⓾うふふ、そうね、楽しいわ♪
マジカルメイデンたちはまたおかしな格好に戻してモノレールから降りていった。
「話ができて良かったな」
「うん……宝物……」
オレたちはもう二駅先まで乗っていくので、座席に腰を据えて外を眺めることにした。
本当だったらオレもここに住んでいるはずだった。こちらの魔導学校の方が魔導教育は上でハイレベルな専門学校の試験まで受けて合格したのだが、それを母さんの猛抗議で断念した経緯がある。
今となってはこれはこれで良かったと納得している。
「さて、どんなことをしてくるんだろうな……あいつは……」
「ん……なんの話……?」
「気にするな独り言だ」
オレたちの乗るモノレールは、高いビルの合間を縫うように進んでいった。
――学院都市の電波塔――
「ふふ、来ましたか……」
学院都市に建設されている超高層ビル群の風景を一望できる電波塔の骨組みに、どんな光も吸い込まれそうな黒々とした髪の女性が座っていた。
その女性の背格好は至って普通で、どこかおかしな部分はないと言えるが、ただ朱色の瞳が怪しげに光っており、ある一点だけを笑顔のまま見つめていた。
「私の招待状をちゃんと受け取ってもらえたようで何よりです」
「マスター……なんであいつ呼んじゃったの?」
彼女の隣に座って、嫌な顔が隠しきれてない小麦色の髪色が特徴的な少女は『マスター』と呼んだ女性に訊く。
「面白いことをするのに、役者は必要ですから」
「えぇ~いらないと思うな~」
「今回は私たちの大義を示す時間でもありますから、彼が必要なんですよ」
笑顔を崩さず話していると、マスターの携帯端末が鳴った。
「そうですか、彼女が戻ってきましたか。えぇ、そうです。その女の子が……少々お待ちくださいね」
彼女たちを取り囲むように、武装されたドローンが数十機現れた。
「フホウシンニュウヲサッチ。タダチニトウコウシロ」
「今、話をしているので、邪魔しないでください」
「トウコウシロ、トウコウシロ。デナケレバ、コウゲキヲカイシスル」
「邪魔、ですよ?」
彼女が不気味な笑みを浮かべると、武装ドローンは次々と爆発をして落下していく。
「マスター相変わらず笑ったまま壊すの好きだよね~」
「うふふ、そうね、楽しいわ♪」
怪しげに光った瞳とニヤニヤと笑っているせいで、彼女の不気味さが更に増したが、通話途中というのを思い出したようで、不気な笑みを消して話に戻った。
「あ、すみません。お話の途中でしたね。えぇ、その子が先日教えた……銀髪の女剣士……ですよ♪ えぇそれでは引き続き監視を続けてください。では、また」
通話を終了させると、マスターは少女に向けて言った
「さて、私たちもお仕事に戻りましょうか」
「は~い」
マスターは少女の手を握ると、徐に骨組みから一歩踏み出した。
普通なら落下して当たり前にも関わらず、彼女らは階段を降りるように一歩一歩降りていった。
うふふ、仕事が忙しくてたまりませんわ~




