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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第三章:魔導祭編
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⑯なら、私も混ぜてくれない?

「どうでしたか零一様?」


 魔導祭まで後五日となり、オレは約束通りに警備の時間を終えてから猿島さんが出場するスカイレースの練習を見ることにした。


「タイムはそこそこだな。コーナーが苦手に見えるな」


 スカイレースは高さ二十メートルに浮いている輪っかをくぐり抜けていく飛行魔導の技術を高く要求されるレースになっている。


「そうですね……コーナーになると体のバランスが悪くなってしまうんです……」


「魔力を落として曲がってみろ」


「それだと速く曲がれなくて抜かれてしまうのでは?」


「曲がれないのに速く曲がろうとするな」


「うっ……そ、そうですわね」


「ちゃんと速度を落として、曲がるのは大事だが」


 猿島さんの良い所は思いきりが良いということだ。なら彼女に教えられることはこれだろう。


「直線で思いっきり加速すればいい。でもちゃんと減速するんだぞ」


「わ、わかりましたわ!」


 猿島さんはオレの言葉を噛みしめながらもう一回コースへと戻った。


 今度は言われた通りにコースを飛んでいる。少々極端ではあるが加速と減速はできてるな、あとは相手がどう動くのかを考えるだけになってくるから、そこは賢い猿島さんなら大丈夫だろう。


「なら、ちょっとしたイタズラするか」


 オレはふわりと浮いてコースへと飛んでいく。


「れ、零一様!?」


「相手がいなければ練習にはならないだろ」


「……えぇいいですわ」


「なら、私も混ぜてくれない?」


 オレたち二人の後ろから飛んできたのは鈴音だった。


「どなたですか?」


「昨日オレを助けてくれた桜花鈴音だ」


「そうでしたか、あたくしは猿島奈々と申します」


「もしかして……サシマロイヤルホテルの猿島?」


「えぇ、そうですわ」


 口をあんぐり上げて驚く鈴音に、オレは言った。


「それよりも鈴音は中学三年生なんだから魔総会には出れないだろ?」


「まぁそうだけど、会場の下見してたら面白そうなことしてたからさ」


 鈴音の言葉に、猿島さんが訊いた


「下見とは?」


「私、アイドルしてるんですよ。それで魔導祭でライブするんです」


「あら、そうだったのですか。頑張ってください」


「ありがとうございます。それと」


「それと?」


「練習レースですけど、私が一着でゴールさせてもらいますね」


 そう強気に宣言すると一気に加速してスタート地点へと向かった。

 速いな。しかも魔力が少量で無駄がない。Sランクの魔導学生というだけはあるな。


「やりますね。負けられません!」


 そしてスタート地点に三人並び、スタートの合図を待つ。


 三……


 二……


 一……


「ゴー!!」


 鈴音が華麗なスタートダッシュを決めて先頭に躍り出た。


「私の飛行魔導に追いつくのは難しい……えっ!?」


「なんだ?」


 オレが鈴音の横を悠々と飛んでいることに驚いていた。


「あたくしもいますわよ!」


「なかなかやるじゃん!」


 U字コーナーで減速せずに飛んで突き放しにかかる鈴音。


「甘いな」


「えっ、なんで!?」


 オレは鈴音よりも内側でコーナーを飛んでいる。


「容易いぞ鈴音。オレに勝ちたくば慢心するな」


「あっ……」


 鈴音の飛行速度がいきなり落ちてしまった。そしてそのままオレが一着でゴールし、二位は猿島さん、三位は鈴音となった。


「どうしたんだ鈴音?」


 何か思いつめた顔をしてコースから下りてくる鈴音に訊く。


「あ、ううん、ちょっと思いっきり飛ばし過ぎて疲れちゃっただけ……アハハ!」


「そうか、ライブも控えているんだ気をつけろよ?」


「う、うん、そうする。じゃあまたね零一」


「あぁ……またな」


 空元気にしか見えない笑顔で手を振ってオレたちから去っていく。


「大丈夫でしょうか?」


「多分な」


鈴音どうしたのー?


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