第3話:クラゲ、強い?
サレアとスカイは侵略者に出会うため、侵略者がいる場所へと向かった。
そして、遂に侵略者と対面する。
その侵略者は、悪魔豊饒他特星の住民を無差別に殺していたようだ。
「お前、何やってんだ?」
サレアは澹然と質問する。
そいつは微笑し、ゆっくり口を開く。
「お前って言わないでよ。私には〝カルマ〟と言う名があるのよ」
知らないんだから、仕方ないだろ!────と、サレアは心の中で叫んだ。
カルマはおずおずしい佇まいをしながら、次々と無益な殺生をしていた。
そんなカルマを、たった一発の飛び蹴りで止めるスカイ。
「これ以上、住民を殺すのは辞めてください」
スカイはカルマに負けずと、聞こえよがしに言う。
しかしカルマは今もなお、笑い飛ばしていた。
「アーッハッハッハ!面白い!仲間が殺されてそう憤慨する奴を見るのが、実に面白い!」
はあ、こいつに何を言ってもダメだ。
そう思っていたのはサレアだけでは無く、スカイも表情からして読み取れた。
また、カルマから圧倒的魔力を感じた。
(さっき、セウズの配下が『とてつもない魔力を持っている』と言っていたのは事実か。今まで出会った何の魔物よりも、膨大な魔力を感じるぞ────)
戦った経験はないものの、通りすがりの魔物の魔力等は安易に読み取れていた。
そのため、カルマの異常さが伝わってきたのだ。
「カルマ。お前は今やっている事が善か悪か、理解してやっているんだろうな?」
サレアは警戒しながら問い掛けるが、カルマは険しい表情をして返答した。
「さっきも言ったわよね。お前って呼ぶなってね。まあ、善か悪かで言ったら、勿論悪でしょうね!」
開き直っているのか。それとも、頭がぶっ飛んでいるのか。
兎に角、サレアはカルマを敵と見なしていた。
「悪と分かっているなら何故やる?それに得られる快感があるとするのなら、俺は容赦なくお前を殺す。さあ、今辞めるか?それとも死を選ぶか?」
このセリフ。正直、めちゃめちゃ言いたかった。
執拗だが、戦闘経験は全くない。
どんな能力を持っているかすらを持っているのか、そもそも能力を所持しているのかすら分かっていないサレアは、心の半分以上が不安だった。
すると、一つの足に温もりを感じた。
スカイが、俺の足を握っていたようだ。
「カルマから感じる膨大な魔力を相手に、どうしようって言うの?」
若干涙目で訊いてきたスカイ。
それもまた、可愛いらしかった。
サレアは頬笑み、小さな声で答えた。
「どうしようったって、俺も勝てるか分かんないさ。だけど、約束したよな?『お前は俺が守る』ってね!」
そう。この時サレアは、死をも覚悟して戦う気だったのである。
そんなサレアを、必死に止めようとするスカイ。
「ダメ!自分の身に危機感持たないとダメだよ!」
そして、スカイはサレアの足を、より強く握る。
サレアは痛がっていたものの、グッと我慢した。
「スカイの言う通りだわ。いくら女の前だからって、カッコつけて死んだんじゃ笑い物になるだけよ────」
今のカルマの発言は、捉え方によっては煽りにも聞き取れる。
「そんな笑い物にならないのが、漢ってやつだよ」
反論されて今にも怒りが爆発しそうなカルマと、冷戦沈着なサレアの間には、物凄い稲妻が発生していた。
「言ったわね?なら、私から仕掛けるわよ!」
そう言ってカルマは、音速を超えるスピードで踏み出した。
しかしサレアとスカイは、そんなカルマのスピードさえも見切っていた。
「喰らいな!〝魔術烈火〟!!」
カルマは片手に霞色の炎を宿し、それをサレアに対して放つ。
しかし、サレアには効かなかった。
〝効かなかった〟と言うよりかは、〝届かなかった〟の方が正しいかな。
それは何故か。
そもそも、サレアに当たってすらいないからな。
その事はサレア自身も理解しておらず、当然カルマも声を呑んでいた。
「どうした?クラゲにすら触れられないのか?」
サレアは、たった今ので勝ちを確信し、カルマを挑発する。
それに対してカルマは、奇声を上げながら激高していた。
「キィァァァ!!たかがクラゲめ!お前なんぞ、たかが一般級に過ぎない!」
カルマは両手に眩い光を出し、俺の方へと向けながらこう言った。
「今度こそ終わりだ!消滅贈与!!」
流石にこの攻撃は危ない────そう判断したサレアだが、余裕の笑みを浮かべながらカルマを見つめる。
