物語は終わる。秘密の月の箱。現代で誰の手に受け告げられたのか?もう一つ存在する秘密の月の箱10歳の少女の手に!!
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「ウォル!また同じところまで読んで眠っちゃったん
だね」と一月
ソファーの上のウォルが、起きないよう横に寝かせ
そっとタオルケットをかけました。
「物語の続きは、僕が読むよ!」と
続きを読みました。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
恋した二人り
そんな日々が1年2年と続いたある日ジェウォンに
一番優しく、一番仲の良い兄が危篤だということを
風の噂で知りました。
ジェウォンは、4年ぶりに実家へ急いで帰りました。
兄は、床についていました。間に合ったのです。
3番目の兄! 兄は、こう言いました。
「間に合った!良かった!最後にジェウォンの顔が
見られて」と、安堵した様子でにこりと そして
「僕が永遠の眠りについた後、私の妻と二人の子を
頼むジェウォン! 子供達の父親になってほしい」
と言って、深呼吸を2回ほどして呼吸が止まった。
「兄上!まだ お返事をしていません!兄上」と
言いながら、涙を流し兄の手を握りしめていました。
ジェウォンを追いかけてきたウォルは、ジェウォン
と兄の話を 立ち聞きしてしまいました。
静かな 静かな満月の夜でした。
ジェウォンとの別れ
ウォルとジェウォンは、何も言わず手をつなぎ
輝いている満月を見ていました。
どのくらいの時間が流れたのでしょうか?
ウォルが言いました。
「今宵は月に帰る日です。私は、もう地球上に舞い
降りて来ることはありません。どうか どうか!
幸せに!元気に!お過ごしください。もし生まれ
変わったら また私と再会してください。そして
必ず、私を貴方のお嫁さんにしてください。私は
その日が来るまで、貴方のことをずっとずっと
忘れず見守っています。」と言って、胸元から
「私の大事な、貴方!ジェウォン氏 忘れないで……
これは『秘密の月の箱』と言います どうか私だと
思って、大事に持っていてください」と、言いながら
丸い月の形をした箱を、ジェウォンに渡しました。
「もし私に会いたくなった時には、この月の箱の中に
手紙を入れてください 必ず、返事を書きます」と
言うと お別れの言葉もなく、風に乗り月に帰って
行きました。
秘密の月の箱のゆくえ
ジェウォンは、死ぬまでその箱を大事に大事にし
そして、ジェウォンも永遠の眠りにつきました。
その箱を息子に託し、ジェウォンの子孫の男子達に
手渡すよう遺言を残しました。
その月の箱は、ジェウォンの遺言通り孫、ひ孫、
ひ孫の子玄孫、来孫、昆孫、仍孫、雲孫と男の子に
託されました。
秘密の月の箱
secret moon box
シークレット ムーン ボックス
丸い月のような箱
その箱の中に、手紙や悩み事 出来事や日記など
いろんな事を紙に書いて 入れておくと
新月の日に、月にいるその箱の持ち主が中を見て
満月の日までに、返事を入れておきます。
不思議な箱です。魔法の箱です。
秘密の月の箱です。
第2章 月に行きたい少女
一人り残された美月
少女の名前は北緒美月。
お父さんとお母さんと3人暮らし。
お父さんが設計した月がよく見える美月の部屋、
あちこちに夜空が見えるお家です。
一人っ子で、お父さんお母さんの愛情をたくさん
もらって大きくなりました。
今日は、美月の10歳の誕生日です。
赤い満月!夏至に一番近い満月!
ストロベリースーパームーンです。
スーパームーンは、願い事が叶うと言われる月。
ケーキにろうそく10本!
3人でお楽しく食べ お祝いしました。
その日の夜は、川の字に並んでベッドに入り
満月を見ながら3人で寝ました。
お父さんとお母さんの間で心地良い眠りに入り、
太陽が昇るまでぐっすりと美月は眠りました。
朝が来ました。今日は、日曜日!お父さんも
お母さんも家に居るはずです。しかし家の中は
とても静かでした。美月は、家の中をあちこち
探しました。
「お父さーん! お母さーん!」
でも どこにも居ません。
「どこに行ったのかな?」
美月は、自分が寝ていたベッドに戻り 明るい
日差しが差す窓を見上げ考えました。そして、
枕元に満月のような丸い形をした箱があるのを
見つけ中を開けてみました。お母さんからの
手紙が入っていました。
「美月!可愛い美月!お母さんは、月に帰る
時期がきたのです。昨日の明るく綺麗な
満月の夜、月に向かう風の列車が家に来ました。
お父さんと二人で その列車に乗り月に帰り、
月で暮らします。月から美月のことを、ずっと
ずっと見守っています。」
美月は、大きな涙を手で拭い続きを読みました。
「この丸い形をした箱は、秘密の月の箱と言い
ます。この箱の中にお手紙を入れてください。
返事を必ず書きます。美月、父さんも一緒です。
ごめんね美月!お母さんより」
美月は、地球という星に一人り残されたのです。
何故?どうして?これから出会う人のために?
