第2話:スカイと俺
セウズ達の星へ行く途中、突然スカイが問いかけてきた。
「あのー、すみません。クラゲさんは何故、魔王になられたのです?何か事情があるのですか?」
首を傾げながら、ジッと見つめられる。
それに対し、俺は真面目に答えた。
「まあな。俺、元々この世界の生物じゃないんだ。でも不思議な事に、こっちの世界へやって来た。そんで、元の世界に戻る為に魔王になったんだ────」
スカイは少し目を輝かせ、口端がつり上がった。
「そうなんですね。やはり、あの人の予想は当たっていたんですね」
最初、俺は意味が分からなかった。
スカイが言う予想とは何か、俺はそれに関心を持ち、即刻質問した。
「あの人の予想?」
「実は私も、元々人間だったんです。でも、急にこっちの世界に引き込まれて、その時救ってくれたのが、セウズ様だったんです────」
スカイは少し悲しげな表情を浮かべながら、目の光が消えていくような感じがした。
「私はとても仲良しだった友達が突然鬼となり、私を襲ってきたのです。その時、鬼が最後の力を振り絞って発した言葉は『くらげが・・・・・・た、すけて、く、れる』と言ったのです」
俺はその話を聞いた時、俺がこの世界へやって来た時の事を回想した。
────そう言えば俺も、仲良かった友達に何か言われたような感じがしたな────ってね。
その友達とやらが「クラゲが助けてくれる」と言ったのならば、それは実行するしか無いと決意した。
「そうか。お前も人間だった訳だし、その友達が言うように、俺がお前を助けるさ!」
そして俺は、スカイの姿に変化する。
その状態で、互いに握手をする。
スカイは少しだけ目に光を入れ、笑顔に似た表情を刻みながら誓った。
「ありがとう。その言葉だけで、少し頑張れそうになりました」
プラス、スカイの目からは涙が流れていた。
「そう言われると、ちょっと照れるな。まあいいさ!宜しく頼むな!スカイ!」
「はい!こちらこそ!クラゲさん!」
「〝クラゲさん〟でも良いが、俺には〝サレア〟という名があるんだけど・・・・・・」
折角のシーンで申し訳ないが、これは紛れもない事実なのでね。
そして、そろそろ到着のようだ。
─────悪魔豊饒他特星─────
俺達は無事に到着した。
この星の王はセウズなため、セウズが帰ったとなると、その星の住民の皆が一斉に頭を下げて迎えた。
「「「「セウズ様!!お帰りなさいませ!!!」」」」
俺はよく育てられた住民らに対して、感心していた。
セウズは居丈高そうに、開けられた道に足を運んでいた。
「おい!何者だ?そこのお前!」
一人強そうな配下が、俺に対して警戒しているようだ。
内心ビクビクしていたものの、冷静に答えた。
「俺の名はサレア・ガタノゾーア。謎の世界に引き込まれ、苦心惨憺の末、この姿になったんだ」
俺は言い切った・・・・・・とホッとしていたのだが、そこでセウズが口を開く。
「サレアを許せ。サレアは俺にとって、肝要な人物かもしれん────」
流石にセウズには逆らえなかったようで、そいつはサッと元の位置に戻った。
そして、何事も無かったかのように進むセウズと俺達。
「サレア。ここの奴らは、お前を敵視する奴が多い筈です。故に、スカイと一緒に部屋で待っててください」
流石に先程の様子を見ると、今後同じようなことが続きそうだもんな。
俺とスカイは躊躇い無く、言うことに従う事にした。
部屋は俺とスカイの二人きり。
テミスはセウズの部屋へ行き、二人で対談するようだ。
すると急に、スカイが訊問してきた。
「サレアさん。人間の頃、どんなお方だったんですか?」
俺は突然の事に、とても驚嘆した。
「人間の頃?」
「いえ!無理に話さなくて大丈夫ですよ。少し気になっただけなので・・・・・・」
スカイは浮き足立っており、ゆっくり俯いた。
ただ、俺は話したかった。
なぜなら、スカイならば信用出来るからだ。
俺の本当のことを話しても真剣に聞いてくれそうだし、そもそもスカイの事も知りたいしね。
そう切望し、トーンを下げつつニヤッとした顔で話し始めた。
「俺はね、普通の高校生だったんだ。大した特技とかなくってね、増してや彼女もいない。苦労ばかりしてた人間生活を送っていたんだ────」
俺は回顧した事を話し終えた時、溜息をついた。
そんな俺を心配そうに見るスカイは、俺のトーンに合わせて声を出した。
「そうなんですね」
少し落ち込んだ様子だったがために、俺は思わず問う。
「────その様子だと、スカイも辛いことがあったのか?」
「まあ、そうですね。よく、虐められてました。〝とても仲良かった友達〟にね────」
それを聞いて、とても虫が好かない感じがした。
俺は大きな音を立てながら立ち上がり、スカイの肩をに手を置いた。
「虐められてただと?それも仲良かった友達に?恨みはないのか?」
俺は凄味を利かせるような態度で、スカイに問い迫る。
