泉原一月と雨宮春馬の出会い 月の巫女『ウォル』の登場 これから始まる三角関係!!
第3章 一月と春馬の出会い
月が好きな人
一月と書いて『かづき』。一月生まれではない。
泉原一月 大きいじいちゃんが名付けました。
一月の家は、代々受け継がれてた農家一家です。
大きな田んぼと畑を持ち 家族総出で営んでいます。
その家に 待望の長男として生まれてきました。
でも家業には興味がなく どちらかといえば空を
見上げ宇宙を見て いろんなことを考えるのが好き
な子供でした。なぜかと言えば、一月の大きいじい
ちゃんは月が好きで 初ひ孫の一月を小さい頃から
可愛いがり いつも一月と一緒にいてくれました。
「一番輝く星!でも太陽の光がないと誰にも自分の
姿を見てもらえない星。地球の周りを回り、地球を
見守る星!」と、大きいじいちゃんは言います。
月見団子をしたり、昔話をたくさん聞かせてくれま
した。大きいじいちゃんは、月の巫女の話も。
「月には、月神様!女神様が居て 女神様に仕える
巫女が百人近くもいる。月の巫女は、恋をしたり
人を助けたりする。愛する人を、大事な人を見守り
続けて 願いも叶えてくれるぞ」と一月の曾祖父は、
一月を抱きながら 縁側で子守りをしていました。
一月は、大きくなるに連れて月の存在を不思議に
思うようになりました。
月と地球 太陽と宇宙に興味があり、家の手伝いを
してお小遣いを貯めました。
「太陽系の図鑑を買いたいんだ」と。
小学校4年生の時、夏休み宿題の自由研究で
『地球と太陽と月の関係』について調べ、そして、
『月の秘密』も一緒に研究しました。
科学研究発表会で金賞をもらいました。
一番喜んたのは、大きいじいちゃん
曾祖父でした。
大きいじいちゃんからのプレゼント
一月は、10歳の誕生日がきました。
大きいじいちゃんの宝物を プレゼントしてもらい
ました。小さな月の形をした箱、『秘密の月の箱』
でした。
「一月、この箱を お前にあげる。きっと一月なら
大事に持っていてくれるだろうから!」と
「これ 大きいじいちゃんの宝物の箱 いいの?」
一月は、にこりとしました。
「ご先祖様から受け継がれてきた箱で 月が好きな
人に渡される『秘密の月の箱』と言う魔法の箱じゃ」
と、大きいじいちゃんは言いました。
「魔法の箱?!」と言いながら一月は、手の上に
箱をのせ眺めていると
「この秘密の月の箱は、お月様と会話ができる箱。
新月の日までに手紙を この箱の中に入れて置くと
満月の日までに返事が返ってくる」と、
一月の頭をポンポンと 大きいじいちゃんは言いま
した。
「月と会話? ふぅ〜ん!文通がてきるの?」と、
一月は少し驚きながら 聞き返しました。
「あぁそうだ!この箱の持ち主は月にいる巫女だ」
と、大きいじいちゃん。
『秘密の月の箱』の秘密を教えてもらった一月は、
誰にも言わないと心に思い誓いました。
月に恋する一月
毎日、月の観察をしている一月。
分からないことは、月に聞きます。箱の中に入れて。
大きいじいちゃんの話の通り、必ず返事が箱の中に
入っています。
中学校3年生になった一月は、周りの同級生達が
恋愛話しているのをたまに耳にします。
大抵一人で居る事が多く 窓から外を見て手紙に
「今度、何を書こうかな!?」と考えています。
そんな時 恋愛の相談をされます。女の子にも時々
相談されます。が よく分からない事が多いので
友達の恋の悩みも、月の箱に手紙を書いて月にいる
巫女に相談します。そして、あたかも自分が考えた
ように話をします。
いつのまにか、月が恋しく 同級生には全く興味が
無い 月に恋をしている自分に気が付きました。
だって 月から一月の元へ来る返事は、そこそこ
いい感じのラブレターだから。
一月は、地元の中学校を卒業後 少し遠い高校に
合格したので進学することにしました。
「何の仕事がしたいって言えばなんだろう?
でも農業は嫌いではないけど 好きでもない!
できれば太陽系 宇宙そして月 そして地球を、
もっともっと知りたい。勉強していろんな人に
伝えたい」という気持ちが大きかったのです。
長男だけど家業は お姉さんや弟ががんばるから
と言ってくれたから一月は嬉しかったのです。
バスに乗り、電車に乗り、学校に行きます。
帰りも電車に乗り、バスに乗って帰ってきます。
時々 送ってもらったり迎えに来てもらったりして
高校に通っています。
友達や親友は 相変わらずいなくて一人でいます。
月を眺めて 独り言を言って空を見ています。
秘密の月の箱に 手紙を入れて 文通?ラブレター
の相手に会いたいと思うようになりました。
一月には まだ見えないウォルの姿。
秘密の月の箱の持ち主が、一月に会いに 来ている
のです。
新月の夜に、風に乗り舞い降りて 一月の側にいて
一月をずっと見ています。そしてずっと一緒にいて
満月の夜に、秘密の月の箱に返事を入れ
「またね!一月」と声をかけて
風に乗って月に帰ります。
雨宮春馬との出会い
高校に進学し ほとんど知らないクラスメイトが
いっぱいの中で高校生活を送っている一月に、誰か
が「僕を見ている!」「見られている!」
「観察されている!」と思う様な視線を感じながら
2ヶ月3ヶ月と日々が過ぎていきました。いつもと
変わらず勉強や好きな事も頑張っていました。
そんなある日の事、席替えがありました。
隣の席に、とても背が高くイケメンで女の子にモテ
そうな雰囲気の彼が来ましたた。
名前は、雨宮春馬。
「泉原くん僕と友達になってくれない?」と
「ずっと君を見ていた 君だけに本当の自分の事を
伝えたいんだ!話を聞いてくれる」と、
春馬が一月に話しかけてきました。
「ずっと見ていた・・・あの視線は」と、一月
「そう僕 雨宮春馬といいます!」と、
「何?話って!もしかして恋の話!」と、
恋愛相談かな? 一月は思もいました。
「なんで知っているの? あのさぁー」と
驚きながら耳がちょっと赤くなり、まるで女子みた
いな雨宮春馬くん。
一月は 中学校生活でも恋愛の相談をしてたから!