美月は、一人ぼっちになってしまいました。
18歳になった美月
一人ぼっちになった美月は、養護施設に預けら
れました。
美月は、月がよく見える お部屋になりました。
窓辺に秘密の月の箱を置いて、新月の日までに
手紙を入れて、満月の日まで開けず お母さん
からの返事を楽しみに過ごしてました。
満月の夜に箱の中を開けて返事を読むのが唯一
心の和む時間でした。
美月には、心を許せる友達がいません。静かで
おとなしい少女でした。養護施設で養護教諭の
お姉さんが、いつも美月の話しを聞いてくれま
した。うん!うん!て 大好きでした。
中学校を卒業し高校に進学しました。
美月は、養護教諭に自分もなりたいと考え思い
高校卒業後 教育大学に進学しました。
養護施設から大学の寮に引越し。新しい生活が
始まりました。
大学の寮の寮母さんは、とてもお母さんに似て
いました。話をすると美月の話しを何も言わず
聞いてくれる寮母さんです。
寮の部屋も、月がよく見える部屋でした。
また、窓際に秘密の月の箱を置きました。
美月は、養護教諭の資格を取る為に頑張って
勉強をしました。
少しずつ 少しずつ「月に行きたい」と思う
気持ちが小さくなり始めて、現実を見つめる事
が出来る歳になりました。
僕も双子座です
美月は、大学2年生になりました。
相変わらず 仲の良い友達や親友はいません。
そんな美月の姿を いつも見ている男性がいま
した。突然、
「こんにちは!星座は 何座ですか?」と声を
かけてくる同じ年頃の彼!名前は、松江宙希!
「隣の席 座ってもいいですか?」と
「はい!」と 美月は、
小さな声で頷きながら言いました。あまり男性
と話をしたことのない美月は、少し沈黙した後
にこりと微笑みました。
「私は 6月6日生まれの双子座です」と
素直に答えました。
「僕は 5月23日生まれの双子座です 一緒だね
ギリシャ神話に 興味ありますか?」と
「ふたご座は、双子てゼウスの息子なんだ。
兄は人間、弟は神。兄は戦死してしまうんだ で
嘆き悲しんだゼウスは 兄と弟に不死性を半分に
分け与え 2人は星になり「ふたご座」になった」
話し続ける宙希の顔を美月は 見て思いました。
楽しい 面白い人だなぁ〜って!
「また 隣の席に座って良いですか?」と
宙希は言って 美月の顔を見ました。
緊張したせいか、顔がほんのり赤くなった宙希は
少し下を向きにこりと笑いました。
「同じ講義を聴くなら」と 美月、
「今度 ギリシャ神話でもっと楽しい話を持って
きます それじゃあ また明日」と宙希は、
嬉しそうに言いました。
二人は同じ講義の時 隣の席で講義を受けました。
友達以上恋人未満
出会ってから2ヶ月近く経った美月と宙希。
7月7日 七夕の日。宙希は、思い切って美月に
「二人で星空を見ませんか」と声をかけました。
「どこで見るの?」
「僕の家の近くに良い場所があるんだ!」
「でも私 門限22時だから」と
美月は、迷いました。
「毎年雨が降るよ!雨が降ったらどうするの?」
「僕の家はどう?」
宙希は、思い切って誘いました。
美月は、考えました。宙希の家にはお父さん、
お母さん お姉さん お兄さんが居るから。
「私の家で星空を見ませんか?雨雲できっと星は
見えないと思うけと」
美月の家は、お父さんとお母さんが残してくれた
月の見える部屋がある、三人で暮らしたあの家。
「いいよ 美月さんの家に行こう」と
宙希は 美月の家に行くことにしました。
7月7日、雨雲ではないが 曇り空でした。
二人は、美月の部屋で七夕の夜を過ごしました。
恋人同士ではないけれど いつもふたりで一緒に
いるから恋人同士に見えるかもしれません。
でも美月と宙希の間には、まだ何もありません。
手も繋いだ事も無いし、デートした事も無い。
曇り空から うっすら星が見えるくらいの夜です。
宙希が 美月に聞きました。
「僕、願い事があるんだ 君は、何かある?」と。
美月は、
「うん あるよ!」って
「僕 君に声をかけてからずっと伝えたい事が
あるんだぁ」
「伝えたい事って何?」
「好きになり 恋をした。君のことを『美月』
って呼びたい。」
また少し下を向いて宙希は、ドキドキしながら
告白をしました。
「私は 何て呼べばいいの?」と、美月、
告白されてるとは 思っていない。
美月は、月に行くことをまだ諦めていないから。
でも 宙希を好きになり始めている事に気づいた。
「う〜ん『宙希』と呼んでくれる?」と
宙希は、美月に頼みました。
美月は、好きだけど恋はしないと思っていました。
「宙希! 友達以上恋人未満でもいい?」と
はっきり宙希に伝えました。
宙希は、『友達以上恋人未満』の意味がまだよく
わからないけど 自分を『宙希』と呼んでくれた
事で 少し安心し嬉しかった。