⑱アイドルに興味があるんですか零一くん?
魔導祭開催まであと二日。
今日は魔総会に出場する高校生たちがこの学院都市へとやってくる日なので、サシマロイヤルホテル近くのモノレール駅を警備をすることになった。
「暑い……涼しい部屋に行きたい……」
「さすがに同意するぞ、これは暑い……」
この日の予想最高気温は三八度。警備服も着ているものあって暑すぎる。
「本当に暑いですね~」
そう話しかけてきたのは、栞さんだった。その後ろには柴咲や雉幡さんの姿も見える。
「生徒会長……」
「桐生さんも頑張っているみたいですね。ちゃんと眠れているみたいですから安心しました」
「は、はい……!」
そう言えば気になることがあったな。
「栞さんたち選手はどこで宿泊を?」
「サシマロイヤルホテルですよ」
そうか、同じなのか。
「それはそうと零一くん?」
「なんですか?」
栞さんはオレの耳まで口を近づけて言った。
「どうして連絡くれなかったの?」
しまった。忘れていた。
「すみません。忘れてました……」
素直に謝ったら、栞さんはニコッと笑った。
「大丈夫ですよ。警備で忙しかった――」
「あ、零一に桐生さん。おはよー!」
元気よく鈴音が挨拶だけをして走ってオレたちを横切っていった。
制服を着ていたので学校にでも行くのだろうな。
「鈴音ちゃんの挨拶……もっと頑張る!」
「良かったな」
「うん!」
「誰、ですか今の?」
栞さんは笑顔だ。だが、背中あたりから黒いオーラのようなものが出ている。実際には見えないが。
「魔導アイドルの……桜花鈴音ちゃんです……」
「アイドル……アイドルに興味があるんですか零一くん?」
「ありません……」
「では、あの綺麗な銀髪が好みだと?」
何を張り合っているんだ……
「確かに綺麗ですけど、栞さんの方が好きですよ髪色は」
「わお……」
「……も、もう……褒めたって何も出ませんよ零一くん♪」
凄く嬉しそうだ。
「立ち話もなんですから皆をホテルまで警備しますよ」
と言っても数分でついてしまうがな。
「あら、それは嬉しいですね。ではお願いいたします」
オレを先頭にしてサシマロイヤルホテルまでの道のりを歩く。
「あ、そうそう。神沢先生からこれを預かってきましたよ」
栞さんがオレに渡してきたのはUSBメモリーだった。
「内容は聞きましたか?」
「シャッテンについての項目がズラリと入っているそうですよ。携帯端末では容量オーバーになるほどの量みたいですよ」
「ありがとうございます」
警備が終わったら閲覧しようか。
アイドルは、マスターなやつが好きです




