㉓『やってきましたマジカルメイデン』
魔導祭ライブ出演一日目の楽屋で、私たちマジカルメイデンは魔総会の中継を見ていたのだけど、重苦しい雰囲気になっていた。
「だ、大丈夫なんかな……」
「うん、ちょっと大変なことが起きちゃったね……」
「そうだね。あのモノレールで出会った柊君……だったね。がちゃんと墜落した選手を受け止めてなければもっと大変だったよ」
「ふぅちゃんビックリしちゃった~。ね~? 鈴音ちゃん」
「…………」
あのぶつかっていった選手……何かおかしな力を使っていたように見えたけど……気のせいかな……
「鈴音ちゃん?」
「あ、ごめん」
零一も何かしたよね……皆は見えてなかったみたいだけど。
それよりも今はライブのことに集中しなきゃ。私がリーダーなんだから。
「はぁ……ふぅ……みんな落ち着こう。これからライブだよ。ぶつかった選手の容体は私が後で聞くから」
「え? 鈴音、連絡先知ってるんか?」
雪奈が不思議そうに訊いてくる。
「ちょっとね」
「なら、後で教えてね鈴音ちゃん」
「わかった。じゃあ行こうか! マジカルメイデェェェェン!!!」
「「「「イグニッション!!!!」」」」
円陣を組んでステージへと向かった。
「じゃあ、朱美お願いね」
私の合図に、朱美はオッケーサインを出すと、大きく息を吸って、
「はーい!! みんなー!! お待たせ―!! マジカルメイデンの時間だよーー!!!」
会場に集まった人たちに私たちの出番を知らせると、大歓声が私の耳に入ってくる。
「まずは、わたしたちのことを知ってもらうために、この曲から行くよーーーーーー!!」
曲が流れ始めた。
マジカルメイデンのメンバー紹介用の曲で、『やってきましたマジカルメイデン』を今から披露する。
『マジカル!』(マジカル!)
『マジカル!』(マジカル!)
『マジカルメイデンです! はい!』
「やっほー! マジカルメイデンだよー!!」
「張り切って行くでーーーー!!!!」
『私たちマジカルメイデンって言います』
『魔導がちょっぴり得意な女の子』
『でも誰が誰だかわからなーい!』
『ほならうちらのことを語ろうや!』
『誰から?』(誰から?)
『誰から?』(誰から?)
『今日はあたしから行かせてもらうよ』(海李だレッツゴー!)
『あたしは淑徳海李と言うんだ。身長は一七二センチあるんだよ』(うらやましい!!)
『得意な魔導は水系統魔導だよ』(それじゃあ見せてよ海李ちゃん!)
『それじゃ見ててよ、水柱!!』
『これがあたし、淑徳海李さ』(サンキュー海李!!)
『お次は誰かな?』(誰かな?)
『うちが行くでー!!』(任せた雪奈レッツゴー!)
『うちは金城雪奈言いますー! 実はうち、出身関西ちゃうねん!』(なんだってー!?)
『両親は関西出身なんやけど、生まれも育ちも岐阜やねん!』(新事実!?)
『そないなことは置いといて、うちの得意な魔導は氷系統魔導やで!』(ホントかなー!)
『それじゃー見ときや! 雪結晶!』
『これがうち、金城雪奈や!』(ブラボー雪奈!)
そして、朱美の自己紹介になろうとした時、一人の男性ファンが舞台上に上がってきてしまった。
「あ、あかんて上がってきたら!」
「gはlhglbfkじゃl!」
「っ!?」
おかしな言葉を発しながら、私たちに赤黒い液体を吐きかけてきた。
おかげでライブ会場は騒然となってしまった。
「なにこれ……みんな大丈夫――っ!?」
「djklがd」
「sdgじゃ」
「rふぁsfgthtj」
「gfjsj」
四人とも男性ファン同様、おかしな言葉を使い始めてしまった。
「一体なにが……」
「ここにも現れたのか!!」
どこからともなく零一が私の横に立っていた。
「零一! これはどういうことなの?」
「説明は後だ。先に助けるぞ」
零一は魔導デバイスを取り出して、魔導の準備に入った。
助けられるなら、私もやらなくちゃ。
「……うん、わかった」
私は右手に力を集めて、一本の剣を作り上げた。
「鈴音……その剣はまさか……」
「説明は後なんでしょ? 早く助けようよ」
「あぁ、そうだな。やるぞ!」
歌詞を熟考していたら時間かかってしまいましたw
頭の悪い歌詞ですわよ~




