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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第二章:都市伝説編
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プロローグ

 これは、あたしの友人のお兄さんの恋人のお母さんのおじいちゃんが実体験した話なんだけどね。


「関係性が遠すぎないか? 信憑性に欠けるが」


「もー! 話の腰を折らないでよー! 零一君!!」


「はいはい」


 それでね。当時、魔導高校の生徒だったそのおじいちゃんは、雨が強く降る夜に、部活動を終えて一人で学校から帰宅してたらしいの。

 傘を忘れてしまったおじいちゃんは、大急ぎで走っていると、人気のない小さな公園に夜でも目立つ真っ赤な傘を差す年上の女性がポツンと立ってたんだって。

 すると、その真っ赤な傘を差した女はおじいちゃんに近づきこう言ったの。


「傘を忘れたの? なら、貸してあげるわ」って。


 おじいちゃんは見知らぬ人だったから最初は断ってたんだけど、あまりの強引さに根負けしてしまい女性から真っ赤な傘を借りたんだけど……


 その女性が怪しい微笑みでおじいちゃんに傘を手渡した時いきなり、


 女性の体が何百匹の蝶となって飛んで行ったそうなの!


 ………………………………


「ん?」


 オレは軽く首を傾げ、


「まぁ、怖いというよりは……なぁ?」


 桐島先輩が指で頬を掻きながら困った顔をし、


「怖いか? それ?」


 恭介はイマイチ怖さを理解していなかった。


「なんで怖がってくれないのー!?」


 奏の驚く声が雰囲気づくりの為にと暗くしていた生徒会室に響いた。

 今話していたのは都市伝説一つで、『雨の日の蝶女』という話をしていたのだが、内容は怖いというより不思議な話なので誰も怖がっていなかった。

 なぜ都市伝説の話になったかというと、主催の奏曰く、夏に向けての予防らしい。


「都市伝説は摩訶不思議な話や噂話も含まれますから、全て怖いとは限りませんから仕方ありませんよ、紅林さん」


 栞さんは生徒会室の自動カーテンを開く操作を端末機で行いながら、悔しがっている奏を宥める。

 だが、それでも落ち着くことはなく、長机に置いてあるタブレット端末の画面をスクロールしだした。

 見ているのは都市伝説サイトのようで怖い系都市伝説の欄を開いていた。


「色々とあるんだな。『深夜十二時に学校の非常階段を上ってはいけない。そこに現れる悪魔に魂を吸われてしまう』」


 オレ以外にいるというのか、魂を扱える奴が。


「『若い女性ばかり狙う吸血鬼』ねー」


 実際に血を吸った方が魔力吸収力は早いから、無きにしも非ずな都市伝説だな。


「『好意に思っている相手にあげると両想いになれる恋愛成就の護符の作り方』……面白いですね都市伝説は……そんな簡単に恋が実っては面白くないでしょう」


 栞さん、興味ないように言ってるが、しっかりメモをしているのはなぜだ?


「『これ一つで貴方も最強の魔導師、シュネルステッパー』だと? 反則をしてまで強くなりたいが為に生まれた都市伝説か……そんなもの校内で使っていたら即指導だな」


 実際にそんな物があるなら見てみたいものだな。


「よーし、これだー! 『東京魔導学院都市の悪を断ち切る銀髪女剣士』!!」


「「もういいよ」」


 それのどこかが怖いんだ。


「なーんーでーさー!!」


 奏が口を尖らせると、昼休みを終わらせる予鈴が鳴り響いた。


「こういうことだからだよ。それじゃ教室戻るぞ」


「ちぇ……」


「それじゃあ、お邪魔しましたー」


「えぇ、授業頑張ってね」


「「はーい」」


<零一くんも、頑張ってね>


 栞さんが〈魔法念話(コールディング)〉を使って、オレを応援してきた。


 本当にすごい人だ。

 一ヶ月足らずで魔法を一つ覚えてしまったんだからな。その探求心には驚かされる。


<ありがとうな。それと、凄いな栞は、よく頑張った>


<あ……>


 〈魔法念話(コールディング)〉で返事をして生徒会室から出て行く。


「それじゃあ私たちも授業に――って、どうした栞? 顔が真っ赤だぞ? 熱でもあるのか? おーい栞ー?」

新しい章です。

都市伝説は怖いのじゃなくて陰謀系が好きです

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