毒キノコ!?」
もふもふ達は平気で、むしゃむしゃ食べている!
「オイラ達は霊獣だから、毒キノコの影響も受けないんだよ」
そう教えてくれたパールは、見るからに毒キノコっぽい赤いキノコを齧っている。
「パール、そのキノコ、どこで見つけた? ナタリー、これは見た目に反し、食べられるキノコだから」
「そうなの!?」
毒キノコと食べられるキノコの見分けは正直、素人には無理!
6歳から森の中で育ったアンディは、十年以上キノコを見ているし、もふもふ達が毒の有無を教えてくれるので、判別がつくようだが……。
私はさっぱり分からない!
主にパール、ブラウン、マシュマロが教えてくれるキノコをアンディに確認しながら集めることになった。こうやって収穫してみると、いろいろな種類のキノコがある。木の種類により、生えるキノコが変わるのだと理解。籠の中のキノコは、色も形も様々で、ザロックの森の多様性を感じる。
「さすがにトリュフはこの森にはないんだけど……。でもこれだけ採れたら、十分だろう。お昼にしよう」
木々が拓けた場所に到着すると、アンディの一声でランチになった。
周囲には紅葉した木々も広がっており、頭上に秋晴れの空が広がっている。
とても清々しく気持ちのいい風も吹いている。
「よーし、みんなで準備だ」
「「「「は~い」」」」
もふもふ達が枝を集め、アンディと私で枯葉を積み上げる。
火を起こすと、アンディはあの籠から小さ目のフライパンを取り出した。
さらには小さな瓶に入ったオリーブオイル、木べらまで持参している!
アンディの籠には何でも入っていて、まるで前世の猫型ロボットのポケットみたいだ。
布や少量の水でキノコの汚れを落とすと、アンディはフライパンに豪快にキノコを入れ、オリーブオイル、さらにはこれまた道中で手に入れたハーブ、そして塩で炒め始める。
籠の中のお水の瓶を取り出すと、もふもふ達用に木皿に入れ、自分達の分も木製のマグに注ぐ。
さらにハムやチーズをスライスしている間に、いい香りを漂わせていたキノコのソテーが完成した。
焚火の周りにみんな集合だ。
「これはパンにサンドして食べるとうまい。一緒にハムやチーズも挟んでもいいと思う」
こうしてあっという間にキノコサンドが完成。
それぞれ好みでチーズやハムもサンドしている。
私はまずはキノコのみで食べてみたのだけど……。
「あ、美味しい……! パンにキノコの旨味が染み込んで、塩加減も含め、絶品だわ」
「だろう? 簡単に作れるけど、本当に美味しい。ほら、チーズも」
言われてチーズを挟むと、間違いない。
美味しさが増し増しになる。
ハムもさらにサンドすると「おかわり!」と言いたくなってしまう。
もふもふ達も夢中で食べている。
その間にアンディは、リンゴを器用にむいてカットすると、もふもふのみんなに配ってあげた。
「ほら、ナタリーも」
パンを食べ終えた私の口元にも、リンゴを運んでくれる。
かいがいしくしてくれるアンディに、感動してしまう。
「「「「満腹~!」」」」
もふもふ達は仰向けで、次々と転がる。
こんな無防備な姿になるが、敵がくると一変し、愛らしいもふもふとは思えない戦闘力を見せるのだ。カラスやフクロウ、鷲や鷹さえ撃退してしまう。勿論、魔法も使えるから、だけど。
「みんながああやって寛ぐのを見ると、俺も横になりたくなるな」
「! あ、じゃあアンディ、膝枕してあげるわ」
「膝枕……?」
幼い頃にアンディも膝枕をしてもらっていると思うのだけど……。
でも6歳でこの森にやってきたのだ。
膝枕の記憶はないのかもしれない。
ということで膝枕をしてあげると……。
アンディは横向きではなく、仰向けで膝に頭をのせたので、私は大いに焦ることになる。
「ア、アンディ、それはダメよ! 下から見上げたら、私、顎が、顎が二重顎に見えちゃう!」
「そんなことないよ」
伸ばしたアンディの手が私の頬に触れる。
「可愛いよ、ナタリー」
……!
瞳を眩しそうに細め、微笑みながらそんなことを言われたら……。
「くはっ」と叫び、鼻血を出して倒れそう!
瞬殺された。
顔を真っ赤にしていると、もふもふ達が「これ、ちゅーする?」「ちゅーするかな?」「ちゅーするよ?」「ちゅー、するよね」と始まる。
これにはもうアンディと目を合わせ、笑うことになった。
























































