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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第二章:都市伝説編
34/75

⑫なんてアンラッキーアンハッピーなの!

「えぇ~~~~~!? 吸血女性に会ったのーー!?」


 次の日の朝。

 オレは昨日起きたことを柴咲に多少言葉を濁して教えてやると、教室に響くほどの大声を上げた。


「いいないいな! ボクもついて行けばよかったなー!」


「その人から忠告も受けている。都市伝説サイトでその魔導師とやり取りをしないようにとな」


「うん、わかった。さすがに学生の手に余ることになっちゃったからね」


 そう言いつつも、タブレット端末を取り出して都市伝説サイトを開こうとしている。


「こーら姫子。零一君がダメって言ってるんだから開かない!」


 スカイラクロス部の朝練習を終えた奏が、柴咲に注意しながら教室に入って来た。


「アハハ……ごめんごめん」


 あまり深追いしてしまわないように、オレは違う話題を出した。


「それにしても、奏は今日も朝練習しているんだな。疲れないか?」


「うん、大丈夫だよ! 次の土曜日に他校との練習試合でレギュラーに選ばれたから気合い入れないと」


 奏の背から炎でも見えそうなほどの熱の入りようだ。

 それだけその練習試合が重要らしい。


「その練習試合で動きが良かったら、県大会のレギュラーにでもなれそうなの?」


「どうかな? 先輩たちの方がやっぱり飛行魔導技術は高いし、シュートも威力があって色々出来るから、あたしの飛行魔導技術でどれだけ渡り合えるのか楽しみ。っていうのが一番かな?」


 晴れやかに語る奏にオレは笑いながら、


「なら、応援でもしに行くか」


「えっ……ホントに!? いいの!?」


 興奮気味に訊いてくるのでオレは頷くと、奏は握り拳を作って震えていた。


「おぉ……なんか力が湧いてくる感じがする……」


「じゃあ、ボクも行こうかな?」


「あ、姫子が言ったらなんか力が抜けた」


「えぇ!? なんでさ!」


「ウソウソ。姫子も来てくれるならありがたいよ」


 奏が笑って言うと、柴咲は拗ねたような表情で、


「もう……そんな嘘をつく奏っちにはこうだ!」


 奏のわき腹辺りをくすぐり始めて教室が騒々しくなった。


「あはははははは!! ごめんてごめんて!! あははははは!!」


「朝っぱらから元気だなーあいつらは」


 恭介が遅刻間近になって教室に入ってくる。

 薄茶色髪は乱れに乱れ、服は着崩れてネクタイもただ首に撒いているだけだった。

 そんな恭介は疲れた様子で席に座りこんだ。


「どうしたんだ? 寝坊か?」


「いや、人助けしてきた」


 …………どういうことだ?


「何かあったのか?」


「なんか魔導を使って車とか色んなもん吹き飛ばしてた奴がいてよ。そしたらなんか金髪のねーちゃんが現れて戦いが起きちまったから、避難誘導とか手伝ってたんだよ」


 金髪のねーちゃんとはギリザイエのことだろうな。偽りの魔力を与えられた奴が暴れていたのか、朝早くからご苦労なことだ。


「んで、はいよ零一」


 恭介がズボンのポケットから、黒々としたブレスレット型の魔導デバイスを取り出してオレに差し出してくる。


「へー? 見たことないモデルだね?」


 奏をくすぐっていた柴咲がオレたちの間に入って黒い魔導デバイスを見入る。

 ちなみ奏は床に震えながら倒れていた。


「その暴れてた奴か、金髪のねーちゃんのか知らねーけど、落ちてた魔導デバイスだ。金髪のねーちゃんは事が済んだら飛んでったから、多分暴れてた奴のじゃねーかな?」


「そういうことか、昼休みにでも解析してみようか」


 恭介から受け取ると嫌な力などは伝わって来ないので、そのまま上着のポケットに入れた。


「それと恭介、今週の土曜日は暇か?」


「なんかあんのか?」


「スカイラクロス部の練習試合に奏が出るからその応援だ」


「お、いいね。もちろん行くぜ。頑張れよ奏」


 倒れている奏は震えながら親指を上げた。

 これを解析ついでに栞さんも誘ってみるか。


     ◇ ◇ ◇


 ど、どうしよう……どこにもないよ……どこかで落としちゃったのかな?


 あれがなきゃ仕事にならなくなっちゃうよ……あーもう! アタシのバカ!


 偽りの魔力を持った子が暴れてた時にはあったから……もしかしてあの後に落としちゃったのかな?


 もしそうだとしたら、色々やばいことになっちゃう!


 アタシが――だってバレちゃうし、秘匿魔導になってる――魔導を使ってたのもバレちゃうよね? なんてアンラッキーアンハッピーなの!


 落ち着けアタシ……落ち着け―……思い出すのよ……確か――くんのお友達くんが避難誘導を手伝ってくれたよね?


 ここはイチかバチか訊いてみようかな? お昼はあそこで食べてるはずだから……その時に……でも、――くんいるよね……


 あんなことしておいて、アタシでしたー! キャハ☆ みたいなこと…………いやぁぁぁぁぁ! 絶対バレちゃダメだ!


 ――も隠れながらめっちゃ睨んで見てて怖かったし……あ、でも――くんって、お友達くんと違うよね……チャンスじゃない! その時を狙おう! ラッキーハッピーはまだ残ってるじゃない!


 よし頑張れアタシ!

実にアンラッキーでアンハッピーだ!


あと、誤字報告ありがとうございます! すげー嬉しいです。あ、読まれてるんだーって実感が湧きます。なるべくなら少ないのがいいんですけど、難しいです。


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