第10話:俺の真の姿
読者の皆様、あけましておめでとうございます。
ここからは、二章までの茶番的な感じで見ていただけると幸いです!
今年も宜しくお願いします。
俺とアビス、ルインは、俺が修行をする為にシヴァの元へと向っていたのである。
そこで俺は一つ、知りたい事があった。
「なあ、アビス。その〝シヴァ〟ってのは、一体どんな奴なんだ?見た事話した事しかないから、あんま分かんないんだよね」
「その事についてはお任せ下さい。シヴァは元々、世界の魔物から恐れられている存在でした。鬼の王。また、破壊の恐ろしさから〝破壊神〟と呼ばれています」
アビスが淡々と説明してくれたお陰で、何となくどう言った人物かは理解出来た。
「物理的に壊すのか?それとも能力か何かか?」
「どちらとも、ですね。正直に申すならば、肉弾戦なら〝最古竜族ルイン〟をも凌ぐ程ですからね。魔法等の能力系統の戦いであれば、恐らく魔法特化の〝妖魔族〟を凌駕します」
色々知れて、凄く助かる。
兎に角、シヴァがとてつもないバケモンだと言うのは分かった。
後は、シヴァがどのくらい強いのか、だ。
あのセウズやルインを完全に越えられると言うのならば、中々の猛者である。
そんな事を話している内に、俺の学校へと着いた。
不穏な空気が漂うこの学校は、変わらず鬼達が働いていた。
「一人だけ豪華そうな服装だったからな。すぐに見つけられるぞ⋯⋯」
俺達は必死にシヴァを探した。
すると、シヴァが自ずと歩いてきた。
「おやおや、サレア様ではないか!戻っていらっしゃったのですね?無事に魔王名義に登録出来ましたか?」
シヴァからは、とても破壊神と思えない程美しい笑顔が見られた。
俺はそんな笑顔に惹き込まれそうになったものの、何とか自我を保った。
「ああ!テミスのお陰で、無事にな!」
そんな雑談は置いといて、アビスから用件を伝える。
「突然ですが、サレア様をシヴァの元で鍛えてくれないでしょうか?」
シヴァは当惑しており、視線が泳ぐ。
まあ、突然の事だし、俺だってシヴァの立場だったら困るもの。
俺はシヴァの立場になったつもりで、シヴァをじっと見守った。
そして、答えはどうなるのか⋯⋯。
「拙者は、サレア様が望むのならば可能です。寧ろ、拙者が嬉しい程に歓迎でございます!」
気を遣ってくれているのかと思うほど、笑顔で答えてくれた。
俺は多少不安になりつつあったが、シヴァならきっと受け入れてくれると信じていた。
アビスも深く息をつき、気持ちを和んでいた。
「それなら良かったです。御協力感謝します」
アビスが先に頭を下げ、続いて俺も頭を下げる事にした。
「俺もだ。こんな俺だが、一応魔王だしな。協力感謝するよ!」
するとシヴァは、慌てるように俺達の頭を上げた。
「と、とんでもない!御二方、頭をお上げになってください!」
なんと良い魔物なのだろうか。
俺の思っていた魔物とは、生物を殺し、弱肉強食の世界で暮らす悪い奴かと思っていたが、案外そうではないらしいな。
やはり、人間の発想では至らない部分もあったもんだ。
「それにサレア様、拙者も魔王でございますよ!」
なんと言う事だ。
シヴァも魔王だと知ると、俺は驚きのあまり声が漏れ出た。
「何!?」
「おや、知りませんでしたか?シヴァは破壊の神でもありながら、魔王でもあるんです」
アビスは手に持ったタオルで手を拭きながら、そう説明した。
魔王だと言う事の恐ろしさを知った俺は、呆然としていた。
「そんなに驚かれなくたって、拙者は拙者のままですよ。ささ、気を抜いて修行しましょうぞ!」
シヴァは優しく俺の手を取った後、ゆっくり俺を支えながら別の場所へと移した。
(シヴァならばきっと、サレア様がどれだけ秘力を秘めているかが暴ける筈。私の勘が当たると予想して、結果を待つとしましょうか────)
アビスは何か企んでいるのか、一人で「ククク」と笑いながら、ルインとその場を離れた。
俺は一瞬で、謎の暗い空間に閉じ込められた。
何がどうなっているのかは全く分からず、ただ声が響くだけ。
「お~い!此処は何処だ?」
俺は助けを求めるべく、少し叫んだ。
しかし当然ながら、助けなど誰一人と来なかった。
(おかしいな。シヴァに手を握られた後、意識が朦朧としてしまい、そこから記憶がねぇ⋯⋯)
何故だろう。
シヴァについて行っただけなのに、何故か気を失っていた。
すると、急に空から声が聞こえた。
《この世界は〝鬼王シヴァ〟によって創られし次元です。此処から抜け出すには、以下の条件が必要となります。
①人間型になる事
②この次元を越えられる程の魔力を放つ事
以上が、抜け出す為のヒントです────》
早速、やれる事だけは実行してみようと試みた。
先ずは、人間型になれば良いんだな。
俺はスカイの姿になろうとするが、何故かなれなかった。
(何故だ!?)
