表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/40

第18話「アイルビーバック(レイル編)」

 辺境の町、グローリス。


 レイルの故郷から一番近い町で、彼が拠点として活動していた街だ。


 ジャン達の【鉄の虎(アイゼンティーガー)】をクビになり、

 惨めにベソをかいて、受付嬢のメリッサに同情され、


 そして、

 かの女神を怒らせてしまい、その過程でスキル『一昨日に行く』を授かった地。


 …………あのロード達と握手をした街でもある────。


「ふー…………。まさか、帰って来れるなんてな」

 絶死の状況から帰還したことを思い出し、大きく溜息をつく。



 がやがやがや

 ざわざわざわ



 それにしても、

「……ちょっと離れてただけなのに、なんか懐かしく感じるな」


 少しだけ懐かしさを感じたレイル。

 今の彼は、人目を避けるために目深にローブをかぶっており、よほどの知り合いでもなければ、レイルのことに気付くことはないだろう。


 そのまま、ガラガラと安い車輪の音を響かせながら街を行く。

 開拓村に比べれば、ここは大都会だ。


 幸いにも、街に変化はなかった。

 グリフォンが出たとはいえ、

 それは北部辺境の話であってこの街にまでは、まだ被害はなかったらしい。

 そのことに一抹の安堵を覚えながら、


「……さて、まずは寝床かな」


 以前借りていた安宿は『鉄の虎』をクビになり、

 『放浪者』に加入したのを機に引き払っていた。


 今回もそこを借りよう。


 安さだけが取り柄の狭い宿だが、余計な詮索をしないのがいいところだ。

 あと。飯がなかなかうまい。

「よし!」

 せっかく臨時収入もあったし、グリフォンの素材もある。

 少しくらい贅沢をしても罰は当たらないだろう。


 なにより、

「こんな大荷物、目だってしょうがないしな」


 荷車に山と積まれたグリフォンの素材。

 一応布をかぶせているとはいえ、生モノもあったりで布に血がにじんでいる……。ちょっとグロイ。


 街の人の視線もジロジロと感じるし、今はさっさと宿に行くべきだろう。

 ここで目立ってしまえば、ロード達に一泡吹かせてやれない。


 ギルドに行くにしても、まずは準備をしないとな。


 このまま馬鹿正直にロード達を弾劾したとしても勝てるとは思えない。


 正規ルートで訴えても、聞き入れられるはずがないだろう。

 王家や、冒険者ギルドのすべてがロード達の味方とも思えないが、まずは敵を見極めないと足元をすくわれるのはレイルになる。


 所詮は、Dランクの鼻つまみ者冒険者と、

 華々しい実績をもつSランク冒険者パーティとでは、発言の重みが違うのだから仕方がない。


 たとえレイルが、「ロード達に囮にされた」と訴えたところで、

 ロード達が口裏を合わせて「雇ったDランクのシーフが逃亡し、悪評をばらまこうとしている」と言われてしまえばそれで終わりだ。


 ロード達にはそれを裏付けるだけの実績があり、

 レイルにはそれがない。



 ……悔しいけど、これが事実だ。



 世の中正しいことが必ずしもまかり通る(・・・・・)ようにはできてない。

 それをレイルは嫌というほど知っていた。


 だから、今さら世の中の正攻法になど頼らないし、頼れない。

 いずれは頼るとしても、それは今ではないし、準備不足──。


 「正しさ」とは、それを裏付ける力がなければ意味をなさないのだ。


 国の司法とて同じ。

 司法は、軍事と警察機構が機能しているから意味を成すのであって、軍事も警察も跳ね返せる力を持った個人や組織には効果がないのは自明の理だろう。


「────だけどな、ロード。俺だって黙って引き下がりはしないぞ……」


 何も知らない。

 何も関係ない。

 何も理解していない、お前に「疫病神」と蔑まれる筋合いはないッッ!!



「……借りは必ず返す──だから、待ってろよ」



 敵は強大。

 実力には歴然とした差がある。


 だが、忘れるな…………。


 レイルには特殊なスキルがある。



「ステータスオープン」


 

 ──ポォン♪



 ※ ※ ※

 

名 前:レイル・アドバンス

職 業:盗賊

スキル:七つ道具

    一昨日(おととい)に行く



 ※ ※ ※



「──見せてやるよ、ロード。万年Dランク……『盗賊(シーフ)』の戦い方ってやつをよ」


 いくつものプランを考えながらレイルは勝手知ったる街をゆく。

 その足は、迷うそぶりも見せずに町の奥へ奥へと向かって行った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

お読みいただき、ありがとうございます!


⇧ の『☆☆☆☆☆』評価欄 ⇧にて


『★×5個』で、応援いただけると嬉しいです!



新作だよ!
⬇️ 新作 ⬇️

異世界サルーン
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