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秘密の月の箱 〜secret moon box〜  作者: 与知田 菜々香
9/12

やっと結ばれた5人 月の女神様の出番です


  講堂、泉原一月との出会い


 美月と宙希、大学3年生の9月中旬頃夏休みが終わり

新学期が始まりました。

泉原一月先生の『月と宇宙』の講義を選択し、単位も

取れて終了しているのですが、講義をというか一月の月

の話し 星の話しを聞きに今でも受講していました。

宙希が、美月に声をかけた講堂は ここ。そう、

一月先生の講義が終わって 黒板を消している一月先生

を見ていた美月 あれから2年半が経ちました。

今日は、前列から6番目 中央寄りの黒板がよく見える

席に並んで座りました。

 一月は 大学の臨時講師を始めてから 4年程経ちま

した。慣れてきたのか 月について語り始めると少し

講義とは違う話しをしがちです。

月の形や読み方やスーパームーンとは何か?

美月と宙希には知ってることが 度々あります。

何回も聞いた話し、それでも時々一月先生の講義を受講

します。


「新月から満月これは 満ちていく期間

 月が満ちていく期間は 心は外に向い開かれます。

 満月から新月は 欠けていく期間

 月が欠けていく期間は 心は内に向い内省します。

 不要なものを手放し つまり……」と 

一月は ゆっくり歩き講堂の階段を上り 美月と宙希の

席に近づきました。

「昨日の夕方、新月になりました」と一月先生

美月の席の前で立ち止まり 向きを変え

「人間関係や愛も 月が満ちると育ちますょ」と

下を向いている学生たちを見ながら

「あっ そうだ新月の日までに願い事を書いた紙を

 窓際に置いて月を眺めると 満月の日までに願い

 事が叶うなんて」と 一月はニコリを照れながら 

「本当かどうかはわかりませんが」と言い

「僕は 信じています」と 説明をしました。

講義が終わる時間になり 

「今月は 終わってしまったので 来月の新月は

 何月何日の何時頃か調べてきてください」と

一月は いつも宿題を出します。

「では、今日の講義は終わりです」と言い

美月の寝ている机をトントンと軽く叩いて

「終わりますよ」と 囁き声で起こし それから

「今日の講義は これでおしまいです」と

言いながら 教壇へ戻り終了の挨拶をしました。

一月は いつも終了の挨拶をする前に うたた寝をして

いる学生の所へ行き『おわりますよ』と声をかけ起こし

てから自分の講義を終了します。

せっかく受講している美月と宙希は うたた寝をして 

一月に起こしてもらっています。

一月先生の講義は、美月と宙希にとって居心地の良い

空間であり『気持ちが いい〜』と 感じるホルモンが

出てきて眠くなります。

一月は にこりと微笑みながら いつも

「終わりますよ」って声をかけ 目覚めた2人を確認し

ました。

 終わりの挨拶の後 2人は背伸びをしました。

「美月 行こう」と宙希は 

黒板を消している一月先生の姿を見ている美月に 声を

かけました。

「うん」とまだ夢の中の美月 夢の中で一月先生の話し

を聞いていたのか『新月までに願い事をすると満月に願

い事が叶う』この言葉にとてもびっくりしていました。

なぜなら本当のことだから。

一月先生と美月と宙希、直接話しをすことはほとんど

ありませんでした。でも3年も通えば顔も覚えるし名前

も覚えます。しかも仲良く2人でうたた寝しているから

なおさらです。

 


   一月、貴方の前世は


 一月の前世は ジェウォン。

ジェウォンの生まれ変わりが誰なのか 知っているのは

月の女神様だけです。

女神様は いつそのことを知ったのでしょうか?

