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魔王クラゲによる世界復古  作者: 夜之医
第一章:蟲王族編
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第9話:新たな仲間と今後

 皆が緊張して俺とモントデアの戦いを見る中、一人だけ閑暇な奴がいた。



「あーあ、つまんねーの。ボクもっと強い奴と戦いたかったな~」



 そう呟いたのはルインだったが、モントデアの表情が変わるのを俺は察した。


(もっと強い奴?一体、誰と戦ったと言うんだ?)


 モントデアがそう思うと、ルインは笑顔で独り言を口にする。



「さっきのトンボみたいな奴がボクに喧嘩を売って来てさ。弱かったから良いんだけど────」



 ルインの言葉は、モントデアの心に大ダメージを負う事になった。

 モントデアは胸を抑え、自身を落ち着かせる。


(落ち着け、私。まさか、私をも越えるツアガイルを、恰も弱いだなんて────)


 モントデアは再度ルインの顔を見るが、ルインから出る凄まじい覇気に押し潰されそうになっていた。

 モントデアは胸が苦しくなる一方で、戦意を損失していったのである。

 しかし、女王と言う肩書きの名において、敗北は許されない。

 女王が負けた。つまり、それは〝この星の敗北〟を意味するのである。




「私の配下でも、圧倒的に強いんだけどね。でも、そんなツアガイルを弱い呼ばわりするなんてね。タダでは帰さないわ」




 モントデアは星の為を思い、全魔力を解放する。

 俺はゆっくりと前に歩み出て、他の皆を守るべく守盾(シールド)を張る。


 モントデアは両手を広げ、宙へ飛んで行く。

 俺はそれを見つめながら、ゆっくりとモントデアに近づく。



「たかがクラゲの分際で、調子に乗るな!」



 魔力を使い果たしたのか、今度は打撃で攻撃を出して来た。

 しかし、そんなパンチを止めるまでもなく・・・・・・



「届いていない!?」


「たかが一つの国の女王の分際で、魔王に手を出すとはな────」



 俺はモントデアと同じように返答し、そのままお腹を目掛けて蹴り飛ばした。


「あまり女性に手を出すのも好きでは無い。だがな、そう言う思考では、悪を善とする(おんな)(ばら)も増えるんだよ」


 モントデアは口から出た血を、舐めるように拭き取る。



「ウフフ。私はアナタ方にとっても善となる行動しかしていないのだけどね。困ったな・・・・・・」



 何を寝言言っているのだ。と、突っ込みたくなる気持ちで山々だった。



「ところで、先程クワガタ野郎(スタッグ)に聞いたんだが、お前が我々を狙っていると言うのは事実であるか?」



 そう質問したのは、目の奥に燃えたぎる景色を映していたテミスだった。

 そうそう。元々何故モントデア達と戦っているかと言えば、俺達の命を狙っているとアビスから聞いたからだ。

 アビスは微笑しながら、話を聞く。



「アナタ達の命を狙おうとした事は、紛れもない事実だわ。だけどね、それには理由があるの」



 テミスは「サレア含むボクらの命を狙おうとしたのなら」と、手に魔気を込める。

 それを止める俺。


「理由を聞かせてくれ」


 俺がそう言えば、テミス達もモントデアも、話す場聞く場を作ってくれる。

 モントデアは思い悩んだ表情で、淡々と話し始める。




「私には、大切な故郷があったのよ。そこには沢山の花が咲き誇り、我々蟲王族(インセクト)も多く居たわ。だけど、その時は訪れた。平和と息災で満たされている中、サレア(アナタ)のようなクラゲ共に故郷を壊され、挙句は多くの蟲王族(インセクト)が奴隷として養われたわ────」




