⑮Sランクの魔導学生に出会うなんて
「不法侵入者の確保ご苦労様です」
会合を行った会場で猪里さんに報告をしていた。桐生はホテルに戻っているでここにはいない。
「助けてもらったので、オレは連れてきただけですよ」
「一歩踏みとどまったのはいい判断でしたよ。手助けをしてくれた人がいた。というのも大事なことです。悪い印象を受けていると手助けはしたがらないですからね。それで、手助けをしてくれた女の子はわかりますか?」
「学校はわかりませんが、桜花鈴音という中学三年生です。アイドル活動している女の子みたいですよ」
鈴音の名前を出すと、猪里さんは一瞬だけ目つきが鋭くした。
「それは、凄い偶然でしたね。Sランクの魔導学生に出会うなんて」
Sランクの魔導学生……?
「この学院都市の学生には魔導の成績に応じてSランクからGランクというランク付けがされているんですよ。そしてSランクとして認定されているのは十人。学院都市に住んでいる学生は百万人ほどですから……」
「Sランクの学生に出会うのは奇跡に近いと」
「柊くんの言う通りです。とても運が良かったですね」
そうだったのか。そういったランク付けされて最上位にいれば傲慢だったり、高飛車な輩が多そうだが、鈴音はそうは見えないほどフランクだったな。
「桜花さんぐらいでしょうね。Sランクで友好的な学生というのも」
「そうなんですか?」
「あとは結構な変わり者な学生たちと、情報が入っているんですよ。学院都市一の暴れん坊だとか、完全秘匿して本当に在籍しているのか? など様々です」
暴れん坊ならまだ納得できるが、完全秘匿しているのはどうかと思うぞ。
「そういった学生もいるので、注意……というかあまり関わらないようにして下さい。騒動の中心になり易く、巻き込まれる可能性があるので警備どころではなくなってしまいますから」
「わかりました……」
こういうことが多いから警備生徒というのを作ったのか、納得した。
「と、無駄話が過ぎましたね。後のことは任せて体を休めてください。二週間も慣れないことをしますから」
「わかりました。では、失礼します」
別れの挨拶をして、オレはホテルへと戻った。
「あら? 零一様ではありませんか、警備生徒の活動だったのですか?」
ホテルに戻ると、猿島さんがエントランスの一角にあるカフェラウンジから出てきた。
「あぁそうだ。不法侵入した男を捕まえてな」
「まぁ、見事ですわね零一様」
「それよりも、いいのか? 魔総会に出るメンバーは競技の練習をしていると聞いたが」
「あぁ、そのことなら心配はありません。あたくしは個人競技のスカイレースに出場するので、先に現地に入って練習しているんですよ」
「そうなのか」
ふむ、ならここはロイヤルスイートに宿泊しているお礼ができるかもしれないな。
「明日の午前は警備生徒としていないんだが、午後からなら猿島さんのスカイレースの練習を見ようか?」
オレの提案に猿島さんは思わず大声を出しそうになったが、さすがに場所をわきまえているのか、咳ばらいを一つしてから答えた。
「嬉しいことなのですが……いいのですか? お体に障らないでしょうか?」
「大丈夫だ。何かあれば報告はするよ」
「わかりました。うふふ♪ 零一様に練習を見ていただけるなんて幸福なのでしょう。では、明日の午後にここでお待ちしていますわ」
「わかった。それじゃまた」
「えぇ、また明日に」
オレはエレベーターに向って歩き出した。途中、
「やりましたわーーーーーーーーーーーー!!!!」
という大声が響いたが、オレは振り返ることはなかった。
猿島さんはラッキーですなー!