「俺を消そうとしているのか?まあ、いいさ────」
カルマやスカイは、サレアの言った事を理解していなかった。
ただ一つ分かるとすれば、サレアには敗北する予感が全くない事。
それだけ、サレアは余裕だったのだ。
「すまんが、これは却下だ────」
そう発言したサレアは、スカイの姿に変身しながら左手をカルマの方へと向け出した。
そしてカルマの光がサレアへ触れた瞬間、光はサレアを包み込んだ。
「アーッハッハッハ!私を舐めすぎた末路よ!地獄にさえ行けないが、来世で反省しな!」
苦りきった顔で叫ぶカルマは、何とも憎たらしかった。
スカイはサレアが消された事で、悲しみと怒りの感情が込み上げてきていた。
「カルマ!私は、アンタを許さない!」
スカイが叫喚すると、カルマは表情を一切変えずにスカイに視線を向けた。
「私を許さない?別に構わないわよ!但し、アナタも一緒に来世で後悔する事になるから、注意して頂戴ね!」
カルマはサレアの時と同様、両手に光を持ちながらスカイへと飛び向かう。
スカイは先程の攻撃を見て、死を覚悟していた。
────しかし、スカイはいつまで経っても消えなかった。
スカイの目の前には煙霧が発生しており、ハッキリと姿が見えなかった。
するとその時、小さな笑い声が聞こえていた。
「フフフフ。実験は成功なのかな?」
そう、現れたのはサレアだった。
果たして今、何が起きたのだろうか。
スカイは驚愕のあまり言葉を失っていたが、戸惑った表情でサレアに問う。
「あの、何が起きたんですか?」
サレアは微笑しながら、淡々と答える。
「カルマが俺を消しに来た時、カルマの軌道を変えたんだ」
サレアは何事も無かったかのように、スカイに事情を説明した。
スカイは呆然としていたものの、すぐにサレアの言葉を理解した。
「軌道を変えて、やり返した────と?」
スカイが確認の為に問うと、サレアは頷いた。
二人は無事にカルマを撃退したものの、セウズに告げた形とは異なる方法だった。
その事を反省しながら、セウズ達の元へ戻るのであった。
言葉だけで説得するつもりだったものが、いつの間にか力で対抗してしまった事に罪悪感を感じていたサレアとスカイ。
二人はセウズを裏切る形になっていた事を、改めて反省していた。
二人がセウズ達の部屋へ戻ると、サレアは事情を話した。
「成程。お前達は言葉で説得をせず、武力で対抗したのですか。いくら星の住民が殺されようと、約束は約束ですからね」
セウズは鷹揚げな表情でそう言った。
サレアはこの瞬間、死を悟ったのであった。
しかし次に出る言葉は、全く予想とは違った。
「住民を殺されたら力ずくで守り、それも他人の星。なんとお礼を言えば・・・・・・」
セウズは涙を一滴流し、サレアの元へ駆けつける。
サレアは突然の事態に驚き、言葉が出なかった。
「セウズ様にそう思われるのは、滅多に無い事だぞ。お礼の一つや二つ、貰っておけば良いのでは?」
テミスは俺に対して口上した。
サレアはテミスの案に賛成し、こくりと頷いた。
そして、緊張しながらもお礼の要件を物申す。
「そうだな。よし!決まった。先ずは、俺と手合わせをして、もっと強くしてくれないか?」
サレアは素直に、そう発言した。
これに対し皆は、ハラハラしていた。
「もっと強くする────ですか?」
サレアは「そうだ」と頷き、近くにあった椅子に腰をかける。
「俺はさっき戦った感覚なのだが、どうやら自分自身でも制御出来ない程の力を手に入れてしまっていたらしいんだ。だからそれを試すって言う意味も兼ねて、所望するよ────」
サレアがそう述べると、セウズはゆっくりと立ち上がり、サレアへ手を差し伸べた。
「お前がそこまで言うのなら、俺は請合いましょう!」
これにてサレアとセウズの約束は結ばれ、直ぐに戦うことになった。
皆は外へ行き、上空にてサレアとセウズの練習試合が行われようとしていた。
ここで一つ、サレアが注意せねばならない事を思い付いたのであった。
「周りに被害を出さない為にも、俺が制御範囲を張っておくよ」
サレアが忠告すると、指を鳴らしてバリアを張った。
「俺が強くなる為なんだ。手加減無しで頼むぜ」
「了解です。俺は俺の出せる全てを、今お掛けします」
そうして、サレアとセウズの練習試合が始まるのであった。




