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魔導高校生の魔王様  作者: 伊吹わなご
第一章:魔導高校入学編
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エピローグ

「ふぁ~」


「あ、おっきぃあくび~どうしたの? 寝てないの?」


「零一、目の下クマができてるぞ大丈夫か?」


 辰弦本家で呪詛を消した次の日から大忙しだった。

 まずは、この中部魔導高校でばら撒かれた呪詛の分子を取り除く作業に取り掛かり。

 次は嘉納と平塚がいる魔導大学付属の病院に行き、二人の呪詛と嘉納には記憶の改変も行った。


 それで終われば良かったが、なんと卒業生にまで呪詛を入れていたと栞さんから聞かされ、授業が終われば飛んでいき、また授業に出て終わればまた飛んでいくを、二日間繰り返した。


 土曜日、日曜日は一日中飛び回って、なんとか終わらせた。おかけで、睡眠不足に魔力不足という状態で教室の机に突っ伏している。


「あぁー……あんなに連続して転移魔法使ったの……久しぶりだー……」


「こらこら、秘密にしなきゃでしょ魔法は……」


「いくら魔王でも魔法使いまくったらこうなるのか、親近感が湧くな」


「恭介君もシーッ!」


 奏……そこまでしてくれるのはありがたいが、寝かせてくれ……


「零一様がお困りのご様子にこの戌井飛鳥、惨状いたしました!!」


 あー……終わったー……貴重な休み時間がー終わったー……


「保健室で寝てくる……」


「俺が運んでやろうか?」


「いや、いい……」


「ちょ、ちょっとお待ちにふごーーー!!」


「はぁい、戌井さんは静かにして自分の教室に戻ろうね~」


 奏に口を塞がれた戌井さんの横を、オレはフラフラと歩きなりながら通って教室から出て行く。

 クソ、ヴェレンティアナのやつめ、このことを知っててオレに押し付けてきたな。


「それにしても……眠い……」


「なんだ柊くん、フラフラじゃないか?」


 あくびをしながら廊下を歩いていると、桐島先輩がオレの左腕を掴んできた。


「今から保健室で寝ようかと思って……」


「ったく、睡眠不足は勉学の敵だ。私が保健室まで付き添ってやろう」


「その必要はないわよ、悠子」


 そう言いながら、栞がオレの右腕に自分の腕を組んできた。

 それを見た桐島先輩は、ニヤニヤとした表情で、オレと栞さんを交互に見ている。


「……ほほぅ……そうかそうか。なら柊くんは生徒会長様に任せるとして、校内の見回りに戻るとしよう」


「ありがとう悠子。それじゃ行きましょうか、魔王様?」


「あー……えーっと……? そっちは保健室ではない気がー?」


 思考力の低下と、力が上手く入らないせいで、栞さんに引っ張られながら歩くと、生徒会室についてしまった。


「ここなら保健室より静かに寝れますよ」


「アハハ……それはどうもありがとうございます、栞さん」


「……栞、さん?……」


 勘弁してくれ。後、組んでいる腕を締めないでくれ。


「寝かせてくれるのでは?」


「栞、と呼んでくれないの?」


 あぁ、そういうことか、仕方ないな。


「栞、こう呼ぶのは二人っきりの時だけだぞ?」


「はい、わかってますよ魔王様」


「それじゃ寝てもいいですか?」


「ダメです。やり直してください」


 オレはいつになったら寝れるのだろう?


「というのは冗談で、ほら、ここで寝て」


 栞が腕を組むのをやめて正座して、自分の太ももを軽く叩いた。

 これは膝枕……だよな。


「まぁいいか……」


 オレは栞の太ももにゆっくり頭を預けて仰向けに寝そべった。

 すると、暖かい感触がオレの額を撫で始めた。


「ね、零一くん」


「うん……?」


「私ね、去年の体験入学の時に、貴方をずっと遠くで見てたの」


「そうだったのか…………」


「凄く不思議なオーラを持った中学生が来てるなーって、そしたら魔王の魂を持ってるなんて驚いちゃった。でも、あの時はこうも感じてたの。あの人だったら私のことを殺してくれそうだなぁって……でも、殺してくれなかったね」


「ダメだったか……?」


 オレの言葉に、栞は首を横に振る。


「ううん、凄く嬉しかった。あの時に諦めてた夢が、諦めなくていい夢に変わったから」


「…………」


「その夢のため……に、あっ……寝ちゃった……ふふっ、可愛い寝顔」


 それじゃ、お休みなさい。魔王様。



     ◇ ◇ ◇



 ――Pirrrr――


 ――Pirrrr――


「はい、私です」


「えぇご報告した通り、辰弦の呪詛がこの世から消えました」


「はい、そうです。辰弦の娘によって作られた偽物たちを全滅させた少年が、規格外の魔導砲撃を放って呪詛を……」


「そこは大丈夫かと。貴方様の崇高な計画に、いくら規格外の少年でも蚊帳の外ですから手出しはしてこないでしょう」


「はい、なのでご心配は無用です」


「……今なんと仰いましたか?」


「あの少年に貴方様が!?」


「それはあまりにも危険すぎるのでは?」


「違います。わざわざこちらから蚊帳を開いて中に入れるのは得策ではないと申しているのです」


「……わかりました。貴方様がそこまで仰るなら私は何も言いませんが、その時は私も一緒で構いませんね?」


「では失礼します。マスターシャッテン」

ここまで読んでいただきたいありがとうございます。

一章の終わりです。


暇つぶし程度の内容ですが、色々やってみたいと思ってますので、更新頑張ります

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