物心がついた頃の一月 じいちゃんとお月様を見つめる

その眼差しが、どことなくジェウォンに似ていました。

「ウォル、彼のもとに行きなさい」と 月の女神様

「彼は 前世がジェウォンでまだ気づいてはいません

 ウォルと恋に落ちたことを思い出し ウォルを愛し

 受け入れてくれた時 一月とウォルの恋がみのります

 ウォル さあ彼の元へ行きなさい」と女神様は 

ウォルの右肩に手を添え言いました。

あれから何年 あともう少しもう少しです。

一月は 27歳になりウォルのことをほぼ80%か85%ほど

思い出しました。

あの時の様に 新月になるとウォルは風に乗り舞降りて

来ます。一月と満月の夜まで一緒に過ごします。

大学で講義をしている時も 塾で受験生に勉強を教えて

いる時も ご飯を作り食べる時も 夜ベッドで寝る時も

一月が月を眺めている時も隣で一緒に月を見ています。

一月は ウォルの顔や姿がしっかり見えるようになり 

ウォルに触れると冷たいと感じます。

一月がウォルを抱き寄せると『暖かい』とウォルは感じ

ます。一月の心が『暖かい』からなのか。

2人は ダブルベッドで寝ていると朝の4時頃に春馬が

帰ってきます。

春馬は、一月とウォルが寝ているダブルベッドに自分も

入り3人で寝ることもあります。

春馬は、ウォルの姿が見えるのかしら?

それとも 感じるのかしら?

