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断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

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44:彼女の想い

「アンディ、今から舞踏会を中止することはできる……?」


 私の言葉にアンディはすぐに動いてくれたが、開催のための準備は限りなく進んでいた。これを急遽取りやめるには理由が弱かった。全ては憶測であり、確固たる証拠もない。せめてストリアが目覚め、証言してくれれば話は別だが――。


 そうなるとアンディは「ストリアを目覚めさせる」と医務室へ向かった。ストリアのベッドの脇に丸椅子を置き、そこに座るなり、アンディは呪文を唱え始めた。


 ブラウン、パール、マシュマロと私も同行し、少し離れたところに丸椅子を置き、そこに腰を下ろす。そしてアンディを見守った。


「あ……」


 ストリアが目覚めた……!

 その間、アンディはものすごい数の魔法を試している。

 さながらその様子は、前世で開かずの金庫を開けようとする職人の姿と重なって見えた。


 ベッドで上半身を起こしたストリアに、アンディは問い掛ける。なぜ、私や使い魔、護衛の騎士を気絶させたのかと。


 その問いにストリアは唇を噛み締めるだけで、一言も声を発さない。

 するとアンディは、私が思いついた舞踏会阻止のための行動だったのではと指摘。


 ハッとした表情となり、ストリアの瞳が大きく見開く。


 でもやはり声を出すことはない。


「……制約魔法か」


 この言葉にストリアの体がビクッと震える。


「アンディ、誓約魔法って?」


「舞踏会で何かをしようとしている。その計画について口外不要とされているのだろう。誓約した人間同士でしか、この件について話せない。よって一言も声を発することもないわけだ。もし約束を破れば対価は……通常この手の魔法の代償は重い。恐らく“死”だ」


「そんな恐ろしい魔法、一体誰が!?」


 アンディはため息をつき、「ストリア自身がかけさせられたのだろう」と告げる。


 自分自身でそんな魔法を!?


 そう思い、ストリアを見ると、彼女は視線を落としている。


「ここからは推測だ。帝国魔術師であるストリアはきっと、帝国では“善”の象徴なのだろう。帝国の顔として表舞台に立つ。だからきっと舞踏会での計画にストリアは関わっていなかった。だが直近でその計画を知ることになってしまった。俺達とは知り合った後だ。悪事を阻止したいという気持ちになってくれた。でも誓約魔法がある。ゆえに騒ぎを起こし、舞踏会を中止に追い込みたかった……」


 ストリアは無反応だが、アンディの推測は正しいと思った。

 そこでアンディは自身の懐中時計で時間を確認する。


「舞踏会を中止にするのは難しい。飲み物を別のものに変えるのとは訳が違う。そして確固たる証拠がないのだから中止にはできない……という判断を責めることはできない。結局、ストリアが目覚めても、証言をとれたわけではないからな」


 今晩の舞踏会は、ただの舞踏会ではない。

 社交シーズンで行われる舞踏会の招待客は、多くが国内貴族だ。

 でも今日は違う。

 建国祭に付随した舞踏会で、国内貴族は勿論のこと、各国の来賓がいる。

 国の威信がかかる舞踏会なのだ。

 そうではなくても晩餐会の冒頭で、飲み物の急な変更があった。

 大聖堂では一瞬、変なタイミングで鐘が鳴っている。

 例年の建国祭にはない不測の事態が起きていた。

 私の知らない場所でもトラブルはゼロではないだろう。

 晩餐会、大聖堂では、アンディの機転で上手く乗り越えたものの。

 来賓は「今年はヘマが多いわね」と思っている可能性もある。

 その上で舞踏会を中止ともなれば……。


 ゆえに開催を断行する陛下や宰相を責められないというアンディの言い分も分かる。しかも舞踏会で何かが起きるかもしれない――これは推測の域から出ないことも確かだ。


 それに舞踏会に関わる人の数は相当なもの。中止にするだけでも多くの損失が出る。


「仕方ない。警備の強化をするしかない。俺はこのまま舞踏会を見守る。ナタリーは……」


「ブラウンにドレスを用意してもらうわ。そして私も舞踏会で様子を見る」


 そう言って指輪に触れるとアンディは、理解を示してくれる。

 私自身は魔法を使えない。

 でもメビウス・リングがある。

 自動モード……AIモードもあるのだ。

 いざとなれば私を指輪が全力で守ってくれる。


「パール、ブラウン、ナタリーを頼んだぞ。護衛の騎士もいると思うが、二人を信頼し、ナタリーを任せる」


「任せとけよ、アンディ!」「ドレスもちゃんと用意するわよぉ~」


 パールとブラウンの返事を聞いたアンディは、ストリアにも尋ねる。


「君はどうするつもりだ? 独断行動を責められるのでは?」


「私のことは気にしないでください。帝国での振る舞い方は幼い頃より学んでいますので。……私も舞踏会の会場へ向かってもいいですか?」


「尋問したところで君は何も答えられない。それに君の処遇は王宮付き魔術師である俺に一任されている。魔術師の相手は魔術師しかできないからと。……いいだろう。証拠不十分ということで君を解放する。魔力の誤発動ということにしよう」


 アンディの言葉を聞いたストリアは、すっとベッドから起き上がり、次の瞬間。


 碧いローブからシャンパンゴールドのマーメイドドレス姿に変わっていた。

 髪も綺麗にアップでまとめられている。


 やはり帝国魔術師なだけある。アンディと引けを取らないぐらい魔法を使えるんだ。


「どういうからくりかは分かりませんが、アンディ様のナタリー様を守る魔法には驚きました。同じ魔術師として心から敬意を払います」


 ストリアはそう言うと深々と頭を下げ、そして――。


「今、起きていることだけに囚われないことです。過去の亡霊は諦めていません」

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