また、そうなのかな?と思って聞き返しいました。
「誰か気になる子がいるの? 声かけたの?」と
話をしているうちに、春馬くんの家にお泊りという
計画が進み 実行することになりました。
一月は、家で学校や友達の話をすることがほとんど
ありません。昔から物静かな子供時代を過ごし今も
変わらず、聞かれた事には返事をする感じでした。
そんな一月が突然「友達の家にお泊に行く」という
話を聞いた家族はびっくりしました。
反対もせずに、お泊まり会 決定です!
勉強する事が条件でした。
春馬には見える月の巫女ウォル
春馬の家は高校から自転車で5分位の街中にある
一軒家でした。一月の家とは違って3階建てで縦に
長い家でした。一月の家は、2階建てで横に長い家
でした。
「初めて見た 背が高くて大きい家」と、
一月は 見上げて呟きました。
「さぁどうぞ!」と春馬は、
ドキドキしながら家のドアを開け 一月を家の中へ
案内した。
「ただいま」と、春馬
玄関に立つと大きな階段が目の前にありました。
「お帰りなさいませ!春馬さん」と、
家政婦のお姉さんが出迎えてくれました。
「この間 言っていた友達の一月くん」と、春馬
だんだん 女の子みたいな仕草になっていく春馬が
ちょっと気になりました。でもそれより、家政婦の
お姉さんが家にいることに 驚きました。
春馬の部屋は3階にあり 階段をちょっとたくさん
上がらないと部屋に つきませんでした。
部屋の中に入ってみると 大きな窓とベランダが
ありました。そこから空がよく見えます。
一月は 思わずベランダに近づき
「すごいなぁー」と言いました。
「星空が綺麗に見えるのょ!月も良く見える!」と
言いながら春馬は、一月に水色のルームウェアを
渡しました。
「お揃いにしようと思ったけど 一月くん 嫌がる
と思ったから、私は薄いピンク色にしてみたの。」
と春馬は、話し方も女子になっていました。
一月は また春馬の変化に驚きながらも
「ありがとう!」と言って着替えました。
「一緒に お風呂に入らない?」と、春馬は一月を
見ながら誘いました。
「うん!いいよ」と一月は、
何も考えず答えました。春馬は 断られるかと思い
ドキドキしていました。一緒にお風呂に入りました。
夕食は、春馬のお母さんと妹 春馬と一月の4人
でディナーでした。ナイフとフォーク そして4人。
一月の家は、7人か8人の大勢で一緒に食べるから
春馬の家の食事の雰囲気に慣れず しかもナイフと
フォークだったので戸惑いました。
色々と自分のことを聞かれるかと思いましたが全然
聞かれず ほっとしました。
日が暮れて一番星が見えた頃 春馬の部屋で約束
の勉強を始めました。休憩に、春馬の妹がコーラと
ジンジャーエールを持ってきました。
「一月お兄さん いつ頃から お兄ちゃんの恋人に
なったの?」と春馬の妹は、ストレートに 一月に
聞きました。春馬は、驚いた顔をしましたが 妹を
怒ることもなく
「まだ その話は してないんだから」と、
「一月くんと二人にして」と言うと、
「気になるな」と妹は、部屋から出て行きました。
二人は、ベランダから月が出ている星空を見ながら
コーラとジンジャーエールで休憩をしてましいた。
「相談したい事って 何?」と、一月
「私、好きな人がいるの?」と、春馬
「春馬さぁ なんで『私』って言うの!お前 女か
僕じゃないのか? で!なんで さん! くん!
付けなの?」と、一月は 春馬に聞きました。
「私、女の子には興味がなくて、普通にね」と、
春馬は話はじめて、ジンジャーエールひと口飲み
「男の子が 好きになっちゃうのそれでね」と
春馬は話を続けてジンジャーエールもうひと口飲み、
一月の顔を見ていました。
「あっそうだ! いつも宇宙の本を見ているよね!
月のページを! 月の不思議って知ってる? そう
月の不思議!この世の中に『秘密の月の箱』という
名の箱があってね そこの箱の中に願い事を入れて
おくと 満月の日に返事が返ってくる 願い事が
叶う そんな箱があるんだって 知ってる?」と、
春馬は一月に聞きました。
一月は、心の中では驚いていましたが 普通に
「うん知ってるよ」と、
一月が答えていると春馬は 視線を変え
「一月くん女の子連れてきた?」と言って春馬は、
残ったジンジャーエールを全部飲みほしました。
「『一月君』って言うの、やめてほしいなぁ」と、
一月が言うと
「見える! 見えるよ! あなたは誰!」と、
春馬は、誰かに話しかけていました。
スピリチュアルを感じる春馬は、月の巫女ウォルが
かすかに見える そんな力を持っているのでした。