 胸が痛くなって来たせいか、俺は自然とモントデアに喋ることを阻礙した。


「過去に辛かった事があったんだな。もう、それ以上は思い出さなくて良いぞ」


 俺が話を止めると、他の皆も頷く。



「お前にはお前なりの事情があって、俺達の命を狙ったんだろ?俺達も俺達で事情を聞かず、勝手に攻めたのは申し訳ない」



 俺はそう言い終えた後、俯くモントデアに手を差し伸べた。



「俺達は互いに生きているんだ。殺し合いなんかせずに、笑って過ごそうぜ!」



 俺は笑顔で仲間に勧誘した。


 今まで戦ってきたのに、今更何をと思う人もいるかもしれない。

 だがな。遅くてでも良いから、相手の心に気付いてやる事が大事なんだと思う。


 俺はその考えを大切にしながら、仲間への勧誘をしてのである。


 アビス、セウズ、テミス、スカイ、ルイン。

 誰一人と嫌な顔はしていないし、寧ろ俺の意見に納得出来たと思う。


 そこで、モントデアが口上する。



「ありがとう。でも、私もアナタ達の事情を知らずに戦を起こした。誠に申し訳ない!」



 モントデアが涙を流しながら、俺達に頭を下げる。

 俺はニッコリと笑い、モントデアの頭を上げる。


「その気持ちは俺達も一緒なんだから、謝罪は無しだ!」


 俺の微笑みに釣られるように、モントデアの口角が上がった。


 この空気、如何に清々しいのだろうか。

 戦闘が起こっていた重苦しい空気から、平和で爽やかな空気へと変化されたのは、実に素晴らしい。


 俺は、我ながら感激を受けていたのである。

 そこに、テミスが一つ借問する。



「サレアよ。ボクのところに、彼女をこちらにくれないか?」



 彼女とは、モントデアを指しているのだろう。

 最初は戸惑いこそしたが、すぐに結論が出た。


「う~ん。俺との縁でモントデアが過ごしづらいのかもと考えると、その意見には賛成だな」


 俺は、キッパリと賛成したのであった。

 それに喜ぶテミスと、緊張から解されたモントデア。



「本当か!?それは助かる!」


「よく分かりませんが、私は(サレア)について行けば宜しいのですね?」



 テミスは頷き、モントデアに対して軽く自己紹介を行った。


 別の人達の事だが、セウズとスカイは元に居た星へと帰るらしい。

 ルインは特に戻らなければならないと言う事情は無く、俺に付いて来るらしい。

 そして、セウズ達やテミス達は、それぞれの居場所へと戻って行った。

 皆が帰った後、俺の背後からアビスが一つ質問を投げかけて来た。



「失礼します。サレア様は以前、学校に通われていたと思われますが、そこで鬼のような者は居ませんでしたか?」



 俺は、一人だけ心当たりがあった。




『これはこれはテミス様。お呼びでしょうか?』



『呼んだから来てるんだろ?鬼王(シヴァ)。ボクの隣にいるこのクラゲは、今からボクや君達の王だよ────』




 俺はテミスと出会ってすぐの時を回想し、その時の状況をアビスに伝える。



「居た!確か、そいつは〝鬼王(シヴァ)〟と名乗っていたような・・・・・・」



 俺がシヴァの名を出すと、ルインとアビスは目を見開いた。

 そこで、ルインが質疑して来た。


「ほう、シヴァとな!?一体、サレアは何を話したんだ?」


 俺は顎に手(?)を当てつつ、話した内容を思い出した。


「そうだな。俺が何処から来たのか、とかかな?優しそうな奴だったし、何も思わなかったけど・・・・・・」


 俺がそう述べると、続いてアビスが警醒する。


「シヴァは穏やか且つ温厚ですが、破壊力は凄まじい程ですよ────」


 アビスが言うから余計信じているが、正直最初から気づいていた。


「そうなのか?それで、何でシヴァの話題を出したんだ?」


 俺は逸れていた話を戻すべく、アビスにそう問いかける。



「ああ、話が脱線しましたね。シヴァについてですが、先程も話したように、破壊力は世界トップを誇る程です。その為、戦闘や破壊については物凄く長けているのです。そこで、サレア様はシヴァの元に稽古を付けに行くのはどうでしょうか?」



 何を急に────と、俺は困惑していた。

 当然の如く、俺は直ぐに頷く事無くじっくりと考えた。

 そこで、俺は一つ疑問を抱いていたので、流れに乗って問う。


「何故シヴァなんだ?他は居ないのか?」


「居ない事はないですが、サレア様の本気を実感出来ると思われます。何をしようと、全て破壊されますし────」


 なるほど。他者に対する危険な魔法を放てるからこそ、修行になると言う事か。

 俺はそう解釈した。


「ボクじゃダメなの?」


 ルインは、アビスを嫌味ったらしく睨みつける。

 すると、アビスはクスクスと笑いながら返答する。


「とんでもない。ルイン様でも全然可能なのですが、余りにも危険すぎます。ここはきっちり専門家に任せないと────」


 アビスの話の途中で、ルインはアビスに殴りかかる。

 しかし、アビスは指一本で受け止めて見せた。


「何!?」


「急に殴りかかるなんて、危ないじゃないですか。私だから良かったものの、サレア様にしたら命は無いですよ?」


 ルインは歯軋りをしつつ、測定出来ない程膨大な魔力を放出する。

 そこの間に入るかのように、俺が喋りかける。


「抑えろ、ルイン!二人とも仲間なんだから、喧嘩しないでくれ────」


 案外ルインは、すぐに大人しくしてくれた。

 力及ばずな俺からすれば、全く以て助かる話である。



「話を戻しますが、サレア様はシヴァの元でないといけません。女王モントデアとの戦いを見て、数多な能力を所持していると推測出来ましたので、どんな事をされるか分かりませんよ」



 ルインは頬を膨らますが、俺自身も納得できる。

 何故あんな能力が出せたか、とかさ、思っちゃってたから。

 取り敢えず、殴り合いになるような事は起きなくて良かった。

 俺がこの場を収め、シヴァの元へ向かう事にしたのであった。

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