3人のモブはダンジョンで覚醒する
「絶対に誰にも言うなよ」
「わかってる」
「約束だからな」
「ああ、絶対言わない」
放課後、俺たちはいつものダンジョンへと向かうことにする。
「普通にダンジョンに潜るだけか? 俺は成績上げたいだけなんだけど」
「だからだよ」
「そうだぞ、真司。俺なんか今回の模試Cだぞ? すべては神様仏様海斗様のおかげだぞ?」
「海斗様⁉︎」
「そう、海斗様だ。もう、俺は海斗に足向けて寝れない。真司、信じる者は救われる」
「隼人、ここでギャグか? ちょっと寒い」
「いやギャグじゃないから、マジで信じる者は救われるからな」
「海斗、まさかダンジョンで怪しい宗教に勧誘する気じゃないよな」
「そんなわけあるか」
隼人がおかしなことを言い出すから、真司の反応が怪しくなってきた。
まあ、論より証拠。実践あるのみだな。
「真司着いたぞ」
「着いたぞって、ここ?」
「そう、ここ」
「え~っと、机があるな」
「ああ、俺と隼人のだ」
「もしかして、ここで勉強してるのか⁉」
「ああ、そうだ。ここが俺たちの秘密の場所だ」
「秘密の場所って、ただの1階層じゃ」
「真司~、そうじゃないんだな~。ここはダンジョンスタディの為のマイスペースだ」
「ダンジョンスタディ?」
「そう、だまされたと思って今から一緒に勉強するぞ。わかりやすいのは暗記科目だな」
「まじか」
真司はまだ半信半疑といった様子だけど、隼人が、机を用意して勉強を促す。
俺と隼人に効果があったんだ。
真司に効果が出ないということは考え辛い。
「あれ?」
「どうかしたか?」
「いや、なんでもない」
真司も隼人も集中しているようだし、俺も負けてられない。
自分の机に向かい、英単語を憶えていく。
「なあ、隼人、なんかおかしくないか?」
「なにがだよ?」
「なんか、いつもより勉強が捗ってるような」
「それは、そうだろうな」
「これって……」
どうやら真司もダンジョンの恩恵に気が付いたようだ。
「俺たちは探索者だぞ? 探索者の俺たちがダンジョンで勉強してるんだ。なにもおかしなことはないだろ」
「それって、まさか」
「ああ、そのまさかだ」
「まじか!」
「ああ、まじだ」
「それじゃあ、隼人の成績が上がったのって」
「もちろんダンジョンスタディのおかげだ」
「まじか!」
「ああ、まじだ」
「やばいな。これってやばくないか?」
「ああ、やばいな。絶対に人には漏らすなよ。ネットワークもダメだぞ」
「ああ、わかってる」
「悠美ちゃんにもだめだからな」
「悠美もダメか?」
「俺たち三人だけの秘密だ」
「そうだな。わかった。約束は守る」
一時間ほど3人で勉強したが、真司は感動しっぱなしだった。
煮詰まっていたのがこの一時間で完全にブレイクスルーしたらしい。
マイデスクを用意して、これから毎日通うことにしたらしい。
これで俺たち三人、ダンジョンスタディ仲間だ。
せっかく能率がアップしたんだ、ルシェたちをよぶと絶対邪魔になりそうだし今日はやめておこう。
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