その時々で見えたり 感じたりやっぱり春馬は すごい

スピリチュアルを持ち ウォルの存在を信じて 感じて

いるからです。

「一月 ただいま」と春馬は 一月の寝顔を見て小さな

声で言い 一月とウォルが寝ているダブルベッドに入り

 ウォルのとなりで横になりました。

「春馬 お帰り」と一月は 目を閉じたまま言い

「あっ 起こしちゃった」と春馬は 一月の顔を見て言

いました。

「一月が持っている秘密の月の箱を知ってるカップルに

 出会ったの」と春馬は 

一月が寝ていても 起きていても独り言の様に話し始め

ました。春馬はいつもそんな感じ 一月が起きていたら

返事があり、寝ていたらいつの間にか春馬もウトウトし

一月の腕を抱き幸せを感じ眠り始めます。

今日は、ウォルが居るからか一月は 起きていました。

「そのカップルって 双子座のカップル」と一月

「そう よく知ってるわね」と春馬

「僕の講義に来る 双子座のカップルがいる」と一月は

 目を開け天井をぼーっと見ながら言いました。

「どんな風に見えたぁ そのカップル」と春馬は

一月の方に寝返りをして 一月の横顔を見ながら聞きま

した。

「仲の良い2人 でもどことなく」と一月

「どことなく」と春馬は 聞き返しました。

「両思いなのに 時々 悲しい表情をするの」と

春馬は考えながらつぶやき

「そっかぁ〜」と目が覚めた一月は 顔だけ春馬の方を

向き返事をしました。

一月と春馬の間で寝ていたウォルが目覚め

「おはよう 一月」とウォルは 掛け布団の中から

「おはよう 春馬」と 春馬にも言いました。

「ウォル いたの」と春馬は 掛け布団から顔を出して

春馬を見つめウォルに声をかけました。

「うん」とウォルは うなずき返事をしました。

春馬とウォルの会話を聞いて一月は

「春馬 最近さぁ直接ウォルと話し できるの」と一月

「時々 ウォルの言葉が聞こえる」と春馬 普通に言い

「見える」と一月は 春馬に聞きました。

そんな一月の言葉に 春馬は返事もせず

「ウォル 双子座のカップルの事 知っている」と

春馬は ウォルに尋ねました。

ウォルは 春馬の顔を見て

「あぁっ うっ うん知っているょ」と 

ウォルは答えました。

「あっ時々 様子を見に行っているんだよね」と春馬は

 一月を通して話しをしなくてもウォルと楽しそうに

会話をしていました。

「最近は 一月のところに来るから」とウォルも

直接 春馬と会話をしていました。そんなウォルと春馬

の関係を一月は見ながら 嬉しく思っていました。

「その2人が どうした」と一月も 

話の中に入ってきました。

「あの2人 1年後位かな 別れが来るかも」と春馬は

 眠そうに言いました。

「なんで」と一月は すっかり目覚め 春馬を見て聞き

「女の子に 何かが起きるかな」と春馬は 目を閉じて

つぶやき

「もしかして 月に行きたいとか」と一月は

少し真剣になり 眠そうな春馬に聞き返しました。

「うぅん そうね」と春馬は 眠りながら言いました。 

ウォルは春馬の寝顔を見て、春馬の左頬に右手をそっと

置き 春馬の頬も『暖かいかな』って感じました。

「春馬は 一月が好き」とウォルは 春馬に聞きます。

「好きよ とっても」と春馬は 自分の左頬の上にある

ウォルの冷たい手の上に 自分の左手を重ねました。

「春馬 冷たい私の手」とウォル

ウトウトしていた春馬は ウォルの右手の冷たい感覚に

目が覚めました。

ウォルは 一月に背中を向けたまま

「一月は 春馬のこと 好き」と 一月に聞きました。

「あー 好きだよ」と一月は ウォルの頭の向こうに 

見える春馬を見て答えました。

ウォルは 一月の方に向きを変え 一月の右頬に自分の

左手を添え

「私も 春馬が好き」と一月に 言いました。

「なんでそんなこと聞くのぉ ウォル」と春馬は 

ウォルの後ろ姿のシルエットを見て聞きました。

「春馬に一月 取られちゃいそうな気がする」と言い

ウォルはニコリと笑い

「心配な時が ある」とウォルは 一月の顔を見つめ

言いました。そんなウォルの表情を見た一月は

「僕は ウォルが好き 春馬も好き」と

一月はウォルの左手の冷たさが和らいだ気がしました。

「私も 一月大好き 春馬も好き」と

ウォルは言いました。

「今でも変わらず大好きょ一月 大好きな一月のことを

 大切に思っているウォルのことも好きょ」と春馬は 

夢の中へ 夢の世界は、春馬の自由な世界です。

「勝てないわぁ ウォルには」と言いながら春馬は眠り 

太陽が昇りあたりが明るくなり 朝になりました。



   6月のスーパームーン


 今日は、6月のスーパームーンの日です。

6月は『ストロベリームーン』と言い 最小の満月で 

好きな人と一緒に見ると その人と結ばれるという月

です。

 大学の月と星座と宇宙が好きな人達が集まり 月と星

を見て観察するサークルに所属している美月と一月。

美月が、ストロベリームーンの月を 高台で1人立って

見上げてました。両手を後ろでつないで 少し頭を左に

傾けて眺めていました。

そこに一月が 静かに現れ美月の隣りまで歩いて来てき

ました。美月から2〜3メートル離れた所に立ち止まり 

並んでストロベリームーンの月を眺めていました。

一月から 美月に話しかけました。ストロベリームーン

を見ながら

「月が 好きですか」と

美月は 隣りに一月先生が立って居て 同じ月を見てい

ることに気が付きませんでした。でも 自然と

「はい」と美月は 答えました。

「6月のスーパームーンは」と

一月は いつものように説明を始めました。

いつも耳にする心地よい声だなぁって。もしかして一月

先生?と思いました。

一月がまだ 話し終わらないうちに

「ストロベリームーン」と美月は 答え

「意味が ありましたよね 一月先生」と美月は 

一月に尋ねました。

「そう 恋を叶えてくれる月」と一月は 月に向かって

「講義で 何回か聞きました」と美月は 横を向いて

「僕も 小さい時から好きでよく眺めていた」と言い

幸せそうな微笑みをしている一月に 

「泉原先生は なぜ『秘密の月の箱』の事を知って

いるのですか」と美月は 月を眺めている一月先生の

横顔を見て言いました。

「美月さんは なぜ」と一月は 月を眺めたまま言うと

「『秘密の月の箱』母からもらった不思議な箱」と美月

「僕は 祖父からもらった『秘密の月の箱』」と一月

「泉原先生は 誰と文通をしていたんですか」と

美月が 月の箱の事をもっと聞こうとした時

「あっ 一月 見つけた」と 春馬は言いながら 

大股でゆっくり歩いて来て 一月の左隣に来ました。

「あれ ウォルは居ないの」と

春馬は キョロキョロしながらウォルを探しました。

「そのうち 来るよ」と一月

「あれ どこかでお会いしましたよね?」と

春馬は 一月の向こうにいる美月を見つけ少し前かがみ

になり声をかけました。

そこに宙希が 美月の右後ろから現れました。

「美月 ここにいたのか 探した」と言いながら

駆け足で宙希は 高台を登ってきました。

「あっ宙希 うん ここよく見えるから」と美月は 

穏やかに優しい口調で宙希に返事をしました。

4人が程よい間隔で並び ストロベリームーンの満月を

見ていると どこからともなく風に乗りウォルが舞降り

てきました。そして、一月のすぐ右隣りに立ちました。

 ロマンチックなスーパームーンの月は ストロベリー

のように赤く光 5人の一人一人に声をかけ話しを聞き

うなずく様に輝きました。


あなたの夢は何ですか

あなたの願い事は何ですか




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