「う、恨みはありますけども。でも、私だから今でも・・・・・・」
「いい加減、ネガるのをやめろよ。お前は、誰かに助けられようとしないのか!?そうやって、自分の力だけで抵抗しようとしてるのか!?」
つい感情的になってしまい、怒号を飛ばしてしまった。
俺が怒鳴ったせいで、スカイは涙を流していた。
流石に言い過ぎたな、と感じた俺は、即座に謝った。
「ちょっと言い過ぎちゃったな。すまん────」
俺が謝ると、スカイは何だか嬉しそうな表情になっていた。
「謝らなくていいのです。私は、怒られたから泣いてるんじゃない。私の為に怒ってくれた事に泣いてるんです。こんなに私を大切にしてくれる人なんて、誰もいなかった────」
スカイがニッコリしたのを見て、俺もついつい笑顔になってしまっていた。
「この世界は、人間のいる世界じゃない。例えどんな困難が来ようと、お前はたった一人で立ち向かっていただろ?そんな事は捨てて、仲間と共に協力すればいいさ」
俺は微笑みながら、スカイの顔を見た。
「でも、仲間って────」
「助けてくれる仲間ならここにいるだろ?〝サレア〟というクラゲが!」
俺は自分を指さしながら、内心「決まった・・・・・・」と叫んでいた。
スカイはその言葉を耳にすると、その場に泣き崩れた。
俺はゆっくりとスカイを抱きしめ、背中を摩った。
「お前は、俺が守ると誓うよ」
そう呟き、俺とスカイの時間は終わるのであった。
「何だと!?お前、どうやってその情報を────!?」
テミスとセウズの会話の中、テミスが驚きのあまりに大きな声を発した。
「『どうやって』ですって?そんなの簡単なことですよ。俺は〝アイツ〟とは深い関係を築いているのでね────」
どうやらテミスとセウズは、何かしら手に入れた情報について話し合っているようだ。
その情報をどうやって手に入れたのか、について、二人が揉めあっていた。
「深い関係かどうかは勝手で良い。だがな、お前のその情報さえ知っていれば、サレアがこの世界に来ることはなかったんだぞ!?」
テミスは呵責するよう、セウズに言い放った。
────一々煩いな────とセウズは思いつつ、憤懣によって放たれたテミスの言葉を聞き流すセウズ。
徐々に空気が悪くなっていくこの空間。正に、今にも戦いが起きそうな感じだった。
そして、口を開いたのはゼウスだった。
「全く。たかが大悪鬼如きで、白魔将に対して偉そうな発言をするようになったのは、一体いつからなんだろうか────」
今まで俺やテミスが見た事のない様な、強情らしい表情をしていた。
その顔を見たテミスは、息を詰めた。
「────も、申し訳ないです────」
セウズの圧倒的威圧感に押されたテミスは、黙るしか手段がなかった。
しかしその時、セウズの配下が一つのお知らせを持ってきた。
「セウズ様!こ、この星に侵略者が────!!」
その配下が慌てた様子で知らせて来たのに対し、セウズが口を開く。
「御苦労さん。その侵略者とやらの特徴は?」
「侵略者の特徴は『女性』である事。また『とてつもない魔力』を所持している事でしょうか────」
セウズは特徴を聞き、小さく頷く。
テミスも特徴を聞いていたようで、それが何者かを考える。
そこに、クラゲ姿の俺とスカイがやって来た。
「その侵略者、俺達が対応しても良いか?」
俺が指す〝俺達〟とは、俺とスカイの事だった。
スカイも賛成なようで、お願いしますと言わんばかりにセウズを見つめる。
すると、セウズは嘲笑しながら言葉を発した。
「お前達に何が出来るって言うのです?」
俺はセウズの軽い問いに対して、真剣に答える。
「セウズの身を守る。そして、万が一があれば俺達で何とか説得するさ」
俺は戦闘経験などは無いし、言葉で説得すると決めていた。
スカイも戦争は起こしたくないようで、同じく言葉で解決しようとしていたらしい。
「成程ね。俺には何も変わりは無いですし、どうぞお気を付けて行きなさい」
セウズの裏のあるような笑顔は、いつの間にか優しさのある笑顔へと変わっていた。
と言う事で、俺は侵略者を説得しに、スカイと共に侵略者の元へ行った。
皆様こんばんは。
初めての後書きです。
作者の「夜ノ医」と申します。※読み方は(やのい)です。
日常の中で小説を書いているものなので、どうしても投稿が遅れる場合があるかもしれません。とても貴重な読者様には、大変申し訳にくい一方です!本当にすみません!
何故後書きを書いたのかと申しますと、ここから先は戦闘だったり、それに伴って暴言だったりと、少し過激な描写が入る場合がございます。
年齢制限は掛けていますが、念の為の後書きです。本当に念の為です。
只今精一杯ストーリーを独創しておりますので、次話まで暫しお待ちを・・・・・・!
まだ短いですが、これからも「クラゲの姿で異世界ライフ」を宜しくお願いします!




