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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第二章:都市伝説編
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⓻それを新聞部の柴咲さんたちと調査するんだね。私を差し置いて

「昨日の帰りにそんなことがあったんだ」


 今日の昼休みは生徒会で食事は取っておらず、戦闘魔導授業で使う山の訓練所で、栞さんに転移魔法のやり方を教えていた。

 そして今は休憩時間で、オレは吸血鬼の話を話題にあげた。


「血を吸う人間ね……何が目的なのかしら?」


 ここに人が来ないように、人払いの力を貼るために付き添いでここにいる晴香が、サンドイッチを食べながらオレに訊いてくる。


「魔力を吸っている以外ないと思うぞ」


「零一の感覚ならそうよね。でも、ここは魔族の世界じゃないんだから、それは省かないといけないわ」


「魔族って血を吸って魔力を得るの?」


「あくまで緊急事態の時だけだな。魔法を使い過ぎたとか、自分の魔力値を明らかに無視した大魔法を放ちたいとかな」


 オレが質問に答えると、栞さんはペットボトルに入ったお茶を一口飲んで考え始めた。


「でも、その他校の女の子も変だよね……無理やり血を吸われていたなら警察や日本魔導管理局に連絡してもいいと思うけど、なんで拒否したんだろう?」


「その吸血女性に脅されているとかになるわよね。普通は」


「または、いきなり襲われて気が動転していたか、だね」


 まぁ何がしたいのか分からなければいくら考えてもしょうがないことであるが……面倒なことにならければいいがな。


「それにしても、まるで都市伝説みたいなことだね。今の話は」


「都市伝説みたいなこと?」


「あぁ、この前奏が主催したやつか。確か――これだったな」


 携帯端末を取り出して都市伝説サイトに開いて晴香に見せた。


「へぇー都市伝説ねー…………」


 晴香が食い入るように内容を読んでいく。


 吸血鬼の都市伝説はこう書かれている。


 これは私が中学生の頃に体験した話です。

 日没間近の時、学校帰りの私は友達二人と分かれて一人歩いていたんです。

 家までもうすぐという距離で、なんとも美しい女性が私に駅までの道のりを尋ねられたので、私は懇切丁寧に説明したんです。

 そんな私に向かって女性がいきなり、


「貴女の血を浄化してあげるわ」、


 そう言って鋭く生えた二本の牙で、私の首元に噛みつき血を吸い始めたんです。

 私は急なことでパニック状態になってしまい、抵抗もできずに血を吸われて、痛みと共に意識が朦朧となり気を失ってしまったんです。

 

 でも、不思議なことに、私が目を覚ますと女性はどこにもおらず、噛まれた部分に手を触れると、痛みはないし傷一つない綺麗な状態だったんです。

 私はなにか夢を見たのだと思って家に帰りました。

 翌日、友達二人に昨日起こった出来事をお茶らけて話したら、その二人は顔を真っ青にして私に言ったんです。


「「私も吸われた夢を見た」」、と。


 内容はまだ続くが、晴香は読むのをやめて言った


「これと似ていることが現実で起きたって訳ね」


「そうらしい」


「それを新聞部の柴咲さんたちと調査するんだね。私を差し置いて」


 栞さんが拗ねたように言うので、一つ提案をした。


「なら一緒に来るか?」


「行く」


 即座に答えた栞さんに晴香は何かを思い出したかのように訊いた。


「でも、生徒会はいいの? 魔導祭に向けての選考会が近いから忙しいはずだったでしょ?」


「こんなこともあろうかと私の仕事は大体終わらせてますので、ご安心ください」


 なんとも準備がいいことだ。

 なら、話はここまでだな。

 

「じゃあ、練習再開するか」


「五メートルの壁を超えてみせるからね零一くん!」

ちょっと寄り道です。


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