表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
【続編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

101/130

42:ナタリー!

「ナタリー」


 耳に聞こえた爽やかな声。

 でもその声には緊張感もはらんでいる。

 さらにギュッと手を握りしめられ、覚醒が進む。


 ゆっくり目を開けた。

 アイスブルーのフロックコートに、紺碧のローブ姿のアンディが見える。


「アンディ……」


「良かった……! ナタリー」


 ベッドに横たわる私の体を、アンディがふわりと抱きしめる。


「ナタリーの方は気絶だけだったようだ」

「えっと何が……?」


 ゆっくり体を離したアンディは、私が上半身を起こすのを手伝ってくれる。


「ナタリーはメール室へ向かっていた。そこでストリアに出会った。その直後、パール、ブラウン、そばにいた護衛の騎士、そしてナタリーとストリアの全員が意識を失っている。宮殿の医務室に護衛の騎士とストリアが運ばれた。パールとブラウンは先に目覚めている」


 上半身を起こし、アンディの目の動きを追うと、ソファのローテーブルでパールとブラウンはスイーツをガツガツ食べていたが「ナタリー!」「ナタリー、目覚めたのね!」と笑顔になった。ここはアンディの執務室の隣室だ。


「ストリアと護衛の騎士は?」


「護衛の騎士は目覚めた。でもストリアは声掛けしても無反応。あれは魔法による強制的な意識封印状態だと思う」


「えーと、一体何が起きたのかしら? 私も突然意識を失ったようで、全く分からないの」


 するとぴょんぴょん跳んできたパールをアンディが抱き上げ、そばの丸椅子に腰を下ろす。


「オイラも一瞬のことで何が起きたかとパニックだった。でもストリアがナタリーに謝罪の言葉を発した直後、みんな意識を失った。だからストリアが魔法を使ったのだと思う」


「ストリアが魔法を使ったのね。でも……ストリアは魔法で意識封印状態なのよね……?」


 私の疑問にアンディが答える。


「その通り。意識封印状態だ。一定時間が経てば目覚めると思う。解除は……試してもいいかもしれない。でもマーランの魔法だ。俺でも苦戦すると思う」


「マーランの魔法? ということは……」


「ストリアは、ナタリーがメビウス・リングをつけていることを知らない。アミュレット(御守)を持っていることは想定したと思う」


 メビウス・リングなんて錬金術師の幻想だと思っている魔術師がほとんどで、しかも数百年も前の話。ストリアも知識として知っていても、まさか私がつけているとは思わない。それに例のレース事件のこともあり、メビウス・リングは変色しており、ゴールドではなく、ブロンズ色になっていた。それがいいカモフラージュにもなっていたのだ。


「アミュレットがある想定で、ストリアは複数の魔法を行使したと思うんだ。スチュの時のこと、覚えているだろう、ナタリー?」


 覚えているのでコクリと頷く。


 アミュレットは通常、受けた魔法を反転させ、無効化する。つまり反転魔法が込められているという。だから直接魔法を当てると、弾き返されてしまうのだ。だからスチュと対峙した時、アンディは魔法を直接当てるのではなく、魔法で起こした風をアミュレットにぶつけ、破損させることに成功している。


「あの時と同じで、ストリアは強い魔力を検知したメビウス・リングをアミュレットだと思い、破壊しようとした。同時に、意識を失わせる魔法もナタリーやパール達、護衛の騎士達に行使したと思うんだ。全てを瞬き一つしている間に終わらせるための、魔法の複数同時行使だ」


 そんなことをできるのは、ストリアもまた帝国魔術師という地位にある魔術師だからだろう。


「ところがマーランは、そんなこと想定済みだった。メビウス・リングへの攻撃に対し、別の魔法を発動できるようにしていた。こんなことができるのは、メビウス・リングに複数の魔法を重ね掛けできるからだ。通常は一つ、俺でやっと二つだからな」


 つまりメビウス・リングに対する魔法ではない攻撃にも、対処できるようにしていた。


 その結果、何が起きたか。それはアンディの想像ではあるが、正解だと思う。


「攻撃を察知したメビウス・リングは、ストリアに対し、何らかの攻撃魔法を行ったと思う。だがストリア自身もアミュレットを持っていたのだろう。それを弾き返した。ここからはまさに意趣返しだ。メビウス・リングは弾き返された魔法を相殺すると同時にアミュレットを破壊、ストリアを意識封印状態にする魔法で対処した」


「つまりストリアはメビウス・リングの魔法により、意識封印状態にされたのね。パール、ブラウン、護衛の騎士達が意識を失ったのは、ストリアが意識を失わせる魔法を使い、それに掛かってしまった。でも私が気絶したのは……? 私はメビウス・リングに守られ、意識を失う魔法は掛からなかったのよね?」


「メビウス・リングは通常、ナタリーの意思に連動して魔法を発動する。でも今回はメビウス・リング自体への攻撃もあり、イレギュラーな事態が起きた。でもそんな場合でも対処できるようにしていたのだろう」


 それはつまりこういうことだ。


 そもそもメビウス・リングは石棺の横臥彫像につけられていた。横臥彫像のアマナに意識なんてない。メビウス・リングが自動的に反応する状態だった。前世の知識で言うなら、自動応答モード。AIモードとでも表現すると分かりやすいのかしら。


「ナタリーがつけることで、ナタリーの意思と連動する状態に変化していた。でも危機的状況を察知したメビウス・リングは、ナタリーの意思と関係なく、魔法を発動する必要があった。そこでナタリー自身の意識も失わせたのだと思う」


 異変を察知し、警備の兵が駆け付けると、そこには全員が意識を失っている。

 慌てて医務室へ運ばれ、私はこの部屋に担ぎ込まれた。


 国王陛下と謁見中だったアンディだが、この事態を受け、私の所へ駆けつけてくれたのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●断罪終了後シリーズ第二弾●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~
読者様の声に応え『完結●断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた~回避成功編~』続編公開&完結!

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●これぞ究極のざまぁ!?●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は死ぬことにした
250万PV突破『悪役令嬢は死ぬことにした』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