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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第三章:魔導祭編
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㉒ショータイムの始まり。

『今日から魔総会が始まります。昨日の開会式同様に人が沢山と詰めかけていることでしょうから、気を引き締て警備の方をよろしくお願いいたします』


「了解しました」


 魔総会初日。オレと桐生の担当はスカイレースの警備をしている。


「異常は……ないな」


「うん……大丈夫……あ、猿島さん……」


『これより一年生Aグループ第一レースを行います』


 アナウンスが流れると観客の歓声が巻き起こる。

 そして選手入場が始まると歓声が更に大きくなると猿島さんたちが登場した。


「頑張れーーーー!!! 奈々ーーーーー!!!」


 聞き覚えのある大声の方を見ると、奏が立ち上がって両手を振っていた。それを恭介が抑えようとしていた。


「お客様、席を立っての応援は危険ですからお控えください」


「あ、すみま――って零一君!?」


「おお、零一。似合ってんじゃねーか」


「そうか?」


 恭介はオレに向かって親指を立てた。


「奏、スカイラクロスの練習はいいのか?」


「試合は明後日だから大丈夫」


「そうか、ならオレの分まで声出して応援してくれ」


「了解!」


「じゃあ頑張れよ零一」


「あぁ」


 奏と恭介の元から離れるて警備の仕事へと戻った。


『それではレースを開始します。選手はスタート位置まで飛行をして下さい』


 猿島さん他スカイレースの選手たちがスタートに飛行をすると、歓声が静寂へと変わる。


 そしてスタートを知らせる三つの赤ランプが順に消え、青ランプへと変わるとレースが始まると、また大歓声が巻き起こる。


「上手くスタートが切れましたわ!」


 スタートダッシュを決めた猿島さんが先頭に躍り出た。

 そして苦手としていたコーナーも難なく曲がっていくので、オレの言った通りのことを実践出来ているようだ。


「これは一位だろうな」


「うん……凄い……」


 後続も必死追いすがるが、やはりコーナーで負けてしまっているので、追いつくに追いつけない状況だ。

 かに見えたが、二人ほど猿島さんにグングン追いつく選手がいた。


『ここで前年度優勝の学院都市選抜の久留井選手と、東北魔導高校の虹山選手が上がってきたー!!』


 アナウンサーも興奮気味に実況しているのも頷けるぐらいに猿島さんとの距離を詰めていく。


「何か……変……」


 桐生がボソリとそんなこと言う。

 変……あぁ確かに変だな。


「おい、あの選手の飛行速度おかしくないか!?」


 観客の一人が叫ぶ。


『虹山選手どうしたー! もうすぐ最終コーナーだと言うのにスピードを落とさないぞー!!』


 アナウンサーも叫ぶ。


 そして、そのまま猿島さん目掛けて突進するように飛んでいった。


「危ない!!」


「えっ!? きゃああああああ!!!」


 背後から勢いよく飛行されて猿島さんと激しくぶつかってしまった。

 しかもその衝撃で飛行魔導が切れてしまい、落下してしまっている。


「猿島さん!!」


「奈々ー!!」


「行ってくる!」


「うん……!!」


 オレは飛行魔導で猿島さんに向かって飛んでいき抱き留めた。

 そしてそのまま医務室に連れて行こうとしたが、ぶつかって自分にもダメージがあるはずの虹山選手が立ちはだかった。


「どいてください」


「…………」


「もう一度言います。どいてください」


「あdさ……だsfsg……だがfげg」


 これは……まさかとは思うが……影の主、貴様の仕業だな?


「あsdfghjhgfds」


「くそ! やはりそうか!」


「cvbんjhtgrf」


 こんな観客がいる中で暴れらても困るからな……ならば……


「sfws!?」


 人には見えないように腹を殴って気絶させて、虹山選手も抱きかかえて降りた。


「このまま医務室に向かうので、どいてください!!」


 医療班の指示も耳に入れないほど焦っている演技をして、医務に駆け込んだ。


「ふぅ……これでいいだろう」

 

 医務室に鍵をかけて、猿島さんはぶつかった衝撃で気絶しているのでベッドで寝かせた。


「さて、どうせあの赤黒い液体を飲み込んでいるんだろうな」


 虹山選手の腹部に手を置いて、オレの魔力を入れた。


「……あがぁぁぁぁ!!!」


 入れ続けて二分ほどすると、虹山選手の口から赤黒い液体が吐き出された。

 オレは〈火炎風フレイア〉で赤黒い液体を燃やして消すと、そこに一枚の紙切れが現れた。


「…………」


 紙切れにこう書いてあった。


 ショータイムの始まり。

イッツショータイム!!

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