第8話:スタッグの最期
ルインの手によって砕け散ったツアガイルだったが、まだモントデアとスタッグと言う強敵は残っている。
そんな二人を、どう対処するのだろうか。
「はぁ、はぁ、雌のくせに生意気な・・・・・・」
「はぁ、はぁ、そっちこそ、虫螻の分際でここまで強いとはね────」
互いに息を切らしていたスカイとスタッグだが、スカイの後ろにはセウズとテミスが待っている。
その絶望感を常に感じているスタッグは、全力で戦う事が出来なかった。
(体力を温存せねば、後の二人に抹殺されてしまう────!!)
後の事も考えての戦闘だったからである。
そして、スカイは次々に攻撃を繰り出す。
剣先を摘みながら、淡々と受け止めるスタッグだったが「こんな事で体力を使いまい」と、スカイを打ち払った。
「ええい、小癪な!何故そこまで女王様を狙う!?」
スタッグは思い出したかのように、スカイに問う。
そこで、口を開いたのはテミスだった。
「お前らがサレアを狙う、と妖魔帝から聞いてな。サレアの命を狙われるんじゃ、こっちとしても厭悪でね」
テミスの言葉が何を意味しているか理解出来なかったスタッグは、首を傾げた。
「女王様がお前らを狙っていただと?」
その質問に対し、テミスは頷く。
「女王様は何があろうと、他人の命は奪おうとしない筈・・・・・・!」
そこで、セウズが割り入る。
「まあ、本当かどうかは知りませんがね。ただ、俺達よりも博識な奴が言った事です」
セウズは超能力によって、アビスの存在を把握していたのである。
スカイやテミスは多少驚いていたものの、スタッグにとってそんな事はどうでも良かった。
「女王様は絶対的な存在。女王様に悪きイメージを持たれては困る」
そうぶつぶつと呟くスタッグだが、少しずつ魔力が上がっていく。
女王が侮辱された事による怒りと、女王がそんな事はするかと言う混乱によって。
スカイは再度構え、固唾を飲んだ。
(この魔力量、半端じゃないわね。でも、サレアの為よ!)
スカイは不意にスタッグを攻撃するが、スタッグは赤い目で睨む。
「おぉのぉれぇぇ!!!!」
スタッグはスカイを投げ飛ばした。
スカイは受身を取り、どうにか無事に立っていた。
しかし更に、とてつもないスピードでスカイに襲いかかる。
「きゃっ!」
「フンっ!」
今まで五分だったスカイだが、スタッグが覚醒した事によって、圧倒的に劣勢となった。
そんな事でピンチかと思われたが、スタッグはブンブンと腕を大振りする為、運動速度は圧倒的にスカイが上であった。
他にも思考速度や防御力、テクニック等もスカイが上回っていた。
「こんな大振りでな攻撃。いくら遅いとは言え、当たったら即死よ・・・・・・」
スカイは避けながらボソッと呟く。
スカイがこんな事を言うのも仕方があるまい。何故ならば、スタッグの攻撃した箇所の空気が割れていたからである。
空気を割り、時空の梁間をも壊れてかけていった。
(王想いなヤツですね。まるで、女王と俺の麾下同士の戦いじゃありませんか・・・・・・)
セウズは頭の中で、そうボヤいた。
そこに、ルインが物凄い風と共にやって来た。
「苦戦してるのかい?ボクと交代する?」
ルインは笑顔でそう言った。
しかし、セウズはルインを口説いた。
「いや、大丈夫だと思われますよ。苦戦してこそ成長に繋がりますしね。それに、スカイにとってこれは成長する良い機会だと思います」
セウズは丁寧に説得した後、スカイとスタッグの戦いに集中する。
「チェ、つまんねーの。ここでボクが助けて『キャーッ!ルイン君かっこいい!!』って言われるの期待してたんだけどなぁ────」
いやいや、本音漏れてますよ?