俺は何度もスカイの姿になろうと、必死に試す。
しかし、全て失敗に終わる。
そして再び、空からの声がヒントをくれる。
《他人と全く同じ容姿になる事は不可能になっております。自分で容姿を考えて下さい────》
う~ん。困ったな。
つまりは、自分で容姿を作れって事だと思われる。
俺はその後から、常に頭の中で色々とパーツを組み合わせたりした。
そのお陰で、漸く完成が間近になってきたのである。
(取り敢えず思いつかないので、俺がタイプな女の子の容姿をモチーフにして考えたが、これで良いのだろうか⋯⋯)
俺は俺の思うがままに、好きな女の子の容姿をイメージした。
それがやがて、俺の真の姿となるのであった。
《第一段階は成功です。続いて、第二段階もお試し下さい》
はいはい、分かりました。
俺は呆れていながらも、そっと魔力を解放した。
すると、俺から出た魔力は想像の遥か上を行ったのである。
「な、何だこれ!?」
《第二段階も成功です。故に、この異次元からの脱出を試みます────》
俺が驚愕している中、空の声は平静に対応してくれていた。
《脱出に成功しました。只今より、魔王海月を元の次元へと転送します────》
そして、俺の視界は真っ白になり、シヴァの元へと戻る事が出来たのである。
「サレア様、御無事に帰られたのですね?」
そう問うて来たのは、勿論シヴァだった。
内心の怒りと倦厭によって、溜息をつきながら返答する。
「はぁ。全く、誰のお陰で苦労した事やら⋯⋯」
そうボヤく俺に対し、シヴァはまだ目を輝かせながら見つめている。
「それについては、大変遺憾に存じ上げます。ところでですが、新たな容姿に成功したのですね!」
「ああ!俺が人間の頃に好きだった女子のタイプを参考にしてな。どうだ?イケてるだろ?」
俺は「フフン!」と鼻を高くするかのように、見栄を張る。
「え、ええ!」
シヴァは苦笑していたが、俺としてはそこまで嫌気はしなかったし、良しとしよう。
「あ、サレア様!それでは、早速修行の方に移りましょう」
そこで、シヴァは思い出したかのように本題に戻した。
当然、頷く以外に答えは無かったので、即頷いた。
俺達は場所を移し、そこにとある一つの扉が設置されていた。
その扉はとても巨大であり、周りに漂う大きな魔力がとても気になる。
「ここから先は、HMPが一万を越えていないと立ち入る事が出来ません」
シヴァは、冷静にドアに入る為の注意事項を簡単に説明した。
それにクエスチョンを浮かべた俺は、呆然と聞く。
「HMPって何だ?」
「HMPと言うのは〝生物に秘められた物事を破壊出来る力の危険性、潜在的危険性〟を数値化した物を指します。数値が高ければ高い程、危険性が高く、より膨大な魔力を所持していると言われます」
成程ね。
HMPについては、よく理解出来た。
取り敢えず、HMPが一万以上あれば、この扉を潜れると言う事だな。
そう自分に言い聞かせ、心の準備をする。
そして最初に、シヴァから魔力を解放する。
《HMPを測定した結果、以下の通りになります。
個体名=鬼王のHMP·····六万七千》
ドアが数値を測り取り、入れるか入れないかを審査するのか。
シヴァは余裕で一万を超えている為、ドアへの立ち入りが許可された。
続いて、俺が魔力を解放する。
《HMPを測定した結果、以下の通りになります。
個体名=魔王海月のHMP·····十一万九千》
おいおい、嘘だろ!?
俺、こんな強かったのか?
しかも、俺まだ本気出してないし⋯⋯。
驚く事に、軽く魔力を解放しただけで、軽く十万を越えたのだ。
これにはシヴァもビックリ。
「な、なんと言う事だ!十万を越えた!?」
シヴァは、今までに見たことの無いように絶句していた。
これには思わず、笑いが漏れ出てしまった。
「あ、ああ。何故か越えれたし、まあいっか!」
こうして俺とシヴァの、修行が始まるのであった。




