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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第二章:都市伝説編
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㉒それでは問題でーす!

 下には厚い雲、上を見れば燦然と輝く太陽が見れる空を飛ぶ〈黒焔滅死鳥ヘイルへニックス〉の前方に赤黒い怪鳥がようやく見えてきた。


「栞見えるか? あの鳥の中に楯宮が包まれている」


「私は何をすればいい?」


「〈黒焔滅死鳥ヘイルへニックス〉の性格上、手加減を知らん。つい攻撃をしすぎて中にいる楯宮を落下させてしまう可能性がないと言いきれん。だからその時になった場合に備えて受け止められるように準備を頼む」


「わかった。それじゃ、気をつけてね」


 オレに武運を祈った栞は〈黒焔滅死鳥ヘイルへニックス〉の背中から飛行魔導で飛び立つ。

 

「よし、やっていぞ」


 大きく鳴き声を上げた〈黒焔滅死鳥ヘイルへニックス〉のくちばしの先に黒き焔が集まっていく。

 そして出来上がったのは、膨大な黒い焔が渦巻く漆黒の球体。

 

 それを一直線に放つと、轟音を響かせて青空を進行していく。


「何あれ反則じゃん!?」


 怪鳥は漆黒の球体から逃れようと飛行速度を上げるが間に合わないのを悟ったのか急降下をした。

 だが少しの気の迷いをしたことで、怪鳥の尾っぽ部分が跡形もなく消し去ってしまっている。


「ふぅ間一髪だ……危ない危ない」


「そう思うか?」


「え? しまっ――」


 黒き焔の球体が大爆発を起こして、爆焔が怪鳥を呑み込んでいった。

 

「…………見つけたっ! 零一くんあそこ!」


「しぶといな」

 

 怪鳥が大爆発で散り散りに燃えると思っていたが、胴体と片翼だけを残して落下をして雲の中に消えていった。


「栞、オレたちも降下するぞ乗ってくれ」


「うん、わかった」


 もしもように作っていた電気の網を霧散させて、栞が〈黒焔滅死鳥ヘイルへニックスの背中に乗ると、オレたちも雲の中に入っていった。


 そして雲の下に出ると雨がしとしと降り、青々とした山や田園風景などが目に入ってくる。

 

「あれか」


 真っすぐ下に落下している怪鳥を見つけて近づいていくと、胴体部分に人一人分の穴が開いていた。

 どうやら雲の中でこいつを捨てて逃げたようだな。


「どこに逃げたんだろう……」


「さぁな……だが遠くまでは逃げられるようには思えないが……」


 オレは魔眼を光らせて周りを見るが、何も異常はないようだ。しかし、あの不快な力すら感じないのはおかしいな。


「それでは問題でーす!」


 いきなり楯宮の声がどこからともなくオレたちに届いてくる。


「ワタシはどこにいるでしょうか? 一、柊さんよりも上にいる。二、もう地上に落ちてる。三、飛行して逃げてる。さぁどーれだ?」


 本当に子供じみた性格をしているんだな楯宮を操っている奴は。


「早く答えてよーほらーねぇー早く―じゃなきゃこの子殺すよ?」


「零一くん、私が代わりに答えるよ。正解は、一の零一くんより上にいるにするわ」


 …………………………


「ブーーーーー!!! 正解は、四の綺麗なお姉さんの後ろにいる。でした!!」


「えっ!? きゃあああああ!!!」


 栞の悲鳴で後ろを視線を移すと、栞の首に赤黒い液体が何重にも巻きつかせて、奴はニタニタと笑わせていた。


「動いたらダメだよー? 変なことしたら綺麗なお姉さんの頭と体が離れちゃうからー。そのままゆっくり降りようねー。あ、その鳥の残骸は燃やすなり壊すなりしてもいいよ」


「……わかった」


 オレは指示をして怪鳥の残骸を燃やさせてから、ゆっくりと野原に着地をさせた。


「素直に言うこと聞いてくれてありがとうね♪」

 

 栞の首に赤黒い液体を巻きつかせたまま〈黒焔滅死鳥ヘイルへニックス)〉から降りた。


「栞を放してもらおうか?」


「うーん、どうしようかなー?」


 人差し指を顎に当てて首を傾げて考える奴は満面の笑みで答えた。


「やだ♪ このまま殺しちゃうね♪」


「うぐぁっ!!」


 赤黒い液体で宙に浮かせたまま巻きつける力を強くして栞の首が絞まっていくが、オレは冷静に栞に伝える。


「栞、あれを使え」


「? 何々? あれって?」


「貴女には理解できないことだね」


「は? 何言ってん……はぁぁぁぁぁぁぁ!? なんで柊さんの横にいるのー!?」


 さっきまで首を絞めていたはずの栞が一瞬にしてオレに背中に抱きついていることに、奴が驚愕の声をあげて絞めていた赤黒い液体と栞を何度も見直していた。


「さて、楯宮の体を返してもらおうか!」

楯宮ちゃんを返しやがれ

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