まあ、最初からルインは悪気無く参戦しようとした訳だし、仕方がないことだろう。
セウズは苦笑しながらも、その空気を流した。
ルインもセウズと同じように、スカイとスタッグの殺し合いを見る。
激しい攻防が繰り広げられるも、やはりスカイが優勢まであった。
スタッグが大振りをするがために、体力の消耗が激しかったのだ。
「ぬぉ!ぬぉ!女王様を侮辱した罰。死んでも死んでも罪を償えないぞ!」
攻撃しながら、スカイに告げる。
一方スカイは、そんな事に深く考える事はなかった。
しかし、スカイはスタッグの心を思って発言する。
「そうですね。私達は貴方の女王を侮辱するような発言をしていたかも知れません。ですが、私に本気で勝とうとしてその強さなら、守るべき物も守れませんよ?」
スタッグは助言された事で、少し怒りを抑える事が出来た。
大振りだったのが、隙の少ない攻撃へと変化したのだ。
「お前の言う通りだな。私が守るべき物は、女王様のみならず!星の住民も、守らなきゃいけない存在だった────」
「私は、セウズ様を本気で守り抜きます。順風満帆。冷静になって対処すれば、転じて物事が上手く進むのではないでしょうか?」
互いにボロボロな身体で、戦闘を繰り広げながら発言し合う。
喧嘩していた二人が、仲直りするかのように。
異世界と言えど、人間の住む世界と同じような事は沢山あるんだ。
助け合えば上へ行けるし、個人で上へ進もうとしたっていつか途中で止まる。
スカイは自分と同じような目的を持つ者同士と言う事もあって、敢えて強くなる助言をしたのだった。
「お陰で、頭を冷やす事が出来たさ。さて、共々最後の戦いとしようか」
スタッグの合図と共に、スカイは小さく頷く。
そして、スカイは本気を出すのであった。
多量に漲る魔力が、スカイを小さく包み込む。
(これが雌の本気。これが別の星に住む者の強さ────)
スタッグは、全力だった自分と本気で無かったスカイの戦いで疲れ果てていた。
その為、スタッグ本人は勝機が全く見えなかったのである。
「先程のように、甘い攻撃はしませんからね?」
スカイがそう言うと、咄嗟にスタッグの背後へと回った。
スタッグが振り向く間もなく、背中を強く蹴り飛ばした。
スタッグは大きな岩へと飛ばされ、大きく打ち付ける。
(つ、強い────!?これでは、女王様が殺されてしまう────!?)
スタッグは自分の使命を想起し、自身も限界を越えようと試みる。
しかしその罰則として、大きなダメージが身体へと侵入する。
「ぐわぁぁぁ!!!」
苦しむスタッグと、冷たい目で見つめるスカイ。
ダメージが治まると、スタッグは小さく身構えた。
「やれやれ。何をしようとしたか分かりませんが、その余力じゃ相手になりませんね。さっさと方を付けましょうか」
スカイがそう言い放つと、スカイは上へ手を伸ばした。
「終わりですよ。死隣嵐/王系!!」
スカイが叫ぶと同時に、スタッグは大きな嵐への穴へと引き込まれていった。
スタッグの魔力はどんどん減る一方で、必死に足掻くが無駄だった。
「おのれ、雌めぇえええ!!!!!!!」
スタッグは完全に穴に引き込まれ、跡形も無く消え去った。
これにて、スタッグとの戦いは終わったのであった。
「お疲れ様ですね、スカイ。後は、サレアのとこに向かうとしましょう」
疲れ倒れたスカイを抱き、ルインと共にサレアの元へと向かって行ったセウズ達。
俺達は手を抜いていた事もあって、モントデアと苦闘を広げていた。
まあ、事情を聞くために手を抜いているだけであってね。
万が一があっても、アビスが守ると断言しているし。
「はぁ、はぁ、アナタ、疲れ知らずなの?」
息を切らしながら、俺に訊ねてくるモントデア。
俺は貶めるように、笑顔で答えた。
「どうやらそうみたいだ。体力なんて無限にあるし、実際まだ本気を出してる訳じゃないし・・・・・・」
俺の言葉を聞いたモントデアは、苦笑した。
二人の間にあった凄まじい空気は、いつの間にか消えていた。
そこに、ルインやセウズ、スカイがやって来た。
とある異変に気がつくモントデア。
「もしかして、スタッグを倒したの?」
モントデアが焦りながら、必死に質問する。
そして、直ぐに返事をした者がいた。
「倒してるから、此処へ来てるんでしょう?」
セウズだった。
セウズは余裕そうな表情で立っていたが、セウズの肩には気を失ったスカイの姿が見られた。
「スカイ、どうしたんだ?」
「ああ。スカイならば、スタッグとの死闘を繰り広げた事によって、一時的に気を失っているだけです」
セウズの説明で、瞬時に納得する俺。
スカイがスタッグを倒したのなら、今度は俺がモントデアを倒さければならないな。
俺は覚悟を決め、クラゲの姿で異常な程の魔力を放出した。
「中々凄いじゃない。でも、私の相手ではないわ」
いつまで強気になっていられるか、モントデアを探る事にした。
そして、俺とモントデアは戦いを再開するのであった。
今日で初投稿から二十日経ちますね。
ところで皆さん、クリスマスは楽しく過ごせたでしょうか?
私は、クリスマスでも随時『魔王クラゲによる世界復古』の続きの内容について考えていました。
「次はどんなキャラ出そうかな?」とか「どんな展開にしようかな?」なんて思っていました。
時には小説を書くのが雑になったり、内容がガバガバになっていて修正する事も少なくありませんでした。
ですが、少なからずとも読んでくれている読者様がいる事を知って、そう言う自分の甘えに強くなれた気がします。
これからも多くのキャラや戦闘シーン等の描写を書くつもりですので、何卒宜しくお願いします。
by:夜之医




