遭遇
現在作業に追われ更新が滞りがちですがご容赦を。
「シル、ルシェ、ティターニア、ちょっと離れてくれないか?」
「えっ……ご主人様ご迷惑でしたか?」
「いや、そういうわけじゃ」
「マスター……」
「ティターニアまで」
「海斗、ふざけてるのか? 虫からわたしたちを護るのは海斗の役目だろ。それを放棄するつもりか?」
「いや、そういうわけじゃ」
眼前のパーティへと声をかけるべく、3人にお願いしてみたけどあっけなく却下されてしまった。
もう3方を幼児に囲まれがっちりロックされた状態で向かう以外にない。
正直、冷や汗が止まらない。
「こんにちは~」
あえて明るい声で前方のパーティへと声をかける。
「あ、ああ、どうも」
「皆さんは5人ですか?」
「あ、ああ、そうだ。そっちは8人か」
「そうです8人と一匹ですね」
「一匹? ああ、その小さいのか」
「皆さんはこの階層は長いんですか?」
「いや、長いというほどでもない。大体1ヶ月くらいだ」
それなりに違和感なく話せている気がする。
「ちょっと、やばいって。幼女3人よ? サーバントとはいえあんなにべったり。事案よ」
「そうだな。通報しといたほうがいいのか? ギルド事務所か?」
「それはそうと3人共可愛いな」
「ギルティ。あんたも通報するわよ」
「俺は口だけだけどあっちはマジモンだろ。やべぇって」
後ろで向こうのパーティの3人がコソコソやっているけど、BP100を超えステータスが向上している俺の耳には聞こえてしまった。
まずい、完全に勘違いされてる。
変な汗が出てきた。
「俺たちも日が浅いんでよかったら一緒に回りませんか? みんなもいいかな」
「あ、ああ、ちょっと仲間と話させてもらってもいいか?」
「はい、もちろんです」
平静を装い、相手パーティに誘いの声をかける。
気持ち的には本当はすぐにでも立ち去りたいところではあるけど、ここで去ってしまうと取り返しがつかなくなる予感がある。
仲良くなって誤解を解く方がいいと判断する。
「おい、一緒にどうかって誘われたんだが」
「え~~っ、黒い彗星と一緒に回るの?」
「俺は絶対に反対だ。誰かにもし俺達も同類にみられたら終わる」
「興味はあるがリスクが高すぎる」
「だってダンジョンで幼女とべったり出歩いているような奴だぞ。あれはマジモンだ。やべえって」
「そうだな、それじゃあ断るか」
「それ一択でしょ」
「それにしても黒い彗星、噂通り、いやそれ以上にやばいって」
内緒話のつもりかもしれないけど、残念というか残酷にもその内容はしっかりと俺の耳に届いている。
「せっかくの誘いだが、今回は遠慮しておく。また機会があれば」
「そうですか……わかりました」
そういうと5人組のパーティはその場を去ってしまった。
まずい……。
まさかだけど本当に通報したりはしないよな。
冗談だよな。
「海斗、なにチンタラ止まってるんだ。さあ、さっさと行くぞ」
あぁ……俺はもしかしてまずい状態になったりしてる?






